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教職課程センター主催・キャリアデザイン学部協賛のシンポジウムが開催されました

  • 2022年03月23日
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2022年3月12日(土)の午後に、2021年度の教職課程センター・シンポジウムが、市ヶ谷キャンパス・ゲート棟403教室(ZOOMで同時配信)で開催されました。このシンポジウムは、キャリアデザイン教授で、教職課程センター長・高野良一の最終講義を兼ねたものでした。

シンポジウムのテーマは、「学校の組織・学習環境をデザインするー民主主義・シティズンシップ・本質的な問いを焦点にー」です。特に副題に掲げた、民主主義やシティズンシップは、2月末からのロシアによるウクライナ侵攻という想定外の事態も加わって、アクチュアルな話題となり、シンポジウムはこれらを議論する“広場”となりました。

 登壇者に即して、シンポジウムの進行と内容を要約しておきます。まず、高野が、自らの研究キャリアとシンポジウムのテーマを交差させた「最終講義を兼ねた発題」をおこないました。ほぼ50年に渡る学校組織デザインの研究を振り返りながら、副題と関わる学校環境デザインにも言及をおこないました。詳しくは、『法政大学キャリアデザイン学部紀要』第19号(2022年3月刊)掲載の「ある周縁人の研究キャリアの素描―最終講義に代えてー」をご覧ください。

 続いて、3人の方から報告がありました。まず、澤田稔・上智大学教授が、「デモクラティック・スクールの現代的意義―社会的に公正な教育の構想へー」と題して報告されました。ミッション・ヒル・スクールという“公立デモクラティック・スクール”を事例紹介しながら、民主主義と社会的公正に基づく、インクルーシブでコンピデンシー・ベースのカリキュラム・デザインの実践が紹介されました。

 二人目の報告者は、坂本旬・キャリアデザイン学部教授ですが、本学の図書館司書課程の担当者でもあります。メディア教育学の立場から、「デジタル時代のリテラシーとシティズンシップ」と題した報告でした。ウクライナへの侵略戦争にも言及しつつ、日本のデジタル・シティズンシップ教育やアメリカの「アップスタンダー教育」の動向も交えて、「クリティカルなメディア・リテラシー」のあり方が提案されました。    

最後の報告は、辻本昭彦・生命科学部准教授の「理科教育における本質的な問いとシティズンシップ」でした。自身の「武蔵野市改造計画―ズバリ市長に提言―」などの教育実践を紹介しながら、「シティズンシップとは何か」という「本質的な問い」、さらには「理科を学ぶとはなにか」と関わる「文理融合―サイエンス・シティズンシップ」の実践例が紹介されました。

以上の第1部を受けて、第2部ではパネル・ディスカッションがおこなわれました。口火を切ったのは、小玉重夫・東京大学大学院教授による「コモンズからニューパブリックへー教育学のアネーキズム的転回に向けて」と題する、メイン・コメントでした。高野の研究キャリアにも触れつつ、非国家的公教育の創出者の市民(性)をめぐるパラドックス、「間にいること」やコモンズ・コモンセンス形成の可能性について、教育政治学の立場からコメントされました。

続いて、いずれも本学の教職課程も担当する、児美川孝一郎・キャリアデザイン学部教授、平塚眞樹・社会学部教授、松尾知明・キャリアデザイン学部教授から、コメントがありました。これらは5分程度の短いコメントでしたが、教育の市場性、学校法人、シティズンシップ教育に関する基本的な問いや論点を提起するものでした。以上が予定されたコメントでしたが、残り時間もわずかになり、来場者との交流もお二人のコメントを頂くことでしか果たせず、まことに残念でした。

最後に、シンポジウムの冒頭で、法政大学教育支援本部担当常務理事の小秋元段・文学部教授に、閉会に際しては平山喜雄・法政大学学生支援本部担当常務理事と荒川裕子キャリアデザイン学部長に、ご挨拶をいただいたこと、学年末の多忙な折りにも関わらず150名程度(会場とZOOM視聴がほぼ半分ずつ)の参加をあったことを申し添えておきます。なお、シンポジウムの詳細については、今後、『法政大学教職課程年報』等で公開する予定です。
(文責 高野良一)