お知らせ

入学の辞

  • 2020年04月03日
お知らせ

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、4月3日、両国国技館で行われる予定であった入学式は残念ながら中止となりました。当日、新入生の代表である3人の学生に述べていただく予定でありました「入学の辞」をここに掲載します。

皆さんの学生生活が充実したものとなるよう心より願っています。

国際文化学部国際文化学科 折原未来さん

穏やかな日差しが心地よいこの良き日に、私たちは晴れて法政大学に入学します。「自由と進歩」を掲げるこの法政大学で、これからの日々を、自由な発想と好奇心を持って、多くのことを学べることは限りない喜びであります。私たち新入生はこの気持ちを胸に、互いを高め合い、大学という新たな世界へと飛躍していく所存です。 

本日、私は国際文化学部国際文化学科に入学します。私はそこで、異文化について学ぶと同時に、自国の文化を客観的に探求していきたいと思っています。

残念ながらコロナウイルスの影響で延期になってしまいましたが、今年、東京ではオリンピックが開催される予定でした。前回、1964年の東京オリンピックの時には、開催に向けて新幹線や高速道路などインフラの整備が盛んにおこなわれ、それが高度経済成長の弾みとなり、日本の成長の大きな契機になりました。今回の東京オリンピックでは、日本という一国の成長にとどまらず、日本が世界にポジティブな変革を促すというビジョンが掲げられていました。

現代の世界の変革を語る上で最も重要なキーワードはグローバル化です。グローバル化の進展により、たくさんの人や物、情報が行き交うようになり、市場が拡大し、人々の生活は豊かになりました。現代では文化間の交流も盛んに行われ、人々はインターネットを通じ世界中の様々な音楽や映画、アニメなどを手軽に楽しむことが出来ます。このようにグローバル化は世界の人々の生活や文化を豊かにしてきました。しかし一方で、多くの国が互いに、そして複雑に影響し合うようになった結果、貧困や差別、紛争、ジェンダー、環境問題など、様々な社会問題が地球規模で取り組まなければ解決できなくなってきました。

こうした国際社会を私たちの世代は生き抜いていかなければなりません。そのためには、確固とした信念と、広い視野を持つ必要があります。私は国際文化学部で、各言語圏特有の文化を学びたいと思っています。語学だけでなく、多様な文化についても学ぶことで、柔軟な思考力を養い、国際社会でも通用するような人材になりたいと思います。私たちには、世界に目を向けて積極的に行動することが求められているのではないでしょうか。グローバル化が進んでいる現代では、海外で起きている出来事も他人事ではありません。私たち一人一人が当事者としての意識を持つことが大切だと考えます。

また、異文化について知るためには、自国の文化についてもよく知る必要があると思います。自分たちの文化をしっかりと理解出来ていれば、異文化を尊重しながら、より深く理解することが出来るはずです。そこで大切なのは、自国の文化を客観的にとらえ、物事を多角的に見られる力を身につけることです。そしてそれを通じて、私たちは溢れかえるたくさんの情報の中から真実を見極めていく力も身につけていくことができるのではないでしょうか。

私たちはこれから過ごしていく時間の中で、自分の興味・関心を追求し、精一杯情熱を注ぎながらたくさんの経験を積むことでしょう。学問においてはさることながら、新たな環境で、今まで出会ったことのない様々な人々と過ごす日々は、私たちを人間的な面でも成長させてくれるはずです。そうして培った豊かな人間性は、私たちが柔軟に物事を考えること、広い視野で世界を見つめていくことを可能にしてくれるでしょう。

結びにあたり、本日は私たち新入生のためにこのような盛大な式を開催して下さいました大学関係者の皆様、そして、今まで私たちにたくさんの愛情を注いで育ててくれた保護者の方々に新入生を代表して感謝を申し上げ、入学の辞とさせていただきます。

 

2020年4月3日
新入生代表 国際文化学部国際文化学科 折原未来

人間環境学部人間環境学科 渡邉 恵菜さん

やわらかな春風に心華やぐ季節となりました。この良き日に、私たち新入生はこの歴史ある法政大学に入学します。新たなる門出への期待と希望を胸にするとともに、先輩方が築き上げて下さった法政大学の名に恥じることのないよう、身の引き締まる思いでおります。 

本日、私は人間環境学部人間環境学科に入学します。そこで、人と動物との共生という観点からまちづくりについて考え、人と動物双方が暮らしやすい持続可能な社会づくりに貢献したいと思っております。

私は、猫を5匹飼っています。5匹の猫は、全て保護猫です。高校時代、動物の殺処分に関することを調べていた際に、驚くべきデータを見つけました。環境省によると、猫の繁殖力は非常に高く、1匹のメス猫は放っておくと3年後には2000匹の子孫を残しているそうです。このデータを見つけたとき、野良猫を放っておいてしまったら、人にとっても暮らしにくい街になってしまうし、野良猫一匹一匹の生活の質もどんどん下がってしまうと感じました。そのため、私は、まちづくりにあたって、人間だけではなく、動物にも暮らしやすいまちを目指していくことが、持続可能な社会づくりにつながると考えました。

