お知らせ

【開催報告】陸前高田市×法政大学 SDGsワークショップ2023がスタートしました

  • 2023年09月22日
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お知らせ

sdg_icon_wheel_rgb.png <陸前高田市×法政大学> 現地フィールドワークを実施しました

法政大学は、岩手県陸前高田市と2019年に「SDGs推進連携協定」を締結し、2020年度からは、本学と陸前高田市が共同で、学生と地域の事業者が一緒になって、
SDGsの課題解決に向けた提案を考える「SDGsワークショップ」を実施しています。
今年度は陸前高田市から、陸前高田市役所様のほか、一般社団法人トナリノ様、特定非営利活動法人高田暮舎様の2つの事業者にご参加いただき、実施していきます。

キックオフミーティング(8月3日)

8月3日には、法政大学市ヶ谷キャンパスの会場と陸前高田市側をオンラインで繋いでキックオフミーティングを行い、陸前高田市役所様、トナリノ様、高田暮舎様
それぞれより、今後の活動に関わるテーマ・課題等をお話しいただきました。

  • (キックオフミーティング)陸前高田市役所様からは市の概要や課題、SDGsの取り組みなどが紹介されました

  • トナリノ様からは、防災伝承に関わる様々な取り組みが説明されました

  • 高田暮舎様からは、空き家バンクに携わる上での心構えなどをお話しいただきました

現地フィールドワーク(8月30日、31日)

1日目

続く8月30日、31日には、学生11名が参加し、1泊2日の行程で、陸前高田市にて現地フィールドワークを行いました。

初日冒頭、陸前高田市役所にて佐々木市長を表敬訪問し、学生たちは、本ワークショップに参加した動機や思いをそれぞれ語りました。佐々木市長からは、陸前高田市の現場を実際に体験し、是非提案に向けて頑張ってほしいとの力強いメッセージを頂戴しました。
次に、震災遺構・気仙中学校を訪れました。パークガイドの方から詳細な説明を受け、震災・津波被害の実態を目の当たりにしました。
その後は、トナリノ様による「防災授業モニタリング」を行いました。トナリノ様は、「地域の相棒」として、地域住民のデジタル活用支援や防災伝承事業など、様々な事業を行っています。今回のモニタリングでは、「防災クロスロード」などを用いた小学生向けの防災授業を実際に体験し、同席された陸前高田市内小学校の先生方との意見交換も行いました。防災教育を通じて震災・津波被害の教訓を伝承していくことの重要性や、伝えることの難しさを体感しました。
宿泊は「3.11仮設住宅体験館」にて行いました。当施設は、東日本大震災後に実際に使用していた応急仮設住宅の一部を活用し、追体験施設として整備されたものです。当時の利用状況等がリアルに再現されており、ここでも貴重な経験を得ました。

  • (陸前高田市役所)佐々木市長表敬訪問の様子

  • 震災遺構・気仙中学校を視察。3階屋上部分に津波到達点14.2mの看板があります。

  • トナリノ様での防災授業の様子。トナリノ様でインターンシップを行う同年代の方が講師役を務め、刺激を受けました。

  • (3.11仮設住宅体験館)当時の生活を追体験しました。

2日目

2日目は、高田暮舎様のワークショップを行いました。高田暮舎様は、陸前高田市より移住定住総合支援業務を請け負っており、その一環で空き家バンクの運営を行っています。
今回複数の空き家を視察し、一部の空き家では所有者様よりお話しを伺い、直面する様々な課題を直接伺うことができました。
また、関連する施設として、”泊まれる古本屋”「山猫堂」を訪問しました。空き家となっていた築150年超の古民家を利用した当施設には、空き家管理の中で家財整理・遺品
整理により引き取られた様々な家具や雑貨などが並べられており、カフェやイベントスペースなどのコミュティスペースとしても利用されています。空き家の流通という経済的
側面だけではなく、家財・遺品に刻まれた人・家の歴史に触れ、人の思いや歴史にも焦点を当てて考えていくことの重要性も学ぶことができました。

  • 空き家視察の様子

  • 築150年以上の古民家を利用した「山猫堂」を体験


<参加学生より>
震災遺構ツアーについて 教室に散乱した日用品や黒板に残された文字などから、本当になんでもない日常に突然震災が起こったと実感した。いきなり日常が壊される不安や絶望はどれだけのものだったのだろうと思う。また、今回の研修のうち最も記憶に残ったのが、ツアーを案内してくださった方の「次は自分の番だということを忘れないで」という言葉だった。その方がいう通り心のどこかで東北に対する同情というか他人事の様な気持ちを持ってきた。けれど12年前に震災が起こったのがたまたま東北なだけであって、この瞬間東京に地震が起こらない保証はどこにもないことに改めて気付いた。防災授業体験について 防災授業はユニークで面白かったが、それ以上に校長先生方からの意見がより印象に残っている。教員としての授業内容に対する問題提起と、一被災者としての想いの両方を知る機会が本当に貴重だったなと感じた。教室で教える先生も被災者で、震災について児童に伝えることに一言で言い表せない想いがあって、しかし教える必要は絶対にあって、というジレンマを感じた。(人間環境学部1年 前田 風香)

<参加学生より>
空き家問題については、想像以上に難しい問題だと感じた。維持費だけでなく、人の想いも関わるため複雑な問題である。実際に様々な空き家を見ると、敷地が膨大な家や全く手がつけられていない家、綺麗な状態の家などがあったが、これらを活用する方法を考えることはかなり困難であった。家主の意見や費用、法的な問題など様々な角度から検討する必要がある。(法学部3年 田内 利樹)

 

今後、これらの経験・体験をフィールドワークに参加できなかったメンバー間でも共有し、数回のワークショップを経て、具体的な提案としてまとめていきます。