教員紹介

大澤 彩

教員紹介

ゼミのテーマ

私達の生活と民法・消費者法

ゼミの目的及び概要


私達の生活は常に様々な法律トラブルと隣り合わせであるといっても過言ではない。例えば、子どもがこんにゃくゼリーを喉に詰まらせて死亡した場合、残された家族は誰に対してどのような責任追及ができるのか、英会話スクールに入会した人が仕事が忙しくなって通学が困難になって途中で止めた場合、それまでに支払った受講料はどのぐらい返ってくることになるのか、手術ミスで後遺症が残った場合に、損害賠償の請求を病院や医師に対して行うことは可能なのか、スポーツ中の事故で大けがを負った場合に誰に対してどのような責任を追及できるのか、といった問題がある。他に、離婚トラブルや相続問題など家族をめぐる法的問題も絶えない。                              
 このゼミは私達の日常の生活で起こりうる以上のような問題を素材として、民法(財産法・家族法共)はもちろん特別法(消費者契約法、製造物責任法など)の知識のみならず、法的思考方法を身につけることを目的としている。さらには、ゼミでの報告や議論を経験することでプレゼンテーション能力やディスカッション能力を身につけること、また、文章作成能力を養うことも目的としている。

ゼミの年間計画(合宿などを含む)

○前期(総論研究) ここでは、「私達の生活と民法・消費者法」をめぐる法律問題を考えるにあたって必要な民法・消費者法の知識や考え方を身につける。具体的には、契約締結過程の問題(契約の成立、錯誤・詐欺、消費者契約法の規定など)、契約内容の問題(信義則、不当条項規制、公序良俗違反など)、不法行為法、家族法などにつき、いくつかのテーマを設けて報告・討論を行う。その際、判例・下級審裁判例を素材とすることで、より具体的なイメージがつかめるようにする。                                       
○後期(各論研究)ここでは、前期に身につけた知識・考え方を生かすための発展的な演習を行う。具体的には、生活のいくつかの場面で起こるトラブルや新聞やテレビで報じられたニュースを法律の観点から討論やケーススタディを通してより具体的に考える。具体的にとりあげる場面は演習開始時に学生と話し合って決めるが、過去にとりあげたテーマとして「旅行(パック旅行の広告と実際の内容が違っていた)」、「いじめ問題」、「欠陥住宅問題」、「医療(医療過誤にあったらどうするか?)」、「スマートフォンゲームの課金トラブル」、「相続問題」、「野球観戦時のファウルボールによる事故」、「親子関係をめぐるトラブル」がある。これらのテーマに基づいて報告を担当する学生が事案を作成して、ゼミ生全員で議論を行う。 
○その他 毎年、立教大学・幡野弘樹教授のゼミと合同ゼミを行っている(2020年、2021年はオンライン開催)。家庭裁判所や消費生活センターを見学することもある。

学生へのメッセージ

 このゼミは生活で起こったトラブルを素材に討論することがメインのゼミです。そのため、教科書や参考書を見てもはっきりとした答えが書いてあるような事案は少なく、民法はもちろん特別法に関する文献や裁判例も勉強した上で法的な考え方を導く必要があります。また、ゼミで扱う事案の作成や報告準備等を学生に自主的に行ってもらうため、準備の負担は軽くありません。しかし、教科書や授業では得られない知識や法的思考力、議論方法を身につけられるゼミであることから、2年間ゼミで勉強したことで入ゼミ時とは見違えるほど大きく成長し、今は幅広い分野で活躍しているOBOGも多いです(コロナ禍で中断しておりましたが、年に1度、OBOG会を開催するため、活躍しているOBOGの話を聞くこともでき、また、時にOBOGがゼミに遊びに来ては貴重な話を聞かせてくれることもあります)。
 自分で考えて自分で行動する力をゼミで身につけることは大学時代の思い出になるのみならず、自分を大きく成長させる原動力になります。さらには、ゼミの仲間と切磋琢磨して2年間を過ごすことから、卒業後もゼミ時代の同期や先輩・後輩との交流が続いているOBOGも多いのが私のゼミの特徴です。
 「法学部に入学した以上、法律の勉強を頑張りたい。でも、ただ知識を詰め込むだけではつまらない。だから、工夫して『楽しく』勉強したい。時には勉強だけでなく友達と話したり遊んだりしたい」という学生(私もそういう人間です)、この原稿を読んで「講義で聞く民法の話は難しいけど、身近な事案をもとに頑張って勉強すれば少しは民法のことを好きになることができるのではないか?」と希望の光が見えた学生、周囲の友達への気配りをしつつも、自分の意見をしっかりもって自分で考えて行動できる学生、今のように何かと不自由な状況においても充実したゼミやコミュニケーションの場を作りたいという前向きで発想力にあふれる学生の参加を待っています。
なお、担当教員は2026年度後期に在外研修に出る可能性があり、その場合には春学期集中となります。