法政大学文学部は、1922年に法文学部の文学科と哲学科として開設されて以来、「自由と進歩」という大学建学の精神を受け継ぎつつ、文化全体と深く結びついた学問を探求し、幅広い人間的教養を備える人材を輩出してきた。そのよき伝統を継承しながら、新しい時代に向かって人間と社会をとらえ直す研究を進めるとともに、大学全体で培ってきた「進取の気象」を持つ自立した市民を育み、多様化する世界で問題の解決に向かう真の知性を示していくことを目的とする。
哲学科は、自由と進歩という大学建学の精神のもとで、深い哲学的教養に裏付けられた自主自律の人材を育成することをモットーとする。すなわち、時代や権威に流されず進取の気象にあふれて、物事にむかって前向きな姿勢を保てる人、国際的な視野や多様な関心をもって、広く他者に心を向けて積極的に主張ができる人、ものごとを論理的に深く考えて、説得力のある議論ができる人などを総合的に育成することによって、現代社会に対して貢献することを目的としている。
本学科は、文学部のなかで最も長い歴史をもち、社会をになう逸材を数多く世に送り出してきた。その歴史を踏まえた上で、時代の変動を超えて世の中に貢献できるようつねに努力を重ねていく。
日本文学科は、その創設以来培ってきた「自由と進歩」という大学建学の精神を体現する学風を維持し、日本の文学・言語・芸能の歴史と現状についての先鋭で多様な研究を進めるとともに、その成果を生かして法政大学の伝統を担う「進取の気象」をもつ人材を育成することによって、干数百年にわたって蓄積されてきた日本語と日本文化の豊かな遺産を世界と次世代へと受け継いでいくことを目的とする。
英文学科は、英語圏の文学・文化の理解を深めること、そして、英語および英語を含む自然言語の研究により、科学的思考法を養うことを教育目標とする学科である。
英文学科にひらかれている英米文学、英語学、言語学という三つの異なる分野は、「英語(およびその他の自然言語)に関わる学問・学芸」として集約される。これら三つの異なる専門分野をとりもつ「英語」は、英文学科における学問の基礎をなすものである。英語に対する学習意欲を高め、基礎学力を上げることで、それぞれの学問分野への理解も深まると考えられる。
英語という「言語」を基礎に置き、文学を通じて自他の人生や世界をより深く考えることのできる思考力と倫理意識を養い、言語学を通じて科学的な分析力と思考力を養うことを、本学科は目指している。それにより、人間的なものへの高い感受性と共感力を備え、同時にその共感を単なる情緒的感覚として持つだけでなく論理的に他者に語りうる、柔軟かつ理性的な人間を育成し、広く世界に貢献していくことが、本学科の目的である。
歴史学は史料(歴史資料)を集めて内容を解釈し、その史料分析を積み重ねて史実を捉え、その史実を体系化して歴史像を構築しようとする学問である。史学科では、史料に基づきながら歴史学の方法論を習得し、これによって過去から未来を論理的に見通せる思考力としての「歴史を見る眼」を持った人材を育成する。そのような「歴史を見る眼」は、歴史の中での自らの位置を客観的に見定め、次の一歩をいかに踏み出すべきかを主体的に決断する力につながるものであり、「自由と進歩」「進取の気象」という法政大学の建学の精神を体現する。かかる人材の育成を通して、史学科は広く社会に貢献していく。
欧米で「諸科学の母」と位置づけられる地理学は、現代ではまた、地球環境問題に深く関わる総合科学として高い評価を得ている。地理学が「旧くて新しい学問」と言われるゆえんである。
人間が生活の場としているこの地球表面付近において生起する自然的•人文的諸事象を時間的・空間的な分布現象として捉え、それらに対して周辺諸科学と関わりながら、科学的な視点からアプローチを試みるのが「地理学」である。本学科では、この総合科学としての「地理学」の学習を通して、現代社会において今後とも一層その存在が期待される「地理学」的な物の見方•考え方やその素養を獲得することによって、多様な社会に貢献できる有能な人材を育成する。
心の世界は、主観的で外から見えない個人的なことのように思われがちであるが、これを観察し測定できるような客観的な形でとらえ、科学的に分析していくのが心理学である。 本学科では、発達と認知という2つの分野を柱に、社会に貢献できる心理学の知識をしっかりと身につけるとともに、心の仕組みを研究するための方法を修得していく。