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リオン株式会社 代表取締役社長 清水 健一さん

2017年10月17日

プロフィール

リオン株式会社 代表取締役社長 清水 健一さん

リオン株式会社 代表取締役社長 清水 健一さん

清水 健一(Kenichi Shimizu)さん

1953年東京都生まれ。1978年に経済学部経済学科を卒業後、リオン株式会社入社。長年人事部に勤務。2003年6月に取締役に就任。2000年に東京証券取引所第二部への上場に、2011年には同第一部への指定にも携わる。2015年4月より代表取締役社長。

利益を世の中に還元して 「正」のサイクルを回していきたい

アマチュア無線のおかげで、知識や人脈が広がったという清水健一さん。 経営者となった今も、高校生や大学生の時に感じた「物事の多面性」を常に意識していると言います。

「正」のサイクルを通じて 人の生活を豊かに

1978年に新卒でリオン株式会社に入社し、長年人事部にいました。その後、東京証券取引所の第二部と第一部への上場に携わり、2015年4月からは代表取締役社長として「人へ社会へ 世界へ貢献する」という理念を社員と共に追求しています。

リオンは、音響学の研究成果を製品化するために1944年に設立された会社です。補聴器や医用検査機器などの医療機器事業と、音響・振動計測器や微粒子計測器の環境機器事業を二本の柱としており、それぞれの開発、製造、販売、サービスを手掛けています。

日本では、補聴器を使うべき人のうち、13.5%しか補聴器を使っていないという現状があります。これは、先進国の中でもかなり低い割合で、高齢者のコミュニケーションの問題にもつながっています。70歳以上では約半数の方が難聴を自覚する状態になりますので、補聴器を使うことも検討して、いくつになっても積極的に社会と関っていただきたいと思います。

また、日本には難聴の子どもたちが約2万人います。難聴の早期発見に向けては、乳幼児向けの検査装置の開発などに取り組んでいます。また、昨年から、難聴の子どもたちに高機能の補聴器を楽しんで使ってもらえるようにと採算を度外視した「キッズ応援プロジェクト」も始めました。

利益を世の中のために還元して、「正」のサイクルを回していく̶。これが創業当時から受け継がれているリオンの企業理念です。

社長になって意識しているのは、社内の一体感を高めることです。まず会社初の「全員での社員旅行」を宣言し、グアムへの全社員旅行を実施しました。また、社長室の扉は開けたままにしていて、社員とはアポイントなしで話ができるようにしています。

 

 

人生を豊かにしてくれた アマチュア無線

会社のアマチュア無線部の部室にて

会社のアマチュア無線部の部室にて

小学校の卒業文集に「将来はロケットを打ち上げたい」と書いたほど、子どもの頃から工学に興味があり、将来は技術者になるつもりでした。

ところが、高校受験の頃に安田講堂事件があって、それまで意識したこともなかった世の中の仕組みや人の動きに興味が出てきたんです。それで、社会や経済について学んでみたくなり、法政の経済学部に進学しました。

もっとも、大学で打ち込んだのは、高校の時に出合ったアマチュア無線でした。今と違ってインターネットもなく、国際電話も高額な時代にあって、世界中の見知らぬ人と直接やりとりができる。送信機やアンテナを手作りするのも面白いし、仲間もできる。それがアマチュア無線の魅力です。外国の交信相手とコミュニケーションをとるための最低限の英語力、気象や宇宙工学などの知識も身に付きました。

当時は会社にアマチュア無線のクラブがあることも珍しくなく、就職活動では、ビルの上に無線のアンテナが立っていることが私にとっての会社選びの基準でした。

リオンの面接では、たまたま面接官がアマチュア無線界では誰もが知る有名な方で、「この会社に入るしかない」と思いました。入社後は会社のアマチュア無線クラブに所属し、社内の球技大会や駅伝大会で実況中継をしたこともあります。

残念ながら、若い世代でアマチュア無線をする人が少なくなり、「法政大学アマチュア無線同好会」はなくなってしまいました。それでも、数年前にOB会が発足し、市ケ谷キャンパスのボアソナード・タワーの校友談話室に集まることもあり、一度は消滅したコールサイン「JA1YTD」が復活しています。

物事の多面性を大事にしながら 「これが私」を見つけてほしい

全社員旅行は「事業所や部署を超えた 交流ができた」と社員にも好評だった

全社員旅行は「事業所や部署を超えた 交流ができた」と社員にも好評だった

学生運動のピークの時期に高校、大学時代を過ごして、物事にはいろいろな切り口がある、一つのものを一方から見ると正しいように思えるけれど、別の面からは違うように見える、そう実感しました。それ以来、自分の意見があっても、他の見方がないかどうかを考えることを常に意識してきました。経営にもそうした多角的な視野が不可欠で、一つの見方だけで決定してしまうと、間違いにつながります。

一方、長年新卒の採用面接に関わってきましたが、ここ数年気になることがあります。世の中が便利になったこともありますが、理工系の学生でも「ものづくりをしたい」と言う割に、その経験が少ないのです。「ものづくりの感覚」は、感性が豊かなうちだからこそ身に付くものですし、時間のある学生のうちに意識して取り組んでほしいと思います。

好きなことに時間をかけて、思いを込めて打ち込めば、自分のできることが見えてきて、それが強みにつながっていきます。

協調性を大事にしつつも、周囲に合わせて「ワン・オブ・ゼム」になるのではなく、ぜひ人とは違う部分を見いだして、「これが私」というアイデンティティーを確立してください。

(初出:広報誌『法政』2017年度8・9月号)