科目を大別すると、「英文学」、「米文学」、「英語学」、「言語学」、「英語力向上を目的とした科目(作文、会話、時事英語など)」に分けられます。これらの領域の中に個々の科目が配分されています。そのほか、他学科や他学部の設置科目からも興味に応じて選択することができます。
文学の勉強とは本を読むことだけではありません。映画や舞台公演はもちろん、場合によってはアニメや漫画も研究の対象となりえます。英文学科の文学系科目では、本を読むことに苦手意識を持っている人にも身近に感じられるような幅広い題材を用いた授業が展開されています。それらの授業を通じて、作品を丁寧に読み解くことのおもしろさ、その背後にある社会と文化について学ぶことのおもしろさ、そして様々な角度からの作品解釈を共有することのおもしろさを実感として知ることができるのです。そのように発信・共有しながら勉強していくうちに興味の幅が広がり、やがて本のページをめくることも楽しく感じられてくることでしょう。
英文学科の文学系科目のもう一つの特徴は、扱う地域の多様性です。イギリスとアメリカだけに留まらず、様々な英語圏の文化と文学を比較しながら学ぶことができます。さらには、ヨーロッパや日本の文化との比較をおこなう授業もあります。グローバル化の進む現代は、異なる文化的・歴史的背景を持つ人々どうしの相互理解がきわめて重要になってきている時代です。そんな中でこそ、文学の学びを通じて培われた幅広い知識と他者理解の力が役に立つのです。
文学研究の根幹は精読(close reading)です。作品の主題や作者の意図を安易に決めつけたり単純化したりするのではなく、まずは作品の細部に目を配り、その言葉や表現形式を注意深く分析していくことが重要です。そうすることで、ただあらすじを漫然と追っているだけでは気づけない作品の魅力を理解できるのです。また、文学研究では、そのような丁寧な分析によって能動的に得た理解と感動を適切に言語化し、他の人に伝わるような論理的な解釈を組み立てていく技法を習得します。このようなスキルは、実は社会において大きな力を発揮するものです。気づきのアンテナを張って状況に応じた着眼をし、批判的に考え、リサーチをおこなった上で論理的な文章を作成する能力は、どのような職種にも必要とされるものです。作品の良さを見つけて丁寧に引き出せる力は、人の良いところに気づくことのできる力でもあるのです。
英語は進化しつづける
英語ほど変化した言葉はないでしょう。5世紀半ばに「英語」が生まれたときには、今のドイツ語のように、男性、女性、中性名詞がありました。wifeは中性名詞、womanは男性名詞でした。複雑な語尾変化を区別する発音があいまいになり、ゼロになって単純化され、代わりに語順などで文法関係を表すようになりました。発音も、子音・母音ともに非常に変化し、つづり字との関係が複雑になりました。また、フランス語、ラテン語などの借用語が多いのも英語の特徴です。
1のhimをwhoにして疑問文を作ると2になるはずですが、2のような言い方は、なぜか英語では許されません。面白いことに、2の逐語訳のはずの日本語文3も、2とは違う意味になってしまいます。なぜなのでしょう? 統語論は、こんな疑問を考える学問です。
LとRは難しいなあ。“bag”を発音しようとするとなぜ“baggu”や“bakku”となるんだろう? このような悩みは、英語学習者の共通の悩みですよね。確かにLやRの発音は日本語を母語とする私達には難しいし、“bag”を「バック」と発音してしまう人もいるでしょう。その原因は、日本語と英語の「音のシステム」の違いにあります。外来語ではない日本語の言葉で「っ」の後に濁音が来ることはないのです。音韻論は、このような、ふだん意識せずに話している言語の「音のシステム」についての、学問です。
いつでも、どこでもフィールド・ワーク
電車の中で、高校生の会話に耳をそばだてる。雑誌を買って広告だけをスクラップする。同じ野球の試合を、テレビとラジオの両方で記録する。社会言語学者にとって、これらはみんな立派なフィールド・ワークです。それぞれ「若者言葉の特徴」、「広告コピーの言語」、「メディアによる言語表現のちがい」を分析しようとしているのです。社会言語学は、人間の言語活動を多面的に捉えようとする学問領域です。
子供の時に言葉を学ぶのと、大人になってから学ぶのとでは、違いがあります。小さい時、日本語を学んでいくのに「疑問文の作り方」や文法を学びませんよね。子供は無意識に文法を学ぶのに対し、大人は「意識」しながら学習します。第二言語習得とは、大人と子供の言語習得の違いについて、また、大人の言語習得とはなにかを追及する学問です。
英語にはリスニング、リーディングというインプットと、スピーキング、ライティングというアウトプットの二つの分野があります。「英語表現演習」では、ふだん行う機会の少ないアウトプットを中心に学びます。英語を使って自己表現できるようになることが、目標です。たとえば、自分の意見を説得力ある英文で書いたり、異なる二つの意見にわかれて討論するディベートなどを行います。こうした授業を通して、英語を使って、自分の意見を的確に表現し、相手を説得できる力を、養うのです。
(提出された卒業論文題目の一部です。)