こんな研究をしています
「テクスチュアリティ研究」が専門です。ここのところ書いている論文では、「間文化性=インターカルチュラリティ」という新しい概念について研究しています。「主体」が他者との関係性の中に構築されるように、「文化」も、実体的に存立しているのではなく、関係的に構築されるものです。「文化」の仕組みをこのように定めることによって、排他的になることと無縁に「個々の文化の独自性」を主張できると考えています。
こんな成果を挙げています
- 「世界理解の表出としての言語テクストと図像テクスト-ボッシュとゴヤの絵画を例として-」『異文化 17 号』法政大学国際文化学部紀要、2016 年
- 「グローバリゼーションの原理としての記号的従属および動的編成と相互変容-個人と文化の 相互的生成と変容についての一考察-」『異文化 16 号』法政大学国際文化学部紀要、2015 年
- 「唯一であることの相対的価値についての試論-芸術作品における内在性と行為性-」『異文化 15 号』法政大学国際文化学部紀要、2014 年
- 「絵画のナラトロジー試論―知ることと見ることと語ることの本来的役割同一性についての一 考察―」熊田泰章編『国際文化研究への道-共生と連帯を求めて』彩流社、2013 年
- 「翻訳の<前提/結果>としての「多文化性」に関する考察―<個々の/総体としての><テクスト/文化>が<依拠する/作り出す><独自性/普遍性>―」『異文化 13 号』法政大学国 際文化学部紀要、2012 年
- 「文化の複数性原理における自己と他者―多文化主義を問い返す反復する問い―」『異文化 12 号』法政大学国際文化学部紀要、2011 年
- 「<間文化性概念>による<多文化主義>の再構築の試み―空虚なシミュラークルの限界と持続性を求めて―」『異文化 11 号』法政大学国際文化学部紀要、2010 年
- 「テクスト外参照性を封じる語り手の声-アゴタ・クリストフ『悪童日記』における拒絶する 語り」『異文化 10 号』法政大学国際文化学部紀要、2009 年
ほかに、こんなジャンルに関心をもっています
自分の研究史として挙げれば、以下のことについて考察してきました、また、継続しています。
- グリム昔話の構造研究・分類研究
- 小説の語りの構造・ナラトロジー
- 読者論
- 翻訳論
- 文化記号論
こんな授業を行なっています
「個」がいかにして存在するにいたったか、また「個」がいかにして表象されるにいたったかについて考察することを通して、「間主観性」「間テクスト性」「間文化性」という概念をつきつめていくことを課題としている。
修士課程の授業では、目下のところ、肖像画を取り上げて、以下の著作を精読している:ツヴェタン・トドロフ『個の礼賛-ルネサンス期フランドル肖像画』岡田温司・大塚直子訳、白水社、2002 年
学会や社会でこんな活動をしています
日本全国の約 50 大学に国際文化学部・国際文化研究科あるいはそれに類する名前で、「国際文化学」を専門とする学部・学科・大学院があります。「国際文化学」を研究する学会である日本国際文化学会は、2001 年に発足し、現在、これらの大学の教員・学生、また国際交流に従事する方々などからなる約 400 名の会員が、研究発表会や学会誌に研究の成果を発表しています。
私は、この日本国際文化学会の発足呼びかけ人の一人であり、常任理事として働き、2007年度~2010 年度は会長を務めました。大学院生の研究発表を歓迎します。
法政大学では、2017 年度~2020 年度、常務理事・副学長(大学院担当)の職務に就いています。