野良猫に関しては、今日でも地域で様々な対策がなされていますが、日に日に増加する野良猫の数に対して、対策がまだまだ追いついていないのが現状です。

私は、これを解決するために一番大切なことは、こういった現状や問題について多くの人に知ってもらうことだと思います。

野良猫の問題に限ったことではありません。持続可能な社会づくりにおいては、取り組むべき課題について多くの人に知ってもらうことで、様々な立場の人から多くの支援が集まり、また、様々な視点から意見が集まることで、新たな解決方法を見出すこともできます。

そこで、最も重要になるのが、情報発信力です。自分の見出した課題や、それに対する解決策を、より多くの人に届け、興味を持ってもらうことが大切です。そのような情報発信力を身につけなければ、社会を動かすことは難しいのではないかと思います。

私は問題についてあらゆる視点から考える力に加え、日本だけにとどまらず、世界中に自らの考えを発信していける力を育む4年間を過ごしたいと思います。

これからの人生において、私たちは、私たち自身で選択をしなくてはならない状況が多くなることと思います。そのような中で壁に突き当たることも少なくないでしょう。そんな時、これからの大学生活で様々な経験を通じて学んでいくことが、私たちの助けとなるに違いありません。大学 4 年間は 社会に出る前の貴重な時間です。その限られた時間の中で、私は失敗を恐れず、多くのことに挑戦していきたいと思っています。私はその貴重な時間を法政大学という最高の舞台で過ごせることに大きな喜びを感じています。

結びにあたり、本日、私たち新入生のために、さまざまな準備をして下さった関係者のみなさま、諸先生方に、新入生を代表して心より感謝申し上げます。そして、これからの社会を担うことのできる人物となるために、日本中から集まった仲間と日々努力し、互いに切磋琢磨することをここに誓い、入学の辞とさせていただきます。

2020年4月3日
新入生代表 人間環境学部人間環境学科 渡邉 恵菜

経済学部現代ビジネス学科 野口紗椰さん

太陽の光が満ち溢れ命が生き生きと活動を始める春となりました。私たちは本日、140年という長き歴史と輝かしき伝統を有する法政大学に入学します。新しい生活の始まりに僅かながらの不安もありますが、それ以上の喜びと希望に胸を躍らせています。

昨年五月には、元号が「平成」から「令和」へと新しく変わり、私たちを取り囲む環境も今、激しく変化しています。急激な技術の進歩や高度情報化は、人々の暮らしを豊かにしています。しかしながら、人工知能、いわゆるAIの進歩により、私たちの職が奪われるのではないかという不安や、溢れる情報に適切な判断が困難になってしまう、といった弊害が生まれています。また、少子高齢化社会の進展など、あらゆる分野で大きな改革が必要になってきています。この時代を生き抜くために、私たちは知識を深め、技術を磨き、創造力を培わなければなりません。なおかつ、対話を通して、自分の考えを伝える力、即ちコミュニケーション能力を養わなければなりません。

私は経済学部現代ビジネス学科に入学します。そこで社会の仕組みを捉える力を身につけると共に、現代の諸問題について学び、自ら考え、行動する実践力を養っていきたいと考えています。経済は世の中を構成する軸です。それゆえ、経済学を学び、関連分野の様々な知識を習得することで、俯瞰的に世の中を見渡し、物事を考えられる人間に成長していきたい、これが私の今の目標です。

多様化、複雑化している現代の社会において、私たちは計り知れないほど多くの困難な問題に直面していくことになります。そのような中で私たちは、各々の夢や目標を掲げ、自らの可能性を信じ、一歩一歩前進していかなければなりません。更なる高みに向かって努力することは、必ずや、自らの糧となるはずです。

しかし、これからの大学生活、壁にぶつかり挫けてしまうことも少なくないでしょう。そんな時は仲間と励ましあい、議論を重ねることで、乗り越えていきます。私は、これまでの学校生活のなかで多様な価値観を持つ仲間との出会いにより、視野が広がったと確信しています。様々な人との関わりが、きっと私たちを成長させてくれるでしょう。

私たちはまだまだ未熟です。どうか教職員の皆様、先輩方にはあたたかく時には厳しいご指導を賜りますようお願いいたします。

最後になりますが、本日この入学式を迎えるにあたり、ご尽力いただいた田中総長をはじめ、教職員の皆様、ご参列いただいたご来賓の皆様、保護者の皆様に心より感謝を申し上げます。今、私たちがここに立っていられるのは、皆様の支えがあってのことです。この感謝の気持ちを忘れずに前進していくことを誓い、新入生を代表して入学の辞とさせていただきます。

2020年4月3日
新入生代表 経済学部現代ビジネス学科 野口紗椰