この度、文学部史学科の小口雅史教授が、令和2年度「青森県文化
文学部史学科 小口雅史教授
(法政大学文学部教授、国際日本学研究所兼担所員・前所長、弘前大学国史研究会顧問、日本古文書学会会長)
青森県褒賞は、公共の福祉増進に功労の著しい方(団体)又は広く県民の模範となる方(団体)の事績を顕彰し、褒賞するものです。青森県褒賞規則に基づき、昭和33年度から毎年行われており、本県における最高表彰として位置づけられています。
褒賞の対象:県内に在住する功労者だけに限らず、県外にあっても本籍地が県内にあるなど本県に密接な関係がある功労者について対象としています。
褒賞の範囲:次の12部門に区分しています。
1 人命救助・災害時功労・治安維持等 2 徳行 3 名誉高揚 4 勤労 5 地方自治 6 教育・学術・芸術・体育等 7 発明・発見・考案・改良 8 社会福祉・民生安定 9 保健衛生 10 産業・経済・土木・交通等 11 貯蓄・納税・消防・統計 12 その他(交通安全、自然保護、ボランティア等)
多年、北方史を始めとした日本古代・中世史の研究に励み県内自治体史編纂に数多く携わり、地方史の発展に寄与するなど文化の発展に貢献した功績まことに顕著であるため
私が日本北方史に取り組んだきっかけは1985年の弘前大学赴任時でした。当時は津軽地方の歴史と言えば、著名な郷土史家による名言「津軽の歴史は縄文から為信へ」で明らかなように、古代中世史がすっぽり抜けていたのです。それで私が一から再検討し、その成果を学会誌は当然として、さらに青森県内の自治体史に反映させていきました。1990年からの『弘前市史』『五所川原市史』、1994年からの『浪岡町史』、1995年からの『青森県史』、1996年からの『青森市史』などです。とくに大規模な『青森県史』では、古代については対象を青森県域にこだわらず、広く北方世界を対象として編纂しました。20年以上を要する大事業でした。多くは法政大学へ異動した後、完成させたものです。これらの仕事は苦労も多かったのですが、北方古代中世史研究の開拓には貢献できたと思っております。今回の褒賞はこれらの長年の仕事を評価していただいたということで、大変嬉しく思っています。