OB・OGインタビュー(2016年度)

滋賀弁護士会会長 弁護士 中原 淳一 さん

  • 2016年05月10日
OB・OGインタビュー(2016年度)

プロフィール

琵琶湖の国有種「ビワコオオナマズ」をモチーフにした滋賀弁護士会のキャラクター「ナヤマズン」と一緒に

琵琶湖の国有種「ビワコオオナマズ」をモチーフにした滋賀弁護士会のキャラクター「ナヤマズン」と一緒に

中原 淳一(Junichi Nakahara)さん

1973年神奈川県川崎市生まれ。
法学部法律学科卒業。合格率3%の難関を突破して司法試験に合格(52期)。司法修習生時代を大津で過ごし、2000年に神戸地方裁判所、福島地方裁判所で裁判官の任に就いた後、2004年に滋賀弁護士会に登録。2010年に独立し、大津京法律事務所所長に。2015年4月より滋賀弁護士会会長を務める。

偉大な先輩たちの教えを胸に法律のプロとして問題を解決

生まれも育ちも大学も首都圏ながら、あえて滋賀県で弁護士生活を送る理由を
「琵琶湖も近いし、環境がいいから」と笑う中原さん。多岐にわたる法的トラブルを、解決に導くために尽力しています。

滋賀で暮らす人々の笑顔が仕事のやりがいに

2007年に行われた、遠藤光男氏(中央)の喜寿のお祝いにて。法政の先輩としてお世話になった、滋賀弁護士会の平柿完治弁護士と(左)

2007年に行われた、遠藤光男氏(中央)の喜寿のお祝いにて。法政の先輩としてお世話になった、滋賀弁護士会の平柿完治弁護士と(左)

滋賀県で弁護士をしています。出身は神奈川県川崎市なのですが、司法試験合格後の司法修習で配属されたのが大津だったんです。知り合いのいない土地だけに、最初は戸惑いがありましたが、生活するのに環境はいいし、琵琶湖などの自然に癒やされつつ過ごしていました。

その後、裁判官として神戸や福島に赴任しました。しかし2004年に弁護士に転身しようと決めたとき、今度は自分の意思で大津に戻ってきました。当時、滋賀には弁護士が50人ほどしかおらず、新人弁護士の自分でも助けになればと思ったんです。弁護士会のメンバーもよく知っている人ばかりなので、心強くもありました。

ここでの弁護活動の多くは個人間の民事トラブルです。多重債務、離婚、相続など広い分野にわたって、解決のお手伝いをしています。弁護士から見るとよくある案件でも、相談に来られる方にとっては、一生に一度遭遇するかしないかの大問題です。うまく解決に至って、ホッとした顔で「ありがとうございました」と言われると、うれしさとやりがいを感じます。

今年度は、滋賀弁護士会の会長を引き受け、142人(2016年1月現在)のメンバーのまとめ役もしているので、それまで以上に忙しくもなりましたが、3月までの任期を精いっぱい務めたいと思っています。

趣味のゴルフはコンペで優勝を狙える腕前

日本弁護士連合会の集まりで開かれたゴルフ大会では、優勝を飾った

日本弁護士連合会の集まりで開かれたゴルフ大会では、優勝を飾った

休日は、趣味のゴルフを楽しんでいます。滋賀に来たばかりのとき、法政出身の先輩である平柿完治弁護士から教わって始めたのがきっかけです。平柿先生は20期近く上の大先輩なのですが、当時の滋賀弁護士会で法大卒の弁護士は私を含めて2人しかいなかったので、同窓のよしみでずいぶんかわいがっていただきました。すっかり虜になって、今では時間があるとクラブを振っています。先日行われた日本弁護士連合会の親善ゴルフ大会で、優勝できたのはうれしかったですね。

仕事中は座っていることが多いので、運動不足解消も兼ねて、ジムにも定期的に通っています。5年ほど前には琵琶湖一周サイクリングにも挑戦し、約200キロメートルを12時間以上かけて走破しました。次の日は筋肉痛で動けなかったので、2度目のチャレンジは遠慮しておきます(笑)。

めぐり合わせに導かれて法政から法曹の世界へ

インドに旅行した際、旅の途中で仲良くなったインド人一家と記念に

インドに旅行した際、旅の途中で仲良くなったインド人一家と記念に

振り返ってみると、法政に進んだのも、弁護士になったことも、縁に恵まれためぐり合わせのような気がします。

実は、私の実家の隣は、法政出身で最高裁判所判事をされていた遠藤光男先生のご自宅なんです。遠藤先生は、裁判官になる前には弁護士と兼務で法大の講師もされていたので、おそらく教え子たちをご自宅に招いていたのでしょう。漏れ聞こえる、にぎやかな校歌をよく耳にしていました。

そんな「隣のおじさん」の影響もあって、幼いころから身近に感じていた法政で勉強したいと思うようになり、法政二高を経て、法学部に入学しました。でも、当時は法曹の世界に進むことまでは考えていませんでした。ユースホステル研究会に入って、自由旅行の楽しさに目覚め、北海道から九州まで日本全国を巡りながら、のびのびと学生生活を楽しんでいました。

海外にも行きましたが、インドが一番印象に残っています。

法曹になることを意識したのは、下森定先生(第15代総長・名誉教授)のゼミでの研究活動からです。民法が専門で、司法試験考査委員も務められていた下森先生の教えは、実践的な事例学習が中心でした。4班に分かれて、取り上げたケースをどう考えるか討論するスタイルです。ただ講義を聞くだけでなく、自分たちで徹底的に調べて、解決に導く方法を探るうちに法律の面白さ、奥深さをあらためて発見しました。

法政は、私にいろいろなつながりをくれました。遠藤先生と下森先生というお二人の先生との出会いがなければ、私は法曹になっていなかったかもしれません。20年以上付き合いを続けていられる、大切な仲間にも出会えました。

後輩の皆さんにも、大学生活を思いきり楽しんでもらいたいですね。勉強も、「これだ!」という対象が今は見つからなくても、一生懸命やっておくと、社会に出てから思い出したり、役に立ったりします。気の合う仲間、友人と出会えたら、ぜひ大切にしてください。どちらも、将来の自分にとってかけがえのない財産になるはずです。

(初出:広報誌『法政』2015年度3月号)