10月2日(水)、多摩キャンパスにて成瀬高校との交流会を開催しました。交流会では、高校生が「総合的な探究の時間」に取り組む研究課題に対して、本学学生が自身のゼミ活動などの経験を活かしてアプローチしました。今回は現代福祉学部佐野竜平ゼミの3年生と多摩オープンキャンパスリーダーズに所属する学生が参加し、学生による講座やゼミ体験、グループ別個別面談を通じて、高校生と学生が近い距離で課題と向き合いました。
以下、現代福祉学部佐野竜平ゼミの学生からのコメントを掲載します。
私たち現代福祉学部福祉コミュニティ学科佐野竜平ゼミは、昨年度に続き本年度も「草ストロー」を題材としたプログラムを成瀬高校の学生に提供しました。私たち佐野ゼミの研究テーマは「アジアの障がいインクルーシブな国際協力・開発」であり、SDGsに代表されるような持続可能な社会を目指して様々な観点から活動を展開しています。ゼミ内では私たち3年次だけでも6を超えるプロジェクトが同時に動いており、そのうちの一つが「草ストロープロジェクト」です。
この草ストロー(Natural Grass Straw)プロジェクトは、ベトナム南部にある「Tuoi Ngoc」という自閉スペクトラム症をもつ方々が働いている事業所が関わっています。Tuoi Ngocの草ストローは、グレーセッジと呼ばれる植物から作られており、100%自然由来の商品かつ、製造工程の全てで一切の添加物を用いておらず、環境にも人体にも優しいストローです。加えて、グレーセッジの特性から高い耐水性をもちます。
昨今の日本社会では、マイクロプラスチックによる海洋汚染問題が大きく取りざたされたことを皮切りに、脱プラスチックストローの動きが広がり、多くの飲食店が紙ストローやバイオマスプラスチックなどの代替品を使用しています。その点で、草ストローは原材料と製造方法の双方で環境負荷を抑えることができる商材といえます。その上、草ストローが安定的に市場へ供給されるようになれば、ベトナムに持続的な障害者雇用をもたらすことにもつながります。このように、草ストロープロジェクトは、「環境負荷低減」、「持続的な障害者雇用」、「開発途上国支援」という3点に寄与することができます。
昨年度までの私たちの活動では、草ストローの認知普及に努め、そのうちの一つとして高校生への「ゼミ体験プログラム」を実施しました。今年度はこれまでの取り組みをさらに発展させ、実際に草ストローを卸売りするために企業とのコラボレーションを企画しています。こうした具体的な活動のプロセスをアウトプットする場として、今年度も高校生にプログラムを提供しました。
佐野竜平ゼミ所属
加藤 悠眞
(現代福祉学部 福祉コミュニティ学科3年)
2024年10月、約 30 名の成瀬高校の生徒に対して、現代福祉学部佐野ゼミのメンバーで探究プログラムを実施しました。この探究プログラムでは、ベトナムにある自閉スペクトラム症の方々との連携による「草ストロープロジェクト」について、研究の基本である観察、仮説、検証、考察、結論に当てはめて説明しました。当日は、この中の検証のプロセスの一端を高校生に担ってもらいました。具体的には、「草ストローの魅力が伝わるようなポスター」をチームで作成してもらいました。ポスターを作るにあたって、私たちが実際の講義で作ったポスターを見本にして作り方を説明しました。特に、視覚的に見やすいポスターを作るために字体や図、イラストなどが重要であることを伝えました。
その上で、佐野ゼミ生が1チームに1人、メンターとして入り、助言したことで積極的にポスター作成に取り組む高校生の様子を見ることができました。ポスターワークの最後に行った発表では、強いメッセージ性をもったポスターを作成してくれたり、視覚的に配慮されたポスターを作成してくれたりと私たち佐野ゼミ生も学ぶことが多く、刺激を受けました。
また、グループ別個別面談では、探究活動での悩み事の相談に乗りました。問いを立てたが、抽象的な問いになってしまっていたり、検証の仕方が分からず、思い悩んでしまう生徒が多かったです。ただ、問いや疑問を何回も深掘りしていくことで納得いくものができました。面談が終わった後に、私や他のゼミ生に対して、「ありがとうございました。探究の方向性が見えました。」という言葉もいただきました。
最後に、今回の実施にあたって、このような貴重な機会をいただけたことに心より感謝しています。今後も、高校生の探究の一助となる活動を継続して参ります。そして、草ストローが高校生をはじめとして様々な方の手に渡るように努力してまいります。
佐野竜平ゼミ所属
森田 元気
(現代福祉学部 福祉コミュニティ学科3年)
学生による講座の様子
グループ別個別面談の様子
法政大学多摩事務課 学務担当
tamagakumu◎hosei.ac.jp (お問い合わせの際は記号を半角@にしてください)