OB・OGインタビュー(2014年度)

株式会社ドーム 代表取締役社長 安田 秀一 さん

  • 2015年03月19日
OB・OGインタビュー(2014年度)

プロフィール

株式会社ドーム 代表取締役社長 安田 秀一 さん

株式会社ドーム 代表取締役社長 安田 秀一 さん

安田 秀一(やすだ しゅういち) さん

1969年東京生まれ。
法政二高に入学後、アメリカンフットボールを始め、キャプテンとしてチームを全国ベスト8に導く。法政大学進学後は、体育会アメフト部の主将として常勝の日本大学に勝利し、大学全日本選抜チームの主将も務める。1992年、文学部日本文学科卒業。三菱商事を経て、1996年に株式会社ドームを創業。1998年に米国のスポーツアパレルブランド「アンダーアーマー」と総販売代理店契約を締結。現在は、サプリメント事業やスポーツマーケティング分野にも事業を拡大している。年商約300億円。

「自由と進歩」の精神を実践し、スポーツを通じて社会を豊かにする

アスリートたちから強い支持を得るスポーツブランド「アンダーアーマー」。日本総代理店を務めるドームの社長、安田秀一さんは、法政大学の学風を実践しながらスポーツの本質を伝え続けています。

法政らしさを結集した戦術で宿敵を撃破したアメフト部

EPSON IVY BOWL(1991年度大学全日本代表チーム主将として)

EPSON IVY BOWL(1991年度大学全日本代表チーム主将として)

バンカラで、無骨なイメージが好きで法政二高に入学し、とても自由な校風に驚いたことを覚えています。アメリカンフットボール部に入ったのは、何かやらなければ堕落すると思ったから。自由なのに、あえて厳しい練習を選ぶ先輩たちに出会い、絶対に辞めないと決心しました。

大学でもアメフトを続けました。当時の大学アメフトは、日本大学が無敵の時代でしたが、僕は法政には法政の戦い方があると思いました。そして、チームを強くするためには、自分たちの個性を結集しなければならないと考えたのです。法政の個性とは何か?それは、「自由と進歩」という精神に集約されています。管理主義ではなく、自由闊達なエネルギーを個々が出し切っていくことこそが法政の戦い方なのです。2年生になると戦略立案担当に志願しました。先輩たちは怖かったけれど、僕に任せて自由にやらせてくれました。そして、4年生の時には、ついに宿敵・日大に勝つことができました。

フルスイングをするためにスポーツに携わる会社を設立

アンダーアーマー創業者ケビン・プランク氏と安田社長

アンダーアーマー創業者ケビン・プランク氏と安田社長

大学卒業後は三菱商事に入社しました。4年半、在籍しましたが、僕は大企業の中では自分の思うようにフルスイングできませんでした。

上司に退職を申し入れたときは、ものすごく不安でした。大きな紙を広げて、自分にまつわる要素を書いていきました。小学校、中学校、そして高校での記憶。アメリカンフットボール。戦略を練るために、10時間ぶっ通しでビデオを見続けた日々。そこにはスポーツが大好きな自分がいました。失敗や成功はどうでもいい、好きなことでとにかくフルスイングしようと気持ちが定まったのです。そして、スポーツをテーマとした株式会社ドームを設立しました。

ドームは、スポーツ用のテープの輸入からスタートしました。販売量は順調に伸びましたが、資金が少ないから自転車操業です。自分には給料が払えない。そこで、週末にアメフトの社会人チームのコーチをして生活費を稼ぐようになりました。

会社設立2年後の1998年、コーチとして遠征したNFLヨーロッパでアンダーアーマーに出会いました。ユニフォームの下に着るアンダーシャツですが、伸縮性に富み、汗もすぐ乾くその性能に衝撃を受け、日本でぜひ売りたいと思い、社長のケビン・プランクに連絡しました。すぐに意気投合して契約を結び、日本での販売を始めました。

以来、ドームは順調に成長を続け、2015年からは、読売巨人軍(ジャイアンツ)と5年間のパートナーシップ契約を締結することになりました。

自由と進歩を噛み締め、能動的な人生を送ってほしい

読売ジャイアンツとのパートナーシップ契約の記者発表会

読売ジャイアンツとのパートナーシップ契約の記者発表会

事業を拡大しながらも、徹底して意識し続けてきたのはスポーツの本質的な魅力を伝えることです。人間には体を動かしたいという本能があり、僕はその本能を解放していきたい。そして、人は大人になっても成長することを求め続け、成長が実感できると人生は豊かになります。スポーツはその手段として最適なのです。

スポーツには本質的な価値がある。その価値をしっかり伝え、魅力を感じてもらうことが重要。商品にお金を払ってもらえるかは結果論に過ぎません。大好きなラーメンがある。その良さをまったく知らない友人に「このラーメン、絶対食べてみな。うまいから!」と熱く語るのと同じ。それぐらいシンプルなことです。

法政大学の学生には「自由と進歩」という学風を噛み締めてほしい。法政は自分の可能性を最大限に生かせる大学です。

僕は、自分で選択をしながらも、ずっと不安だったから、行動しながら道を拓いてきた。それが進歩だと思います。どうか、「自由と進歩」を心の底から受け入れ、能動的な人生を送ってください。

(初出:広報誌『法政』2014年度1・2月号)