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理工学部機械工学科小泉隆行准教授が日本ばね学会にて日本ばね学会2024年度論文賞を受賞しました

  • 2024年11月18日
  • 産官学・社会連携
  • 受賞
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理工学部機械工学科小泉隆行准教授が、日本ばね学会にて日本ばね学会2024年度論文賞を受賞しました。


 本研究は、新たな機械的特性の評価指標である「永久強度」(温度や時間に依存しない材料強度)を提案し、この指標を板ばね材に用いられる冷間圧延オーステナイト系ステンレス材に適用しました。受賞者はかねてから「構造材料に必要な材料強度とは何か」、「材料試験から得られる材料強度は何を示しているのか」との問題意識を有しており、構造材料には静的負荷に対する恒久的な応力保持能力、すなわち、永久強度の直接的な評価が不可欠であると考えていました。本論文では、工業材料であるばね用ステンレス鋼において、低温焼なましによる熱処理が永久強度を顕著に向上させ、これがばね性能の向上に寄与する要因の一つであることを実証しました。

 本研究に用いた永久強度は、材料強化機構の解析にも有用であり、学術的価値が高いことはもちろん、ばね性能の高い材料の開発など工業的な観点からもその評価の有効性を裏付けます。従来、ばね性能の評価は非常に長時間を要する疲労試験によって行われてきました。研究が進めば、永久強度と疲労限度の関係が明らかになり、永久強度の評価だけで疲労限度を推定できるようになる可能性があります。また、ばね材では繰り返し負荷が加わることにより、弾性限を超えない範囲で塑性変形が進む「ヘタリ」という現象が生じます。永久強度の評価は、このヘタリに対する理解を深め、解決への糸口を見出す可能性を秘めています。実験コストの大幅な削減と、ヘタリを制御できるばね材の設計指針の確立に重要な貢献を果たすものと期待されます。

◆授賞学会名・会議名:日本ばね学会

◆受賞年月日:2024年11月5日

◆受賞名:日本ばね学会2024年度論文賞

◆受賞論文名:ばね用冷間圧延オーステナイト系ステンレス鋼板の永久強度評価

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