OB・OGインタビュー(2016年度)

三菱重工業株式会社 町田 和隆 さん

  • 2016年06月14日
OB・OGインタビュー(2016年度)

プロフィール

三菱重工業株式会社 町田 和隆 さん

三菱重工業株式会社 町田 和隆 さん

町田 和隆(Kazutaka Machida)さん

1978年東京都生まれ。
社会学部社会政策科学科卒業。在学中は体育会航空部に在籍、25人の部員を率いる主将を務める。三菱重工業入社後は、防衛関係の営業業務を経て、調達部へ。2014年5月よりMRJ(三菱リージョナルジェット)業務に携わり、購買部門の戦略、ステータス管理、システム整備など資材の調達に関する一連の業務と、購買先(パートナー)が協業してプログラムを成功させるためのプランニングを担っている。

大空へと飛び立つ日まで国産旅客機完成に向けて尽力

体育会航空部に所属し、学生時代からグライダーに夢中で、飛ぶ夢を追いかけてきた町田さん。 今は、日本初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)のサプライチェーンに携わり、完成を目指して日々仕事に取り組んでいます。

資材の調達を通じてMRJの開発製造を支える

第16回関東大会では優勝を飾った

第16回関東大会では優勝を飾った

三菱重工業に勤務し、現在開発を進めているMRJ(三菱リージョナルジェット)の業務に携わっています。MRJは約半世紀ぶりに開発が行われている国産の小型ジェット旅客機であり、ジェットエンジンを搭載した旅客機の開発としては日本初です。そのなかで、資材調達に関するプランニングや企画管理、製造にかかわる多くのパートナー企業とのイベントの取りまとめなど、いわゆるサプライチェーン構築に携わっています。飛行機を製造するためには膨大な部品が必要になるので、必要なときに資材が不足しないように、段取りを決めて手配する仕事をしています。

大学では体育会航空部に所属し、グライダーに魅せられてから、飛行機の製造に関わる仕事をしたくなりました。文系出身で直接機体を設計開発することはなくても、サプライチェーンを管理することで、MRJの開発の一端を支えています。

モノづくりの面白さは「無」から「有」を生み出せること。単体では価値を発揮しにくい素材や電装品などの形を変えたり、連結させたりすることで新しい価値が生まれ、最終製品の一部としてなくてはならないものになる。限定的な価値しか持っていなかったものへ、付加価値を与える過程に楽しさがあります。

今は特に、MRJという小型ジェット旅客機の機体を一から作り上げるという、会社としても初めての試みに携わっているので、苦労もありますが、やりがいは大きいですね。

資材の調達は、部品の手配に年単位の時間がかかることもあれば、明日にでも入手が必要な部品が発生するなど複雑です。最適な調達タイミングを見計らうために、冷静に状況を見すえたり、市況を見て予測を立てたりするなど、常に考えをめぐらしています。でも、大学でがむしゃらになって取り組んできた経験が、いま仕事をする上で大きく役立っています。

なかでも、グライダー滑空のために自然と身に付けたスキルが、社会に出てから非常に役立っています。

グライダーは、エンジンを搭載していないので、臨機応変なコントロールと判断が必要な飛行機です。着陸のために下降を始めたら、もう上昇することができません。思い通りの場所に着陸するためには、一瞬の判断が重要になります。迷ったりためらったりしている暇はないので、いやが応でも、瞬時に判断しながら機体をコントロールしなければなりません。そうしているうちに、自然と意思決定が早くなり、即断即決をするクセが身に付きました。このおかげで、業務を円滑に進められている気がします。

早朝のロードバイク通勤で運動&気分転換

通勤にも使用している愛車のロードバイク

通勤にも使用している愛車のロードバイク

体を動かすのが好きなので、自宅から勤務先の名古屋空港まで、10㎞ぐらいの道のりをロードバイクで通勤しています。早朝出勤が多いので、夜が明けたばかりの、まだ肌寒い時間にペダルをこいでいると、ちょうど良い運動と気分転換になるんです。

できたらグライダーにも乗りたいところですが、単身赴任している今は、せいぜい半年に1回できればいいほうでしょうか。同窓で航空部でも一緒だった妻(漫画家の小沢かなさん)が、いまコミック誌でグライダーをテーマにした漫画『ブルーサーマル』を連載しているので、それを読んで楽しむことにしています。

「やり切った」と思えるほど充実した体験をしてほしい

学生時代を振り返ると、グライダー一色でした。飛行練習のできる妻沼グライダー滑空場は埼玉県熊谷市にあったので、多摩キャンパスからだと3時間ほどかかるのですが、まったく苦にならないほど夢中でした。

グライダーの競技は、基本的にスピード勝負で、決められたポイントをいかに早く飛んでこれるかが勝負になります。今は全地球測位システム(GPS)があるのでルールが少し変わっています。しかし以前は時間を競いながら、ポイントと自分の機体の翼が写るように飛行写真を撮る必要があって、忙しかったですね(笑)。主将を務めていたときに出場した関東大会で、個人戦、団体戦ともに優勝できたのはいい思い出です。

後輩の皆さんには、多少無理をしてでも時間とお金を費やして、いろいろなことの体験と体感をしてほしいですね。知識を得るための勉強をすることももちろん重要ですが、体験することも大切にするといいと思います。

できたら「やり切った」と思えるほど、夢中になれる時間を過ごしてほしいですね。その体験は、社会に出たとき、自分を支える自信になります。

(初出:広報誌『法政』2016年度4月号)

飛行練習で使用していた妻沼グライダー滑空場にて

飛行練習で使用していた妻沼グライダー滑空場にて

今でも社会人クラブでグライダー滑空を楽しんでいる

今でも社会人クラブでグライダー滑空を楽しんでいる