お知らせ

<開催報告>作家 高橋久美子さんをお招きし、「何でもない今日をつなぐ」を開催しました(11月18日)

  • 2021年02月08日
お知らせ

sdg_icon_wheel_rgb.png作家 高橋久美子さんをお招きし、「何でもない今日をつなぐ」を開催しました(11月18日)

法政大学総長室付教学企画室では、学生生活応援プロジェクトの一環として、作家・作詞家・詩人の高橋久美子さんをお招きし、コロナ禍をどう過ごしているか思い思いに語りながらゆるやかに繋がる座談会を開催しました。

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【開催日時】
2020年11月18日(水)17:30~20:00

【開催方法】
Zoomを使用したオンライン開催

【参加人数】
11名

<高橋久美子さんプロフィール>
高橋久美子(作家・作詞家・詩人)
1982年、愛媛県生まれ。ロックバンド、チャットモンチーのドラム・作詞家を経て、2012年より作家、作詞家として活動する。ももいろクローバーZ、大原櫻子、原田知世など様々なアーティストに歌詞の提供をする。主な著書に、旅エッセイ集「旅を栖とす」(角川書店)詩画集「今夜凶暴だからわたし」(ちいさいミシマ社)、エッセイ集「いっぴき」(ちくま文庫)、絵本「あしたがきらいなうさぎ」など。翻訳を手掛けた絵本も多数。翻訳絵本「おかあさんはね」は、第9回ようちえん絵本大賞を受賞。

【内容】
「いま大学生の皆さんはこのコロナ禍をどんな気持ちでどう過ごしているんでしょうか?」
高橋さんと企画の打ち合わせを始めたとき、高橋さんが最初に尋ねられたことです。どんな企画にするか、ということより高橋さんはコロナ禍を過ごす学生の気持ちに心を寄せてくださっていました。当初は作詞をするワークショップなどを考えていたのですが、「みんなで話をする座談会みたいなものができるといいな」おっしゃっていただき、高橋さんと学生で座談会を行う、という企画となりました。

「今日何してた?
 最近楽しいことあった?」
という語り掛けから始まるポスターに掲載した文章は高橋さんが書いてくださったものです。学生を想う高橋さんのあたたかさがあらわれています。そのポスターに惹かれた学生が集まり迎えた11月18日の夜。
集まった学生は、チャットモンチー時代からの高橋さんのファン、作家・作詞家という職業の方とお話してみたい、日々のやるせなさを感じている人、だれかの思いを聞いてみたい人、みんなとゆるやかにお話がしたい人、動機は様々です。

高橋さんには事前に学生への質問を9つ用意していただき、参加する学生は事前に回答を提出、高橋さんはその回答を確認したうえで、当日、学生に質問をしながら進行しました。

<高橋さんから学生への質問 9つ>
① 今、実家ですか? 一人暮らしですか?
② 家にこもってた間にどんなことしてた?
③ 最近、胸躍ることがあったら具体的に教えてください!
④ 最近興味あることは何?
⑤これから不安に思うことはありますか?
⑥ リモートや会わないことが増えたけど会うことって必要ですか?会わなくなって感じたことを書いてほしいです。実際会うことは人間にとって必要ですか?
⑦ 今一番誰に会いたいですか?
⑧あと、コロナ禍以降、どこか遠出したり誰かと旅をしたりしましたか?
⑨⑧で「旅をした」と答えた人は具体的にどこに行ったかとか教えてほしいです。

画面越しとはいえ、学生は憧れの高橋さんを目の前にし、はじめは緊張していてぎこちなかったけれど、時間が進むにつれてみるみる表情が和らいでいきました。久美子マジックです。

コロナ禍という日々、学生の皆さんがどのように過ごしているのか、不安に思うこと、心躍ること、学生のリアルを聞くことができました。
「日常」そして「言葉」という誰にもいつも当たり前にあるものが実はとても素敵なものであること、あるいは素敵なものになり得ることを、髙橋さんがほっこり自然に学生に気づかせてくれたように思います。

また、事前質問のほかに、就職活動、仕事をするということ、好きなことを仕事にするということ、など将来に関する悩みについて高橋さんに相談する場面も。
ひとりひとりの質問や相談に対して真摯にまっすぐ丁寧に考え言葉を編む高橋さんの姿が印象的でした。

最後は「11月18日の今日という一日を言葉にして、連詩を作ろう」ということになりました。それぞれがそれぞれの場所で過ごした「11月18日」という一日を言葉にし、高橋さんが魔法をかけ「何でもない今日をつなぐ」という詩ができあがりました。言葉にして表現されなければ誰にも見えないものですが、言葉にして表現することで、色づきだれかと分かち合えるようになることをみんなで実感することができました。みんなで朗読したのもよかったです。

「すべてはひと。助けてくれるのもひと。ひとのつながりを大事にしてください。」
という高橋さんの最後のメッセージは学生の心に大きく響いたことでしょう。

授業じゃない場で、初めて出会ったメンバーで、ゆるやかに話をした今日という日、それは宝物のような時間でした。

<参加学生感想>
・とても貴重な時間を過ごすことができました。お忙しい中2時間も延長してくださり、本当に感謝です。久美子さんがとても優しい方だったので、安心して話すことができました。ただ終わったときにちょっともやっとしてしまいました。多分、複数の初対面の人たちの中にいると言いたいことが言えなかったり、話し足りなかったりしたからだと思います。初対面で複数人と話すことの難しさを改めて感じました。また久美子さんとお話したいなと思いました。それまで久美子さんのような素敵なひとになれるように成長したいと思います。

・久美子さんが日々何を考えて生活をしているのかを知ることができ、そして憧れの人に会うことができたことがとても嬉しかったです。

・大好きなバンドの人と話せて本当に良かったです。素敵な時間を過ごせました。ありがとうございます。

・穏やかで、充実した時間でした。明日からまた少し、頑張ってみようと思えました。高橋さんの言葉がどれも素敵で、少しの時間でしたが、高橋さんが好きになってしまいました。そして、野村さんの最後の言葉もすごく刺さりました。ありがとうございました。

・作家、作詞家としてご活躍している高橋さんのお話を、大学4年生のこの時期に伺うことができ、とても良い経験になりました。高橋さんから「どの道を選んでも後悔することはある」「自分の直感を信じよう」「昔からの夢という響きに囚われず、今の自分がやってみたいことをやってみよう」「これは皆が気付いてないだろうなってことを具体的な言葉を使って書いてみよう」等々のメッセージをお聞きできたことは貴重な時間でした。

最後に、高橋さんのようなクリエイティブなお仕事はやはり魅力的だなと感じ、私は今後も自分の気持ちに正直になって大好きな創作活動を続けていきたいと思いました。

<高橋久美子さんより:座談会を終えて>
学生のみなさんが、世の中に目を向け社会の役に立つ人になりたいと考えていることに頼もしさを感じました。と同時に、コロナ禍での就職や学生生活に対して不安を抱いていることも分かりました。当然のことだと思います。しかし、そんな不安の中にも新しい気付きを得、自分のやるべきことを見つけて前に進もうとしていることに刺激をもらいました。励ますつもりで設けた場でしたが逆に私の方が前を向かされた気がします。
特に良かったなと思ったことは、様々な学年、学科の学生が混ざってのトークセッションだったので、先輩が後輩にアドバイスしたり、短時間の中にも互いに考えを深め合えたことです。今後、学生だけでもこのような場が定期的に設けられそれぞれの不安を話し合ったり深め合えたらさらに発展していくだろうと思いました。
素晴らしい機会をいただき、ありがとうございました。

高橋久美子