地理学科のカリキュラムには他の学科では絶対に味わえない,特色ある授業科目があります。それは現地研究といわれる科目です。学生と教員が原則として2泊3日の日程で各地域に出かけて,テーマごとに観察・計測・ききとり(ヒアリング)・見学などさまざまなカタチで研修するものです。
地理学科の教育システムで、現地研究はある意味で特別な場所を占めています。地理学科の学生は卒業までに原則として2泊3日のユニットに2つ参加しなければなりません(ただし、履修登録は4年生時)。
この現地研究は、一般には「巡検」(Excursion)と呼ばれる行事で、地理学文化のひとつとして内外の地理学界ですっかり定着しています。外国で開催される地理学会では研究発表とは別に専門分野ごとにエクスカーションが用意されていて、参加者は相互に交流しながら数日間ともにフィールド調査を楽しみます。
ヨーロッパでは、学会ならずとも遠来の地から地理学者が来訪したような場合、ゲストへのもてなしのひとつとして、自分が研究しているフィールドに案内して、説明したり質疑応答を楽しんだりする習慣があります。これも地理学文化の良き伝統でしょう。
日本語で「巡検」というのはなにか「封建領主が領地をめぐりながらその地の石高をあらためる」という語感があることを嫌って、法政大学では現地研究という名称にしたのだと、ずっと以前に、本地理学科の故鴨澤巌先生から直接伺ったことがあります。
多くの場合、こういう機会でもなければ訪れることがないような地域に出かけ、学生と教員が24時間寝食をともにしながら、研修に懇親にひたすら励みます。近ごろSAとか言って、にわかに設けられた外国滞在とはわけが違う地理学特有の伝統行事です。
現地研究は、地理学系教員8名が原則として十数回の現地研究を開催することになっています。地理学科の学生は卒業するまでに2つ以上の現地研究を履修することが必須となっています。毎年4月に当年度の現地研究実施予定が掲示されるので、しっかりと内容やテーマを吟味して、これと思うプログラムに参加してください。