現代における生命科学の進歩は目覚ましいものがあります。今日生命科学分野から発信された知見や技術は医療、工学、農学等、さまざまな産業分野に影響をおよぼし始めています。また地球環境の変化がきわめて深刻な状況で進んでいる現在、人類と環境、資源との共生との観点から生命科学の応用分野の発展がもとめられています。また、現代化学の手法を用いた環境保全や新しいエネルギーの創出のためのさまざまな新規物質の開発とその応用技術の確立も急がれています。21世紀の社会の発展において、生命科学と現代化学の果たす役割は極めて大きいと考えられます。そのような社会的背景を踏まえて2008年4月に小金井キャンパスに生命科学部(生命機能学科(生命機能学専修および植物医科学専修)、環境応用化学科)が開設されました。そして2014年4月には生命機能学科植物医科学専修を基礎として応用植物科学科が開設されました。
本学部は、生命機能学科、環境応用化学科および応用植物科学科の3学科から構成されています。生命機能学科では、生命体の基礎単位である細胞や生体分子のもつ機能の分子的基盤を理解し、それらのひとつひとつの個性発揮の物質的基盤を解明するための教育研究を行います。環境応用化学科では、21世紀のキーワードである「物質」、「生命」および「環境」の領域の密接な関連性に基づいた21世紀型の先端化学を基礎として、さまざまな低環境負荷型機能性物質の開発およびその応用技術に関する教育研究を行うとともに、化学の観点から「環境」の問題を据え、環境保全やエネルギー問題、環境再生など人類が直面している緊急課題を化学的手法により解決するための技術についての教育研究を行います。応用植物科学科では、植物および植物を取り巻く微生物とそれら相互間で繰り広げられる生命現象を分子、遺伝子、細胞レベルでとらえ、様々な植物病に対して環境や食の安全に配慮した有用な防除や診断・治療・予防に関する先端技術について教育研究を行うとともに、実戦的専門家としての「植物医師」の養成を目指します。
本学部の新たな教育上の特徴は、多岐にわたる生命科学分野および現代化学の学問分野について、各学科が相補しあい、融合発展した基礎教育を行うとともに、各学科、専修内で有機的繋がりをもった独自の専門講義、実験、演習(実習)科目を設定し、学生諸君がさまざまな自然現象に興味を持ち、自主的に効率良く専門知識の習得が出来るような学習カリキュラムを設定してある点にあります。この新たな教育コンセプトのもと、「生命」、「植物」、「物質」の側面から21世紀の諸問題を解決するための創造的人材の育成を行い、社会に貢献してゆく所存です。