法政フォトジャーナル(2016年度)

「三鷹天命反転住宅見学・体験ツアー~死なないための住宅~」を実施しました

  • 2016年06月13日
法政フォトジャーナル(2016年度)

市ケ谷ボランティアセンター主催で5月28日(土)、「三鷹天命反転住宅見学・体験ツアー~死なないための住宅~」を実施し、14名が参加しました。

三鷹天命反転住宅とは世界的に著名な現代美術家である荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏によって設計された住宅です。この住宅には「死なないための住宅」というテーマがあり、住宅の中で生活することによって人の身体と感覚に秘められた可能性を引き出すという思いのもと設計された建物です。今回はその建物でワークショップをするプログラムを企画しました。

三鷹天命反転住宅の外観はとてもユニークなデザインなのですが、建物の中もとてもユニークな配色と構造をしていました。第一印象としては「機能性はあまり高そうではないな」というものでした。しかし、今回の体験を通じてそれが大きな間違いであるということを痛感することになりました。少ない収納を補うために荷物を吊るすことが出来る天井、予想以上に多くの人が入ることが出来る球体の部屋など新鮮なデザインに驚きの連続でした。

また、身体が形状を記憶し適用することを実感することのできる凹凸や傾斜がある床や、どの場所にいても五色以上の色が視野に入ってくるようデザインされ、自然と同じような色彩環境にすることで、大胆な色使いをしながらも違和感をなくす配色の工夫にも感心しました。

目隠しをして部屋を歩き回った際には、視覚が断たれた状態で、特殊な構造をした部屋の中を大人数で動き回るのには恐怖も感じましたが、足裏や手から感じる感触や周りの音、他の人の体温など普段では感じることのできないような、かすかな感覚を感じることができました。

このデザインは、私たちが日常で用いるユニバーサルデザインといった「すべての人にとって使いやすい」デザインとは対極にあるように見えます。しかし、今回の体験を通して自分のなかで眠っていた感覚を引き出すことが出来たと思います。

それは普通の生活を送る上ではなかなか経験することが出来ないことであり、「人にとっての使いやすさ」というものを一考する機会となったのなら幸いです。

【ボランティアセンター学生スタッフ(VSP)】阿由葉 史弥(法学部・法律学科2年)

ユニークな外観の三鷹天命反転住宅に到着

ユニークな外観の三鷹天命反転住宅に到着

見学に先立ちスタッフの方から住宅の説明を受ける

見学に先立ちスタッフの方から住宅の説明を受ける

天井から吊るすことで収納量が増える

天井から吊るすことで収納量が増える

床の凹凸、傾斜を体感している様子

床の凹凸、傾斜を体感している様子

目隠しをして限られた感覚を頼りに移動する

目隠しをして限られた感覚を頼りに移動する

予想以上に多くの人が入ることが出来る球体の部屋

予想以上に多くの人が入ることが出来る球体の部屋