3月5日(日)~7日(火)の3日間、市ケ谷キャンパスで学生センター・課外教養プログラム「大学生が考える薬物乱用防止の取り組み」として、法政大学Ⅰ部演劇研究会による薬物乱用防止啓発劇「エリちゃんの呪い」が公演され、137名が観劇しました。
エリカにはうつくしい妹がいる。
外見を切り売りする仕事をしていて、ふたりは生きていた。
「エリちゃんが世界でいちばんかわいいよ」
妹はきまってそう言った。
その妹と同じ顔で、母もまたこう言った。
「おまえはほんとうにかわいくないね」
美しいかんばせをした母と妹と、エリカは似ていない。
目頭の切開が、鼻のプロテーゼが、ボトックス注射を打った輪郭が、
スポットライトの熱で、ぐずぐずに溶けていく気がする。
食べなきゃ。はやく。
あのお菓子を食べれば、また大丈夫になれるから。
「おかあさん、あなたのことが、嫌いです」
(Ⅰ部演劇研究会チラシより)
脚本・演出を担当したⅠ部演劇研究会の坂本芳乃さん(文学部日本文学科4年)からは、「私が今回の企画を立てる上で、薬物乱用を啓発するにはどうすべきかと考えたとき、真っ先に思い付いたのは、全員に当事者意識を持ってもらうことでした。薬物について多くの人は、自分には関係ないことだと思っているそうです。当たり前のことです。しかし、そうではない。薬物の魔の手は、いつどこから忍び寄ってくるか分からない、他人事ではないということをお伝えしようと思いました。『かわいい』の妄執に取りつかれ破滅していく主人公のエリちゃんもまた、誰の心にもある存在として描きました。エリちゃんも、薬物も、絶対に無関係ではない。御覧くださった皆様にそれをお伝えすることができたなら、幸いです。」とコメントがありました。