専門は朝鮮近現代史で、日本との関係を中心に研究しています。激動の歴史のなかで、人々が海峡を越えてお互いをどう認識し、移動や交流・摩擦を繰り返してきたのか、その過程全般を守備範囲としています。
なかでもとくに、日本に渡ってきた人々(在日朝鮮人:総称)の経てきた歴史や、そのなかで培われた文化、そして日本人・日本社会との関係について重点的に研究しています。従来見落とされてきたものの、本来大事と思われる埋もれた事実や資料の掘り起こしにも力を注いでいます。
韓国・朝鮮関係なら、広く興味があります。ほかに、満州移民をはじめとする東アジアの民族問題や、多文化共生に向けた日本社会の動向全般にも関心があります。
研究のスタイルとして、文字資料を使用するのは当然ですが、映像資料の収集・活用や、体験者からの聞き取りにも力を注いでいます。また、イメージをふくらませるため、なるべく現地を訪れ、「足で稼ぐ」ことをモットーとしています。一例として、「歩いて知る東京の中の『朝鮮』」というフィールドワークを、1990年以来毎年実施しています。
最近では、学部のSJ(Study Japan)国内研修の担当者として、研修地の長野県南部やその周辺地域の調査研究や、大学史委員会や自校教育に携わる者として、法政大学史の解明にも取り組んでいます。
どんな学問をやるにしても、その学問が形成されてきた時代への考察は欠かせません。春学期は、特定の個人の伝記的著作物を媒介に、戦前ないし戦後日本における時代潮流や社会運動を、とくにアジアとのかかわりの中で追う授業を行なっており、これまで鶴見俊輔・和田春樹・石田雄・富山妙子・岡部伊都子・日高六郎・松本昌次・上田正昭・茨木のり子などを取り上げてきました。(「多民族共生論ⅡA」)
秋学期は、在日朝鮮人を軸とした日本の多民族共生がテーマです。ここ8年間は、朝鮮や在日朝鮮人に関連して戦後出されたパンフレット類を、当時の視点と現在の視点の双方から読み込む作業を続けてきました。(「多民族共生論ⅡB」)
大学1年生のとき、NHKに朝鮮語講座開設を要望する署名運動が起こり、そこに集まった人たちで読書会を作りました。それ以来40年以上、私のところを事務局に「鐘声の会」として読書会活動を続け、ミニコミ誌『鐘声通信』を月刊で480号あまり発行しています。目標としてきた柏木義円の『上毛教界月報』全459号は数年前、無事突破しました。どこまで続くか不明ですが、「継続は力なり」で頑張っています。