委託分析業務

scatGUI,イオン注入 &チャネリングシュミレーションソフトウェア

分析ソフトウェア

scatGUI,イオン注入 &チャネリングシュミレーションソフトウェア

作成者:西村智朗 (  t-nishi ( a ) hosei.ac.jp )

2023年6月23日

release Version 1.42 Download (MD5 : 289cc4c95f62af426df209f947586a8d)

・衝突係数依存の阻止能の標準値を "Se(b) Many-Body" に変更
・低エネルギーでの衝突係数依存の阻止能の標準値を "no change" に変更
・分子模型表示画面で原子の半径とボンドの半径を変更可能にした。
・aboutBox内の説明文を "00ReleaseNote-[E,J].txt" から読み込むように変更した。
・入射イオンの方向を0.01度の精度で設定出来るよう変更した。前のバージョンまでは 0.1度の精度だった。
・入射粒子の軌道の上面図と側面図をbitmap出力出来るようにした。
・入射原子質量がターゲット原子質量より重い場合で且つ衝突係数が小さい場合に正しく kinematic factor が計算
     出来てなかった不具合を修正。この影響をver1.40とv1.42を比較して調べたところ大部分でほとんど影響ないが、
     高エネルギーでかつチャネリング条件の場合は少し影響があることが分かった。
     例えば4H-SiC への960keV N, P, Al, Bの場合はチャネリング、ランダム入射共にピーク深さの差は全て1%以下だった。
     但し欠陥のピーク濃度は10%程度低くなる場合もある。(例 960 keV P -> 4H-SiC, channeling 条件の場合)
     4H-SiC への 20 MeV Al の<0001>入射の場合、ピーク深さが2%程度表面側に変化した。
・チャネリング時の粒子位置の深さ方向変化(スライス)を bitmap 出力し ffmpeg を用いて動画化出来るようにした。

  • 図 180keV Mg → GaN, ランダム注入

  • 図 180keV Mg → GaN, チャネリング注入

2022年10月7日

release Version 1.40 Download (MD5 : c9241c30c74796ee502681662e2ed541)

  ・Diamond (111) の例を追加した
       Ref.
        for Debye temp (1860K) :  F. R. L. Schoening and L. A. Vmeulen, Solid State Communications 7 (1969) 15-18,
        for average displacement energy (~70 eV) : D. Deigado et al., Journal of Nuclear Materials 419 (2011) 32-38,
        for lattice constant (3.567A) : S. Shikata et al. , JJAP 57 (2018) 111301.
  ・SiC 用の例をリニューアルした。 詳細
       Ref. M. K. Linnarsson et al. , J. Appl. Phys. 130 (2021) 075701.
       Displacement energy C: 20 eV, Si: 35 eV
       Thermal vibration : Debye 1300K,
                Si: 0.051A = 1.41×0.00361(debye 1D amp.),
                C:  0.057A = 1.03×0.0553 (debye 1D amp.).
       Beta : 0.3 -> 0.45
  ・scat_st ファイル内のスペルミスを修正した
  ・計算開始時に生成されるscat_stファイル内のユニット関連の長さを表す数値の小数点以下の桁数をデフォルト値から4桁に変更した
  ・密度や原子密度が正しく計算出来ていない場合があったので修正を行った。(scat.f90)
        原因:scat_st.dat のz方向のユニット長さを0~1の場合に限定して計算していた。
            z方向のユニット長さが1以外でかつ実際にz=1に原子がいる場合に値を正しく計算出来て
            いなかった。(subroutine calc_compotision)
        修正:z方向のユニット長さが1以外でも正しく計算出来るように修正した。
              1.0 -> UNIM(i,3,2)
        影響の範囲                : 欠陥計算を含む結果が5-10%程度異なる可能性がある。
        影響がなかったサンプル構造:GaN関連、Si(001), Si(110)
        影響があるサンプル構造    :SiC関連、Si(111)
   ・近接した2体衝突時の核阻止能と電子的阻止能に加えて多体からの電子阻止能の寄与を考慮するようにし、衝突係数依存の阻止能の選択肢の一つとして選べるようにした。( Se(b) (Many-Body) )  詳細
   ・衝突係数依存の推奨パラメーターとしてSe(b) (Many-Body) が選択されるようにした。
   ・DiamondやSiCのサンプルも多体の阻止能が選択されるよう変更した。
   ・試料貫通後のイオンビームの方向分布と位置分布のグラフ表示機能を追加した。
   ・元素が異なる2つ以上の原子が完全に同じz座標を持つ場合に発生する近接衝突確率計算の不具合修正
   ・Diamondサンプルの beta値は 0.54 とした。
   ・SiCサンプルのbeta値は 0.45とした。
   ・ion_penetrated.datへの書き出し粒子数を30000に制限した。入射粒子数が多い(角度スキャンなど)
     場合に読み込みエラー(メモリーオーバー)が起こるため。
   ・ログ表示のON/OFF機能を追加して、スクロールアウトしたログを見やすくしました。(ログForm上で右クリック)
   ・ファイル読み込み時に総注入量が指数表示されるよう修正
   ・角度スキャン時には複雑な注入計算は行われないが、各角度に対して1回だけ計算は行われるのでラベル「No Calc.」 を 「複雑な注入計算を行わない(単純な1回計算は行われる)」に変更した。
   ・PCL matrix のカラー表示画面でのマウスカーソル位置に対応する角度と深さの値を数値で表示するようにした。
   ・PCL matrix の右上のグラフ表示でもマウスカーソルの位置に対応した角度値を数値で表示するようにした。

