お知らせ

2026 年度夏季 SA(スタディ・アブロード)プ ログラムを実施しました(マレーシア・マラ 工科大学(UiTM)ペナン校)

  • 2026年09月28日
  • イベント・行事
お知らせ

2026 年度夏季の理工学部・生命科学部 SA(スタディ・アブロード)プログラムとして、2026 年 8 月 30 日から 9 月 14 日にかけて、マレーシア・ペナンにて gPBL(GlobalProject Based Learning)を実施しました。

本プログラムは、マレーシア・マラ工科大学ペナン校(UiTM Pulau Pinang)を主会場として、福岡工業大学(FIT)、インドネシア・マラン大学(UM)と連携して実施した国際協働型のPBLです。
本学からは、理工学部・生命科学部の2学部4学科から、男子6名・女子6名の計12名の学生が参加しました。

本学では2024年度から本プログラムへの学生派遣を継続しており、今回で3年目となります。専門分野の学修、英語による国際協働、異文化理解をそれぞれ独立したものとして学ぶのではなく、
実際の工学的課題にチームで取り組む中で一体的に経験することを、本プログラムの大きな特徴としています。

  • UiTM ペナン校到着9月1日

  • 開会式9月1日

  • UiTMペナン校

多様性を意識した国際混成チーム

参加学生は、6名を基本とする国際混成チームに分かれました。
チーム編成に際しては、所属大学だけでなく、出身国・地域、言語的背景、専門分野、学年、性別、宗教・文化的背景などができるだけ偏らないよう配慮し、
多様な背景を持つ学生が一つのチームの中で協働する構成としました。
所属大学や参加国だけでは捉えきれない多様性を持つ学生が集まり、英語を共通言語として、約2週間にわたり共同で課題に取り組みました。

こうしたチーム編成は、単に国際交流の機会を増やすことだけを目的としたものではありません。
専門知識、言語能力、文化的背景、ものの考え方などの異なる学生同士が、一つの工学的な課題を解決するために、互いの違いと向き合いながら協働すること自体を、重要な学習経験と位置づけています。

  • 授業中のひとコマ①

  • 授業中のひとコマ②

  • 授業中のひとコマ③

3種類のロボットを用いた実践的な工学教育

今回のPBLでは、NI myRIO(1台)、LEGO Mindstorms EV3(2台)、M5Stack(1台)の3種類4台のロボット・制御プラットフォームを用い、LabVIEWによるプログラミングと制御を学ぶ実践的な演習に取り組みました。
各チームでは、ロボットの機構やセンサ、制御方法、プログラムなどについて英語で議論しながら、メンバーそれぞれの得意分野を生かして作業を進めました。
機械系の知識を持つ学生、プログラミングを得意とする学生、電子回路に詳しい学生など、専門や経験の違いもチームの中で一つの「多様性」となりました。

参加者の英語力や専門知識、プログラミングや機械製作の経験には当然ながら差があります。意思疎通が思うように進まなかったり、考え方の違いに戸惑ったりする場面もありました。
しかし、そのような状況だからこそ、図や実物を使って説明する、簡単な英語に言い換える、得意な作業を分担するなど、それぞれの学生が「相手にどのように伝え、どのように協働するか」を考える必要が生じました。
こうした経験を通じて、専門知識や技術だけでなく、異なる背景を持つメンバーと協働するためのコミュニケーション力も身につけていきました。

プログラム終盤にはロボット競技を実施し、各チームがそれまでに製作・調整したロボットの成果を競いました。また、最終日にはすべてのチームが英語による成果発表を行い、ロボットの設計や制御方法だけでなく、課題解決の過程やチームで工夫した点についても発表しました。

  • 白熱したロボット対戦トーナメント(地元の小学生も見学に来訪しました)9月11日

  • ロボット対戦トーナメント試合後9月11日

  • 英語でロボットについて解説する本学学生

約2週間の共同生活から学ぶ異文化理解

本プログラムの学びは、実習室の中だけにとどまりません。参加学生はプログラム期間中、UiTMの学生寮および大学構内の宿舎に滞在し、約2週間にわたって共同生活を送りました。
授業や実習だけでなく、食事、移動、休憩時間、日常生活を共にすることで、それぞれの文化や生活習慣、価値観の違いに日常的に接することになりました。

UiTMで生活する中では、日々の食事はハラルを中心としたものとなります。また、イスラム教の礼拝の時間帯や宗教上の習慣など、日本で生活しているだけでは意識する機会の少ない文化的背景にも触れました。
一方で、参加者の宗教的・文化的背景は一様ではなく、さまざまな価値観を持つ学生や教職員が同じ大学空間で生活しています。

こうした環境で約2週間を過ごすことにより、学生たちは、異文化理解を「外国について知識を得ること」だけではなく、異なる習慣や価値観を持つ人と日常を共にしながら、互いに無理なく過ごす方法を考える経験として学びました。

現地の歴史と多文化社会を学ぶ

また、週末にはマレーシアの歴史や文化を学ぶ機会も設けられました。
ペナンヒルではガイドツアーに参加し、英国植民地統治の時代や第二次世界大戦期の日本軍占領を含むペナンの歴史について学びました。現在のペナンは、多様な民族・言語・宗教が共存する社会として知られていますが、その背景には、植民地統治や戦争などの複雑な歴史があります。

学生たちは、現在目にしている多文化社会がどのような歴史の上に形成されてきたのかを現地で学び、社会や文化の多様性を現在の姿だけで捉えるのではなく、その背景にある歴史にも目を向ける機会となりました。

  • 成果発表会

  • 製作したロボット

  • 閉会式

理工系教育の中でDEIを実践する

本プログラムでは、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)について講義を受けて知識として理解することを主たる目的としているわけではありません。 
出身国・地域、所属大学、言語、専門分野、学年、性別、宗教・文化的背景などが異なる学生を意図的に一つのチームに組み込み、そのメンバーが約2週間、同じ場所で生活しながら、実際の工学課題を解決することを求めています。

異なる考え方を持つ相手と意見が一致しないこともあれば、自分が得意なことを相手が苦手としていることもあります。その反対に、自分にはできないことを別の学生が容易に解決することもあります。
そうした違いをなくすのではなく、違いがあることを前提として、役割や伝え方を工夫しながら、チームとして一つの成果を生み出していくことが求められます。

この経験を通じて、学生たちはDEIを単なる理念や知識としてではなく、「異なる背景を持つ人々が、それぞれの違いや強みを持ったまま共に課題を解決すること」として、実体験を通じて理解していきました。
特に、理工系の専門教育では、正しい技術や答えを身につけることに意識が向きがちです。しかし、実際の社会における技術開発や課題解決は、多様な専門性、経験、価値観を持つ人々との協働によって行われます。
本プログラムは、ロボット制御という具体的な工学課題を通して、専門知識と同時に、多様な人々と協働して問題を解決する力を育てる教育実践でもあります。

本学では2024年度から本プログラムへの学生派遣を継続してきました。今後も、専門分野の学修とグローバルな協働を結びつけ、文化や言語、専門性などの違いを越えて、多様な人々とともに課題を発見し、解決できる人材の育成に取り組んでいきます。