HOME > 法政を知る・楽しむ > 法政ピックアップ > OB・OGインタビュー > 2018年度 > 成田国際空港株式会社 営業部門 CS 推進部営業企画推進室 山田 浩介さん


成田国際空港株式会社 営業部門 CS 推進部営業企画推進室
山田 浩介さん

2018年06月19日

プロフィール

成田国際空港株式会社 営業部門 CS 推進部営業企画推進室 山田 浩介さん

成田国際空港株式会社 営業部門 CS 推進部営業企画推進室 山田 浩介さん

山田 浩介(Kosuke Yamada)さん

1983年千葉県生まれ。2001年に現代福祉学部に2期生として入学。2005年に成田国際空港株式会社入社。2015年4月から2017年3月まで一橋大学大学院 商学研究科 経営学修士コース(MBA)で学び、2017年4月にCS推進部 営業企画推進室に復職。

誰もが空の旅を楽しめるように 国際空港の「バリア」をなくしたい

成田市出身で、子どもの頃から成田空港が身近な存在だったという山田浩介さん。ダイバーシティが凝縮され、
「場」としての魅力に満ちあふれる国際空港で、ユニバーサルデザイン化に取り組んでいます。

2020年に向けて ユニバーサルデザイン化を推進

タッチ式のデジタル案内機「infotouch」は、 段差の少ないルートの表示も可能

タッチ式のデジタル案内機「infotouch」は、 段差の少ないルートの表示も可能

国際空港には、さまざまな国、人種、年代の人々が、ビジネスや観光などそれぞれ異なる目的で、期待や不安、喜び、悲しみなどの感情を抱いて集まる。まさにダイバーシティが凝集された場所といえます。現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、成田国際空港内のユニバーサルデザイン(UD)化を推進中です。どのような「バリア」があるのか、どのように解決できるのかを、有識者や、案内サインや建築の専門家、そして障害のある方とその保護者や支援者などを交えた委員会で議論し、基本計画を作成しています。

2005年に開港した中部国際空港や、2010年に拡張された羽田空港の国際線ターミナルは、最初からUDを想定して設計されています。一方、今年開港40周年を迎える成田空港は、改修でそれに対応しなければなりません。しかし逆に考えれば、公共交通インフラの老朽化が進んでいる今、成田空港でベストプラクティスとなるものが見いだせれば、社会にも役立つはずです。

UDには、エレベーターやトイレなどのハード面の整備に限らず、ソフト、サービス面の整備も含まれます。1月半ばには、発達障害のある子どもとその家族を対象に、国内では初めてとなる旅客機の搭乗体験を全日空と合同で実施しました。参加者に「飛行機は無理とあきらめていたけれど、いい練習になりました」と言っていただけて、空港での仕事のやりがいを改めて感じることができました。

ここ10年ほどで多機能トイレの存在が一般的になったように、UDの基準はより高くなり、新しい技術や考え方も出てくるでしょう。2020年をゴールとするのではなく、公共交通機関の使命として継続的にUDを意識し、旅行(移動)ができずにいる方たちの障壁を一つでも多く取り除いていきたいと思います。

現代福祉学部の学びでさまざまな ニーズの存在を意識するように

学生時代のボランティアの経験 は、今の仕事にも役立っている

学生時代のボランティアの経験 は、今の仕事にも役立っている

法政の現代福祉学部を選んだのは、専門的なことを学べそうだと考えたからでした。入学後、世の中にはさまざまな価値観があり、思いも寄らないところにニーズがあると分かり、ますます福祉に興味を持つようになりました。

そして「非効率な部分があっても、皆が住みやすい社会を目指すのはなぜか」という原理原則を、意見の異なる
人たちの論理も含めてしっかり理解したいと考え、岩崎晋也先生の社会福祉原理ゼミを選びました。また、平日はテニス、週末はボランティア活動を行うサークルを結成。福祉の現場も数多く体験し、授業で習った知識と、現場で「この子たちはどんなことを考えているんだろう」と感じたことを結び付けることができました。

知識は陳腐化しても 体験と思考は自分の糧になる

入社後は、さまざまな部署を体験し、空港の運用、地域との関係構築、会社経営などについて学びました。最初に配属された保安警備部では、テロ対策のため、機内への液体物の持ち込み制限のルール策定にも携わりました。

成田空港は内陸にあるため、必然的に騒音などの問題が伴います。地元には負担をかけずに便益を最大化していきたいし、企業としては需要に応じて発着を増やしたい。そうしたジレンマに直面して、マネジメントについて学びたいと考え、企業派遣で経営大学院に通いました。2年間外側から会社を見つめ直し、CSV(共通価値の創造)という概念にあるように、公共性とビジネスをいかに両立させるかが公共交通機関を担う企業の使命であり、そこに空港経営の面白さがあると考えるようになりました。

復職してからは、自分の原点である社会福祉に深く関わる業務に携わることになりました。当事者の声に耳を傾けた上で幅広い選択肢を比較検討し、ビジネスとして継続できるかたちを模索することを心がけています。それには思考が欠かせません。

「大学で学んだことが、そのまま仕事に生きることはない」という声もあります。確かに、知識はすぐに陳腐化します。しかし、体験や思考は別です。ぜひ、学生時代にサークルやアルバイト、ボランティアなど、さまざまなことを体験してください。大切なのは、そこで感じたことを無視せず、考えてみることです。目の前で起こっている事象に対して仮説を立て、それを検証することで、自分の意見や考えが明確になっていくでしょう。

日本の空港には、運営権を民間事業者に売却するコンセッション(経営委託)方式が導入され、すでに仙台空港、関西国際空港と伊丹空港などが期間限定で民営化されています。空港のお客さま、地域の方々の喜びを増大させるのにダイレクトに関われるのはやはり経営だと感じているので、最終的には空港の経営を手がけてみたいと思っています。

(初出:広報誌『法政』2018年4月号)