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理工学研究科在学生が電子情報通信学会 エレクトロニクスシミュレーション研究会で優秀論文発表賞を受賞

  • 2024年03月08日
  • 受賞
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理工学研究科修士課程に在学中の小林 隼斗さんが電子情報通信学会 エレクトロニクスシミュレーション研究会で優秀論文発表賞を受賞しました。 

電子情報通信学会エレクトロニクスシミュレーション研究会優秀論文発表賞は、当研究会に投稿し自ら講演を行った個人を対象として、優秀な発表に対して送られる賞です。
受賞者は、テラヘルツ波を放射する光伝導アンテナを厳密に計算できるマルチフィジックス解析技術を構築し、そこにSubgrid法と呼ばれる技法を新たに導入し、計算の大幅な効率化に成功しました。光伝導アンテナを厳密に計算するには、ドリフト拡散法と呼ばれる半導体内部の電子の振る舞いを算出する方法と、ドリフト拡散法から得られた電流をマクスウェルの方程式に引き渡しFDTD法で電磁界を計算する方法の二つを練成する必要があります。ドリフト拡散法を適用するアンテナ領域は、高い計算精度を得るために、非常に細かい空間刻み幅が必要になります。しかし、この細かい刻み幅を計算空間全体に適用すると、膨大な計算機メモリーが必要になり、計算も長時間にわたる難点がありました。
そこで受賞者は、計算精度が必要なアンテナ領域には細かい空間刻み幅を適用し、その他の領域には荒い空間刻み幅を適用できるSubgrid法を新たに光伝導アンテナの練成解析に導入しました。その結果、並列化などの技法を利用することなく、計算機メモリー、計算時間とも80%以上の削減が達成できました。

光伝導アンテナは、様々な材料の特性を調査するためのテラヘルツ時間領域分光の光源として広く用いられています。しかし、光伝導アンテナは比較的出力パワーが小さく、より高出力のアンテナ構造が検討されています。本研究成果により、様々な構造の光伝導アンテナが極めて効率よく解析できるようになり、高出力アンテナ開発の進展が期待されます。また、本マルチフィジックス計算は他のデバイス、例えばレーザー解析などにも応用が可能であり、応用を進めていく予定です。

 

・受賞者
小林 隼斗(電気電子工学専攻修士課程1年)

・学会名
電子情報通信学会 エレクトロニクスシミュレーション研究会

・受賞日
2024年3月6日

 ・受賞名
優秀論文発表賞

・受賞論文名
1)ドリフト拡散法とFDTD法を用いた光伝導アンテナの連成解析、 
2)光伝導アンテナの連成解析における計算コストの削減