研究所概要

設立の目的と研究の展開

研究所概要

研究センターの理念・目的

​​ ​​​​当研究センターでは、持続可能な地球環境をエンジニアリングの視点から実現することを命題として、2003年度の設立当初より一貫して、先端材料およびモノづくりプロセスといった基盤研究を進めてきました。安全、安心に人類が生活できる社会環境を形成保持し、産業の発展と住み良い社会とが均衡のとれる持続可能社会の実現に向けて、エネルギー問題を解決し、限りある資源を有効利用することを目指します。

研究の展開

 当研究センターでは、先端材料およびモノづくりプロセスといった基盤研究を進めてきました。従来の技術の限界を超える新技術の1つとしてナノテクノロジーがよく知られています。その応用として、超高機能材料の合成、超微細加工、1分子計測、1分子操作など多くの例を挙げることができます。このような背景のもと、高機能ナノマテリアルの開発およびマイクロ・ナノメカトロデバイスの研究、分散型耐環境ナノ電子デバイスの研究、生命情報と生体機能のナノバイオロジーの研究を目標に、2003年度に私立大学学術研究高度化推進事業ハイテク・リサーチセンター整備事業計画を策定しました。この研究を遂行するため、本学にマイクロ・ナノテクノロジー研究センターを設立し、主幹部局として工学部・工学研究科を横断的に組織し取り組んだ結果、当初の目標を達成しました。 

 2008年からは、ナノバイオデバイスの創製、細胞内マイクロ・ナノ構造体操作技術の開発、生体機能模擬技術の開発を3つの基本課題として、「マイクロ・ナノテクノロジーによる細胞内部操作技術と生体機能模擬技術の開発」に取り組みました。本学マイクロ・ナノテクノロジー研究センターを核として、学内の学部、とくに、2008年度創設の生命科学部、理工学部と2007年度創設のデザイン工学部から成る未来型健康・医療支援のための研究拠点を形成しました。

 2013年度からは、「グリーンテクノロジーを支える次世代エネルギー変換システム」という5年間の研究プロジェクトの研究拠点となりました。この研究プロジェクトでは、「エネルギー獲得・低環境負荷技術の開発」、「資源再生利用・環境浄化技術の開発」、「プラント実現のためのエコソリューション技術の活用」という3つの基本テーマを設けました。1つめの「エネルギー獲得・低環境負荷技術の開発」では、再生可能エネルギー源として資源的制約のない材料を使用する有機-無機複合型太陽電池、また生物エネルギーを活用する高ストレス耐性光合成生物・生体分子モーターを対象として、「エネルギー獲得」技術の開発を行いました。さらに、グラフェンなどを利用した先端デバイスの実証・高集積化、白金代替触媒の高機能化で「低環境負荷」技術を追究しました。2つめの「資源再生利用・環境浄化技術の開発」では、持続可能な地球環境保全を目指しました。そのため、植物系バイオマスや細菌の高機能化と環境浄化への応用、高光触媒活性コーティング技術・生分解性ハイブリッド高分子材料の開発を行いました。3つめの「プラント実現のためのエコソリューション技術の活用」では、資源再生利用、エネルギー獲得といったグリーンテクノロジー技術を実用的なオーダーで実現するために、ターゲットプラントの開発を目指しました。

 2018年度からは、将来の環境や次世代の利益を損なわないで社会が発展することを指向して、地球環境保全に貢献する「グリーンテクノロジー」を具体化した「グリーンソサエティー」を実現するための研究に取り組みました。グリーンソサエティーを実現する(ABC+3D)先端材料プロセスの発信を目指しています。具体的には、精密な三次元(3D)構造作製のキーワードとして、3つの基本テーマ、A(Additive Manufacturing):次世代半導体材料やバイオ3Dプリンティングを実現する「デバイス材料と3DALMテクノロジー」、B(Biologically mediated (inspired) Control):人工光合成やナノバイオモーターを実現する「天然材料とエネルギー生成テクノロジー」、微生物の機能改変による高効率プラントを実現する「生体材料とゲノム改変テクノロジー」、C(Chemically mediated Control):化学的なプロセスを高度化して、超高効率太陽光発電や環境保全材料を実現する「ナノ材料と3D構造制御テクノロジー」といった研究テーマに取り組み、劇的に変革する産業構造やエネルギーフローを見据えた基盤技術および知識を確立しました。

2022 年度からは「ポストコロナのサステイナブルな社会実現に資する3D 先端材料プロセス」に関する研究プロジェクトを遂行しています。安全、安心に人類が生活できる社会環境を形成保持し、産業の発展と住み良い社会とが均衡のとれる持続可能社会の実現に向けて、エネルギー問題を解決し、限りある資源を有効利用することを目指します。

 優れた潜在能力を有する学生の教育のため最先端の研究設備を有効に学部・大学院教育へ活用すると同時に、得られた研究成果は学部・大学院での教育に反映させるほか、社会に向けて発信します。理工学部、デザイン工学部、生命科学部からのプロジェクト参画者は、個々の要素研究の成果とともに、連携した研究成果を目指します。様々な観点から、本学にサステイナブルな社会実現をめざした研究拠点を築くことは学問的・社会的に計り知れない意義があります。