理工学部機械工学科の小泉隆行准教授が日本鉄鋼協会にて澤村論文賞を受賞しました。
◆授賞学会名・会議名:日本鉄鋼協会
◆受賞年月日:2025年3月8日
◆受賞名:澤村論文賞
◆受賞論文名:Permanent Strength of Interstitial-free Steel Processed by Severe Plastic Deformation and Subsequent Annealing
材料の強度評価は、従来、引張試験によって行われてきました。
しかし、一般的な引張試験では、ひずみ速度に依存した一時的な強度しか評価できず、長期間にわたる応力保持能力を正確に把握することは困難でした。
本研究では、この課題に対し、時間に依存しない「永久強度」という新たな概念を提案し、構造材料が長期的に荷重を支える能力を定量的に評価できる手法を確立しました。
永久強度とは、応力緩和試験を通じて求められる、時間とともに変化しない本質的な強度の指標です。
これにより、従来の試験では見落とされがちだった「長期的な応力保持能力」を正確に評価することが可能になり、構造材料の信頼性向上につながります。特に、IF鋼(極低炭素鋼)を対象とした本研究では、一般的な引張試験で得られる0.2%耐力のうち、永久強度は約65%にとどまるものの、低温焼なましによって約90%まで向上することを明らかにしました。
さらに、鉄鋼材料では結晶粒微細化が永久強度の向上に寄与することを示し、他の材料とは異なる優位性を持つことを明確にしました。
本研究の意義は、単なる材料強度評価の精度向上にとどまりません。
永久強度という指標を活用することで、インフラや輸送機器など、長期間にわたり高い安全性が求められる構造物の設計に新たな基準を提供できます。
これにより、信頼性のより高い構造材料の開発が可能となり、社会全体の安全性の向上に寄与すると考えられます。
持続可能なインフラや産業基盤の構築に貢献するという点で、本研究は材料開発における新たな指針を示すものです。
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