2022年1月18日

・drag&drop機能をImplaGraph に追加した。(第1,2列がそれぞれx(um),y(atoms/cm^3)に対応するSIMSのようなデータが必要)
・ImpaGridView上のファイルを削除する機能を右クリックメニューに追加した。
・英語版WinでscatGUIの起動に失敗することがある不具合を修正した。( 各WinFormsのAutoScaleModeプロパティを "Font "から "None "に変更した。)
・自動更新チェック機能を実装。

2021年7月9日

・近接衝突確率の計算の改良を行った。
・サンプル用のGaNの原子構造の振動振幅を Xiong&Moss(1997)の平均値 Ga:0.059A, N:0.063Aに変更し、またランダム注入時の分布を再現出来るように阻止能の補正係数を1.0から1.2に変更した。
(Ref. M. Schowalter et al. Acta Cryst. A65, 227-231 (2009). Table 6の値を2Dから1Dに変更後、u11とu33の平均値をとった)
・参考までに Firsov の衝突係数依存の阻止能を実装
・イオンのエネルギーが低い(数 keV/u 以下)場合に電子的阻止能を0とする選択肢を追加 (チャネリング注入の場合にこれを用いるとうまく実験値を再現出来る場合が多い。)
 ・クイックソート関数の不具合修正
 ・Oen & Robinson の電子阻止能の exp(-beta × x) の x として衝突係数(b)と最近接距離(r0)(軌道極点(Apsis)でのr)の両方を選べるようにした。
  ・Oen & Robinson の電子的阻止能の係数(0.3)を変更可能にした。
   (標準値は beta = 0.3/a_screening)  (Se(b) = (Ziegler's Se) ×beta^2 ×exp(-beta * b)/(2 Pi) )
  ・2体衝突での変曲点は計算を行いやすくするため、イオンの直進線とターゲット原子を通ってそれに垂直な直線との交点を用いてきた。ただ低エネルギーイオン(数keV以下)に対してはRunge-Kutta 法による2体衝突の理想軌道と比較して衝突後の漸近線のずれが大きくなる。この漸近線の始点補正は2体衝突での時間積分計算を行うと求められる。低エネルギーイオン散乱やチャネリング注入でのシミュレーション精度を上げられるようにscatGUIから始点補正の有無を選択出来るようにした。

2021年5月10日

・近接衝突確率の角度依存性を調べる場合、厚い試料に対して出力ファイルの個数が多くなりすぎるため出力形式を行列形式にするよう見直した。
・上記に伴って行列データを2次元マップデータとして画像表示する機能も追加した。

Version  1.33

Version 1.33

2021年4月22日
  • release Version  1.31 Download
    ・保存用ファイル (拡張子 .scat)の読み書き時に層情報のファイル(scat_layer_info.out)も含めるようにした。​​​​​​​
2021年4月21日
  • release Version  1.30 Download
    ・多層構造に対する欠陥計算をサポートした。
    ・GaN関係のサンプルファイルの原子構造をa=3.19A, c=5.19Aとして再調整した。
    ・欠陥計算時に用いる原子密度や組成比情報をユニットセルの原子構造から自動的に見積もるように変更し、その結果をResultsフォームのその他のタブに表示するようにした。
    ・近接衝突確率のグラフにはこれまでGa原子のみの結果を表示していたが全元素の結果を表示するようにした。
2021年4月7日
  • release Version  1.27 Download
    ・層を追加した場合にターゲット原子構造がうまくアップデートされないことがあるため、Data update ボタンを追加した。
2021年3月19日
  • release Version 1.26 Download
     ・ scatGUIとEXCEL間のコピー&ペーストを可能にした。
              (対応した表:多段注入、原子構造指定)
    ・ GaN関連の原子構造サンプルのz方向の原子の熱振動振幅の倍率値を修正(2.268 -> 1.52)。
              (注入計算用に最表面原子構造を削除して簡略化した時の修正ミス。<0001>方向からの入射にはほぼ影響がない。)

References
1.  Tomoaki Nishimura and Tetsu Kachi, “Simulation of channeled implantation of magnesium ions in gallium nitride”,  Applied Physics Express 14,  116502 (2021). https://doi.org/10.35848/1882-0786/ac2a55
2.  Tomoaki Nishimura,  Kiyoji Ikeda, and Tetsu Kachi, “Channeled implantation of magnesium ions in gallium nitride for deep and low-damage doping”,  Applied Physics Express 14, 066503 (2021). https://doi.org/10.35848/1882-0786/ac039e
3.   T. Nishimura, M. Satoh , K. Nomoto, T. Nakamura, T. Mishima, "Site identification of GaN using preferential scattering effect along [1-100]axis",  Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B 268 (2010) 1942-1944.