※上田教授は法律学科所属ですが、「演習」は政治学科の科目になります。
人間や動物にまつわる正義や福利について哲学的に考える
このゼミでは、政治学でも重要になるキーワードを巡って哲学的なテーマを決め、そのキーワードについて哲学的知識を一切前提することなく、基礎文献を読みながら議論しています。例えば、「自由」、「人格(およびその死)」、「正義」、「差別(的な言葉づかい)」、「動物の福利」といったキーワードをテーマに据えています。
これらの概念はどれでも政治学の議論で頻出する概念ですが、わたし達はこれらをどうやって特徴づければ良いのでしょうか。このゼミでは、皆さんが筋道立てて思考するスキルを鍛えながら、これらのテーマについて自ら考えることを目指します。具体的には、これらの概念を主題とする文献を題材として扱い、読書します。読んで理解したことは、ゼミ全体で討論します。
演習では、自ら主体になって勉強するだけではなく、そこで考えたことを論理的に順序立てて仲間たちに伝えること、そして仲間たちの考えたことをゆっくりと考えながら理解することを重視しています。そのために、内容の自由度はなるべく高くしたいと思っています。秋学期の演習では佐藤亮司先生にご担当いただき、動物の福利をめぐる諸テーマを扱っていただきます。また再来年度は、別の先生にお願いする可能性があります。
春学期は、基礎文献を日本語で全員で精読しながら哲学的な議論の仕方を学びます。手法としては、毎回レポーターを決めて、その回に読むべきところをまとめてもらいます。秋学期は、佐藤先生のご指導で、毎回動物をめぐる倫理的・政治的テーマを設定し、基礎文献を読みながら議論します。
合宿は、状況が許し、希望者が複数いる場合に開催します(これまでは合宿を開催していません)。合宿は、参加希望者の希望に応じて、重要文献を(日本語で)集中的に読みながら議論することになります。
上田より:
政治学科や国際政治学科の皆さんの日々の学びにとって、「自由」や「責任」(そしてそれらを担う人格)そして「正義」という概念は馴染み深く、重要な役割を果たしていると思います。しかしこれらの概念について立ち止まって考えてみると、実際にはよくわからないことがたくさんあることに気付かされます。この演習では、よく聞くけれど理解が一筋縄ではいかない概念について、それが何を意味するのかを正確に理解し、そこから一緒に問題を見つけていきたいと思います。
なお前年度に議論した内容とは異なるため、全員、同じスタートラインから勉強することになりますので、ご安心ください。
佐藤先生より:
哲学で出会う問いはその多くが「答えがでるかどうかすらわからない問い」です。すぐに答えが求められることが多い時代ですから、そういう問いを考えているとイライラしてしまうこともあるかと思いますが、
そこで登場する様々な考え方との出会いを楽しんでください。そういう考えにも一理あるなぁ、と思えたら世界が少し広がるかもしれません。
通常の演習への参加度(予習やレポート当番の出来、および、議論への貢献度)を重視します。なお毎回の出席は前提し、やむをえず欠席の場合は事前連絡をすることを当然とします。
ゼミ論文は希望者のみに課します(なおゼミ論文を執筆した場合は、成績にそれを追加で反映します)。