総長室付教学企画室では、2020年5月より海外協定校を中心に、本学学生と海外大学生とのオンライン交流会を実施しています。
これまで法政大学は、スーパーグローバル創成支援事業採択大学として、スタディ・アブロード、海外インターンシップ、海外ボランティアなど、海外の現地に赴く機会やプログラムの提供、日本に留学してきた海外の学生と交流する機会を提供するなどのかたちで国際交流を行ってきました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、従来のかたちでの国際交流ができなくなるという事態となりました。そこで、在学生に新しいコミュニケーションの機会を提供したい、期待していた大学生活を送ることができていない1年生に大学生の活動を体験してもらいたい、留学やスタディ・アブロードの見通しが立たたない学生に国際交流の場を提供したい、といった思いから、海外協定校を中心に、本学学生と海外大学生とのオンライン交流会を企画し、実施することとしました。
この春学期、私たちは5月末から7月末にかけて延べ11回のオンライン交流会を実施しました。
具体的な交流先は天津外国語大学、北京科技大学、大連工業大学、山東大学(以上、中国)、釜山外国語大学、仁川大学(以上、韓国)、元智大学(台湾)、日越大学(ベトナム)、BELTEI International University(カンボジア)です。
使用言語は交流会によって異なり、英語による交流会を3回(日越大学、BELTEI International University、山東大学)、日本語による交流会を8回(天津外国語大(2回)、北京科技大学(2回)、大連工業大学、釜山外国語大学、仁川大学、元智大学)開催しました。
参加人数は本学学生70名、海外大学の学生75名であり、延べ145名の学生がオンラインによる国際交流を体験しました。
交流会は以下のコンテンツをベースに実施しています。
・アイスブレイク
・自己紹介
・個人プレゼンテーション
・グループディスカッション
・グループプレゼンテーション
・クロージング
学生は事前課題として作成した自己紹介やテーマトピックに関するスライドを画面共有し、プレゼンテーションを行います。
<法政大学の学生が「新型コロナウイルス感染症について考えたこと」についてプレゼンテーション>
<元智大学の学生が「コロナウイルスが与えた生活への影響」についてプレゼンテーション>
<法政大学の学生が「中国のいいところ」についてプレゼンテーション>
<天津外国語大学(中国)の学生が「日本のいいところ」についてプレゼンテーション>
グループディスカッションは交流先大学の学生の語学レベルに合わせ、ペア、4名~6名のグループを複数編成するなど、参加者が発言しやすいような編成にすることを心がけています。
ディスカッション中、交流言語ではなかなか伝わらない場合があっても、英語を使ったり、インターネットの翻訳ツールを駆使し交流先の言語に言い換えてコミュニケーションをとるなど、学生の「伝えよう」「伝え合おう」「理解しよう」とする姿に、人と人とが意見や思考を伝え合う「コミュニケーションの価値」を感じることができました。
交流会のクロージングには、毎回参加者全員の記念写真を撮影します。
<仁川大学(韓国)との交流会の記念写真>
撮影した写真は双方の大学の参加学生に提供し、想い出を共有しています。
また、交流会後は双方の大学でメッセージを送り合うとともに、希望者はメールアドレスやSNSのIDを交換しています。これがきっかけで「毎週、中国の友達と電話をするようになった」「交流会を自分たちで開催するようになった」「海外の学生とだけではなく、法政大学の先輩と知り合うことができた」などの声が学生から寄せられました。1回の企画参加で終わることなく、海外の学生とだけではなく、法政大学内の縦や横のつながりも構築できる場になっていることは予想外でした。
オンライン上での交流会に参加した学生からは「学生同士が直接交流できない状況の中、リモートという形でそれぞれの現状について議論することが可能だと知るいい機会だった」「双方の学生が積極的に話す姿を見て英語の学習意欲を高めるいい機会になった。これからもぜひ参加したい。」「交流先の学生と気軽にディスカッションができたのはオンラインならでは。コロナ禍のみならず、普段からオンラインでの国際交流の機会が増えることで日本にいながら自分の視野を広げたい。」といった感想が寄せられました。
また、交流先の海外の学生からも「日本語の会話の練習だけでなく、日本の祭りやごみの分類など、興味深いことについても話し合うことができて勉強になった」「こんな大変な時期に、日本の学生とオンラインで交流することができてよかった。」「初めてzoomを使って交流会をした。楽しかった。コロナ以降のそれぞれの国の生活事情や国民の意識なども知ることができ、新しい気付きがあった。」などの感想をいただくなど、双方の学生が新しい気付きや刺激を得られる機会となっています。
コロナ禍により、「オンライン」という手段は私たちにとってより一層身近なものになりました。海外でも多くの大学では授業をオンラインで実施していることから、どの大学の学生もZoomやGoogle Meetなどのアプリケーションに対応することができています。また、コロナという共通の脅威があることで、それをきっかけに学生たちはコミュニケーションをとり、また共感し合うことができたといえるのかもしれません。
オンラインを活用した交流会の効果やメリットとして、以下のことが挙げられます。
(1)国や距離を越えた同世代のネットワークを広げることができる。
(2)自分たちで新しいコミュニティを作るきっかけとなる。
(3)時間や費用をかけずに気軽に参加することができる。
(4)SNSと違い、オンライン交流では互いの顔や声も共有することができ、親しみや安心感がある。
コロナ禍により、留学や対面交流などこれまで行ってきたスタイルの国際交流が困難な状況下、このオンライン交流は国際交流のスタイルのひとつとして新しい価値を生み出していると言えます。
オンラインを通じて国際的なパートナーシップを築いていくことが当たり前になりつつある世の中、オンラインを活用すれば気軽に世界とつながることができるという気づきを得られたことは、学生にとって大きな糧になることでしょう。
コロナが収束したらいつでも現地に行けるよう、そしていつでも留学生を迎え入れることができるよう、オンライン交流会を活用してその日に向けた準備をしていっていただければ幸いです。
今後も学生のみなさんの意見を取り入れながら、いろいろなタイプのオンライン交流の機会を提供していきますのでどうぞご期待ください。
<2020年度春学期開催概要>