教員紹介

水野 和夫

教員紹介

ゼミのテーマ

グローバル資本主義におけるゼロ金利下の日本の課題

ゼミの目的及び概要

 近代になるとあらゆるものを貨幣で評価し、「私的な利益こそ、すべての人間を導く主」だと信じるようになりました。ところが、21世紀になると、政府は「成長戦略」を最優先課題に掲げ、あらゆる政策を総動員したにもかかわらずデフレが長期化し、賃金が長期にわたって下落しています。金利もマイナスとなり、これまでの前提が崩れつつあります。今の日本や世界が抱える構造的な問題がどこにあるかを研究し、その上でどうすればよい方向に向うことができるかについて、自ら考える力を身に着けることをゼミの目的とします。
 日本のみならずドイツやフランスも国債利回りがマイナスとなっています。日本のゼロインフレや低成長といった問題は日本特有のものではなく、先進国共通の問題です。ちょうど、「失われた20~30年」はグローバリゼーションが世界を席巻していった時期と重なるため、グローバリゼーションが日本の長期停滞や民主主義にどう影響を与えているかという点についても考えていきます。
 まず、21世紀の日本が抱える問題の根本はどこにあるのか、その原因を探求します。その際、原因は資本主義が本来もつ固有のメカニズムにあるのか、あるいは政策の不手際にあるのかを考えます。前者であれば、資本主義システムをいかに変えていくかを研究し、後者であれば、政策でいかに解決していくかを考察します。とりわけ、現在の先進国が抱える問題の多くは資本主義固有の性質に起因する点があると考えられます。私的所有権の問題をロックの所有権(プロパティ)にたち戻って考える必要があります。また、利子と利潤の違いについても根本から見直していかなければなりません。弱者の救済と生活水準の向上に資するのが資本なのですが、現実には資本はその機能を世界的なパンデミック下において発揮していません。その原因についても考えてみたいと思います。

ゼミの年間計画(合宿などを含む)

 春学期は、日本をとりまく世界経済の動向、たとえば米中新冷戦が起きている背景や両国の狙いについて考察し、日本はどうかかわっていったらいいのかなどについても学びます。1年を通じて、企業や霞が関の最前線で活躍している人を講師に招いて、現実社会で起きていることについて理解を深めます(新型コロナの感染状況次第です)。
 夏休みは富山県利賀村で毎年8月末に開催される世界演劇祭(SCOT SUMMER SEAZON、鈴木忠志演出)で2泊3日程度のゼミ合宿をします。そこで、シェイクスピアやベケットの戯曲を観劇して、「古典」が現在の問題とどう関連しているかを考えます(春と夏の合宿についても、新型コロナの感染状況次第です)。
 秋学期は格差や二極化がどいうメカニズムで発生するのか、その原因を究明します。
 2年生の終わりの春休みには、新ゼミ生(1年生)と春合宿を実施し親睦を深めます。

学生へのメッセージ

 経済学に関する基礎知識の有無は問いません。政治に加えて経済にも関心をもっていれば十分です。
 21世紀は20世紀の延長線上にはないと思います。「過去の経験」が通用しない時代となると、「歴史の教訓」をいかに学ぶかが大切になります。自分の経験のみで将来を判断するのは危険であって、古典を通じて現在の課題がどこにあり、将来の望ましいあり方を考えたいと思います。
 古典に興味がある人、好奇心の強い人、そしてコミニケションが好きな人の参加を待っています。                                   

成績評価方法

ゼミの出席、発表や質問内容、およびゼミ合宿の参加状況などで総合的に評価します。

ゼミ紹介ポスター