性自認(性同一性・ジェンダーアイデンティティ)とは、何なのか?
近年、LGBTQ+のような性のあり方がマイノリティ(少数派、社会から周縁化された集団)の人たちの総称の1つとして周知されていることに付随し、性的指向や性自認(性同一性・ジェンダーアイデンティティ)という用語も広まりつつあります。「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」では、性的指向は「恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向」、ジェンダーアイデンティティは「自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識」と定義されています(※1)。性的指向は理解されやすいのですが、性自認(ジェンダーアイデンティティ)についてはイメージしにくかったり、SNS上で間違ったイメージが広まっているため、改めて確認してみましょう。
そもそもアイデンティティとは、「自分が自分であること、さらにはそうした自分が、他者や社会から認められているという感覚(※2)」のことを指します。性自認(ジェンダーアイデンティティ)は、このアイデンティティの1つですが、自身の性のあり方に葛藤したり悩んだ経験が少ない人ほど、この性自認という概念を実感したり認識するのが難しいかもしれません。
というのも、性別への違和感を経験する人は、例えば「法律上の性別」や「身体の性的特徴」、「周囲から認識される性別」等と、自分の性別に関する認識が一致しないからこそ悩みが生じます。また、自分の気分や意思で性自認を変えられないからこそ、違和感に悩み、葛藤します。その過程で「この違和感って何だろう」「自分っておかしいのかな/変なのかな」と悩み、自分はどんな性のあり方の人なのかということを考え続けます。だからこそ、法律上の性別や身体の性的特徴のような目に見えやすいものとは別に、目に見えなくとも確かに存在する「性自認」という概念があることで、自分の違和感が説明できたり、自分のことを理解しやすくなると考えられます。
以上のことから、性自認は自分の性のあり方に悩んだ経験がある人の方が、認識しやすいと考えられます。性別に違和感がある人たちの経験や人生は、多様です。人によっては、違和感を少しでも解消するために、髪型を変えたり、服装を変えたり、名前を変えたり、医学的な診断(性別違和・性別不合)を受けて身体的な治療を進める人もいます。性別への違和感の経験も含め、社会生活を変えていくプロセスのことを「性別移行」と言います。もちろん、本人の状況(経済的、身体的、社会的なもの)や人間関係、価値観や考え方等によって、それらをしない/できない人、目に見える表現を変えることにとらわれない人もいますし、何をもって性別移行が完了したといえるかも、個人によって異なります。性別違和を経験したり、性別移行をする人たちを総称して「トランスジェンダー」といいますが、多様な人たちがいることを知るためにも、是非いろいろな人の声に耳を傾けてほしいと思います(巻末資料参照)。
DEIセンターでは、性自認を含め多様なジェンダー・セクシュアリティについて考えるイベントや相談の場を用意しています。是非学びを深めに遊びに来てください。
【引用文献】
1:内閣府(2023)「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」
2:ヒューライツ大阪「アイデンティティとは何か(内田龍史)」https://www.hurights.or.jp/japan/learn/terms/2011/10/-new.html (最終閲覧 2026/01/07)
【参考資料】
LGBTQ+当事者のライフヒストリーをインタビューしたウェブサイト
普段トランスジェンダーを身近に感じていない人でも、情報の交通整理ができるように作られたサイト。ファクトチェックなども行っている。
DEIセンター コーディネーター
公認心理師・日本GI(性別不合)学会教育系コーディネーター