教員紹介

明田川 融

教員紹介

ゼミのテーマ

近現代日本の政治史―人物と政党―

ゼミの目的及び概要

政治という営みを理解する方法は、制度に着目するやり方や過程に着目するやり方など多様です。このゼミでは政治家の政治指導に着目しようと思います。近代以降の日本の宰相が、具体的にどのような政治課題に取り組み、何を実現し、何を実現し得なかったのかを考察する作業を通して、政治というものの理解に少しでも近づきたいと考えています。さしあたり春学期の授業では、学生の皆さんの関心が高い(と思われる)宰相たちから何人かを、ゼミ生間で話し合ったうえで取りあげ、考察を加えていきたいと考えています。
 また秋学期では、春学期の学習成果を踏まえたうえで、戦前・戦後の政党政治について学習したいと考えています。自由党や改進党といった草創期の政党や、政友会・民政党といった戦前政党政治全盛期の政党、また戦後に入っては、いわゆる55年体制の成立からその終焉にいたる過程などを扱いたいと考えています。進め方としては、予め決められた担当者(毎週交替)による報告のあと、テーマを設定したうえで少人数(3名程度)のグループに分かれて議論し、最後に全体会合でグループごとの議論成果を発表しあったり、グループ間相互で批評しあいたいと考えています。

ゼミの年間計画(合宿などを含む)

春学期は、ゼミ生間の話し合いで決めた政治家について、基本文献の精読(全員)および報告(担当者)、ならびに報告をめぐる討議形式で授業をすすめたいと考えています。秋学期は近現代日本の政党政治に関わる課題を学生たちで選考し、そのテーマをめぐって考察を深めたいと考えています。
 なお、夏季休業中に2、3日程度の合宿(場所は学生を交えた議論により決定、参加希望者のみによる)を予定しています。2018年度は、明治維新に関わる薩長史観を再検討すべく、幕末維新期に横井小楠(出身は熊本)が顧問を務め、橋本左内や由利公正らを輩出した福井市、および大久保利通暗殺に加わった人物の一人の出身地であり、さらに日本政治学会理事長も務め、戦後の政治学界を牽引した一人でもある本学名誉教授・松下圭一氏(故人)も若き日に学んだ第四高等学校のあった金沢市を訪れ、日ごろの教室では得ることのできない知見を得ることができました。
 2019年度は、高野長英、原 敬、斎藤 実、米内光政、後藤新平、椎名悦三郎、新渡戸稲造、小沢一郎らを輩出した岩手県(盛岡市、平泉町、水沢市などを訪問)での合宿を行うことができました。
 2020年度は、新型コロナ禍のため、残念ながら合宿の実施は見送りました。しかしながら学生たちが、合宿に代わる自主的な事業として、翁長雄志前沖縄県知事(本学法学部卒業)の御子息で沖縄県会議員の翁長雄治氏をお招きし、同氏による講演ののち活発な質疑応答を行いました(オンライン形式によります)。2021年度は――前年度同様、残念ながら合宿は行えませんでしたが――熊本市議会議員の緒方夕佳氏をお招きし、同氏による講演と活発な意見交換を行いました(オンライン形式によります)。
 2022年度は、新型コロナウイルスの感染状況を慎重に見極め、また、じゅうぶんな感染予防措置をとったうえでゼミ合宿を再開しました。ゼミ担当幹事を中心に選定した長崎県長崎市を訪れ、徳川幕府の「鎖国」政策期に海外との限られた窓口であった出島や、大浦天主堂および浦上天主堂といったキリスト教(カトリック)施設、さらに、原爆資料館・平和公園などを訪れ、日頃の座学だけでは得られない貴重な知見と経験を得ることができました。

学生へのメッセージ

2018年度に新たに開講された、比較的「若い」ゼミになります。そのため、まだゼミが成長期にあり、運営や授業中の議論で拙い面もあり、現在も試行錯誤を続けております。皆さんの若い力で主体的に参加し、より一層ゼミを盛り上げてくれることを期待しています。ぜひとも、「我と思わん」学生さんはゼミにご参加ください。五期生となる皆さんと有意義なゼミをつくっていきたいと思います。

成績評価方法

 出席とゼミでの報告や討議の状況を主な内容とする平常点のみ