お知らせ

【実施報告】誰もが安心して過ごせる大学を目指して ~SASH×DEIセンター企画 無料生理用品設置プロジェクト~

  • 2025年03月30日
  • イベント・行事
お知らせ

法政大学は、2016年に法政大学ダイバーシティ宣言、2018年に総長によるSDGsステイトメントを発表しました。
SDGsの『誰一人取り残さない』という理念のもとその様々なゴールにアプローチすることに加えて、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の実現のためにも、誰もが安心して過ごせる大学づくりを目指しています。

登校時の急な生理や、手持ちの生理用品の不足などに不安を感じることなく、安心して大学生活を送ることができるよう、学内への無料生理用品設置の本導入を目指し、2024年10月から2025年3月にかけて、学内で試行的に無料生理用品の配布を行いました。

試行実施は、大学公認学生組織SASHとDEIセンターとの連携企画として実施し、実際に利用する学生の思いも盛り込んだ試みとして行いました。
※試行実施の詳細は、こちらをご覧ください。

この度、試行実施の結果を受け、2025年4月からの無料生理用品の本導入が決定しました。
それにともない、あらためて試行実施の報告とこれまでの経緯、そして2025年4月からの本導入の詳細についてご紹介します。

学生の声から始まったプロジェクト

このプロジェクトは、日々法政大学で生活する学生の声からスタートしました。

安齊惟花さん(キャリアデザイン学部・3年)は、「生理で苦しむ女性の現状を変えたい」という思いを持っていました。ある授業で、経済的な問題から生理用品を購入できず、安心して学校に通うことができないという女子学生が5人に1人いるという現実を知ったことが、きっかけでした。

一方で、1人での実現に不安を感じていたところ、法政大学公認学生組織SASH(SDGs Action Students of Hosei)の存在を知りました。SASH(SDGs Action Students of Hosei)は、「ワクワクする未来を創造する」をモットーに、法政大学でSDGs達成のために様々な活動を行う学生組織です。その特徴として、SDGsに関する課題や現状を学生自身が主体的に捉え、考え、それに対する企画を検討し、実施していくという、学生主体でプロジェクトが動いていくというところにあります。安齊さんは、同じ志を持つ仲間と協力し、主体的に活動できる場に魅力を感じ、SASHへの加入を決めました。

SASHに加入した安齊さんは、大学内に生理用品を設置し、必要な時に誰もが安心して利用できる環境を整えることを目指し、今回のプロジェクトを立ち上げました。「なぜ生理用品は必需品なのに手に入りにくいのか」「なぜトイレットペーパーは備えられているのに生理用品は持ち歩くのが当たり前なのか」といった疑問から、この状況を強く変えたいと感じたからです。

この実現に向けて、SASHのメンバーにも声をかけ、同じ志を持つ仲間たちと、プロジェクトとして始動しました。

DEIセンターとSASHの連携

このプロジェクトが始動するタイミングで、法政大学の学内でも大きな動きがありました。
2024年4月のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンセンター(以下、DEIセンター)の開設です。

法政大学は、2016年に「ダイバーシティ宣言」を発表し、ダイバーシティ推進に継続的に取り組んできました。2024年4月には「グローバリティ・ダイバーシティ推進本部」を設置し、大学全体として組織的に取り組みを推進すべく、その中心の役割を担う機関としてDEIセンターを開設しました。

DEIセンターは、多様な背景を持つ学生・教職員が安心して過ごすことができる、ダイバーシティを重視した大学の実現に向けて様々な取組を推進しており、SASHが進めるプロジェクトとも理念が合致していました。「トイレへの無料生理用品設置」のアクションは、SASH ×DEIセンター連携企画として実施することとなりました。

試行実施と利用者の声

本格的な導入に先立ち、まずは2024年10月から2025年3月にかけて、企業のご協力のもと、学内のトイレに無料の生理用品と自動開閉式のサニタリーボックスを試行的に設置し、モニタリングを行いました。

モ)学内掲示ポスター.jpg

無料生理用品設置の試行実施に関する周知ポスター

この試行実施に至るまでにも、学内への生理用品の設置を考えた学生団体はありましたが、実施体制や運営面等の課題が残り、実現には至っていませんでした。今回の試行実施では、企業のご協力のもとで定期的な補充体制が整ったことで、ようやく無料生理用品の設置が実現することになりました。

  • 無料生理用品配布ボックス

  • 無料生理用品配布ボックス・自動開閉式サニタリーボックス

この試行実施では、SASHの所属メンバーのアイデアも多く活かされました。たとえば、設置場所に関しては、用意できる生理用品やサニタリーボックスが有限である状況下で、学生が日常的にどこのトイレを頻繁に利用するか、どこに設置されていれば必要な学生により効果的に配布できるか、といった内容について、実際の学生の視点からSASHのメンバーはミーティングを重ね、検討しました。その検討結果を実際に反映した設置場所にて、試行実施を行いました。

また、最終的な本導入の実現に向けて、より多くの声を集めるべく、試行実施期間中はモニタリングアンケートも実施しました。アンケートの項目についても、生理用品の設置を通じて「女性の健康課題解決」と「生理に対するタブーの解消」を目指すというSASHメンバーの強い思いを反映する構成といたしました。

アンケート調査については、延べ485件の回答があつまり、そのうち97.5%が無料生理用品の設置を希望するという結果になりました。また、「突然生理がきて困った経験がある:97.5%」、「生理によって学校生活に支障(遅刻・早退・欠席 等)をきたしたことがある:68.7%」「生理用品は高いと感じる:76.1%」という結果から、生理よる学校生活への影響や、生理の貧困等の問題が見えてきました。

  • 無料生理用品の設置を希望しますか

  • 突然生理がきて困った経験はありますか

  • 生理によって学校生活に支障をきたしたことがありますか

  • 生理用品は高いと感じますか

今回のプロジェクトを実施したことで、実際に安齊さんのもとにも、「いざというときに使えて安心」「持ち歩くことを忘れがちなので助かる」といった声が多く集まりました。
今回の経験を活かし、今後も生理に関する支援を充実させ、社会全体で課題を解決していく取り組みを続けていきたい、と安齊さんは語ります。

今回の取り組みは、単に生理用品を設置するだけではなく、学生(SASH)と大学(DEIセンター)とで協働して大学の環境を整える第一歩となりました。
今後も、法政大学は、SDGsおよびダイバーシティ宣言の理念に基づき、誰もが安心して過ごせる環境を目指し、これからも様々な取り組みを推進してまいります。

※今回の取り組みを含めた、2024年度のダイバーシティに関する取り組みについて、「朝日新聞Thinkキャンパス」にてご紹介いただきました。詳しくはこちら
 

2025年4月から本導入へ

試行実施とそれに伴うアンケート調査の結果を踏まえ、2025年4月より、学内への無料生理用品の本導入が決定いたしました。

4月以降の本導入の詳細は、以下のリンクよりご確認いただくことができます。
どなたでも必要な方はぜひご利用ください!

企画主催・お問い合わせ先
  • 法政大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンセンター(DEIセンター)
    E-mail:dei@ml.hosei.ac.jp
     
  • SASH(法政大学公認学生組織)
    E-mail:sash.hosei.2030@gmail.com
    公式インスタグラムはこちら
    ※今回のプロジェクトはSASHに所属する学生の声からスタートしました
     ぜひこのような活動に興味がある方は、一度お問い合わせください!
     
  • 法政大学SDGs+(プラス)推進特設部会事務局(総長室付教学企画室)
    E-mail:kyogaku@hosei.ac.jp