本学での2024年度自己点検・評価活動は、2023年度の6項目(1) 2022年度大学評価委員会の評価結果への対応状況について、(2)教育課程・学習成果、(3)学生の受け入れ、(4)教員・教員組織、(5)学生支援、(6)教育研究等環境の結果及び第4期認証評価に向けた対応の一環として、大学基準協会の第4期大学基準(大学基準3:教育研究組織、大学基準10:大学運営・財務を除く)、点検・評価項目、評価の視点と本学独自の評価の視点も取り入れた形式で実施した。これは、2023年度自己点検・評価活動(教学部門)の総評で記載した次年度に向けた課題の2つ目である「法政大学の自己点検・評価の特色を活かした各部局との連携強化」の効率化の「成果」であることは言うまでもない1) 。本学の各部局の優れた取り組みや課題への対応や工夫については、2024年度の自己点検・評価報告書(教学部門)を参照願いたい2)。ここでは、本学の継続的な自己点検評価・活動や学内外の動向を踏まえて、今後の内部質保証の方向性について言及したい。
1つ目は、自己点検・評価活動における内部質保証の向上の「目的」と「意義」をあらためて再確認し、ガバナンスや義務的ではなく、主体的に「学生を中心」として実践する意識向上をいかに教職員のみならず、学生を含めて醸成させるかがポイントであろう。多くの高等教育機関において第3期認証評価対応のみならず、独自のアイディアによる内部質保証への対応が各種のシンポジウムやフォーラムにおいても紹介されている。それぞれの大学の特色を活かした取り組みも数多くあり、大変参考にさせていただいている。他方、これだけの取り組みを行うためのエフォートは推測に難くない部分でもある。また、『我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)』では3)、学修者本位の教育のさらなる推進の1つとして、認証評価制度の見直しとして、「在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのか等を含む教育の質を数段階で評価する新たな評価制度への移行」が掲げられている。大学全体や各部局の「成果」をあらためてわかりやすく「見える化」し、内部質保証の「本来の目的と意義」への意識向上がさらに必要である。
大学評価室長・理工学部教授 川上 忠重
2つ目は、「内部質保証」のさらなる効果的・効率的な評価の実現に向けた取り組みとその「成果」による「長所」の推進を挙げておきたい。 本学においては、2022年度からさらなる「内部質保証」の効果的・効率的な評価を目指し、全学質保証会議のタスクフォースを核として、関連委員会の統廃合や廃止を含めて、継続的な検討が行われ、2025年度4月から新たな本学での「内部質保証」体制がスタートした。第4期認証評価の受審に向けて本学は、「内部質保証が一定程度機能している評価対象大学」としての要件を満たしている大学として認定された。あらためて、これまでの各部局等の「内部質保証」に対する協力・尽力のエビデンスの1つとして心から感謝したい。今後は、新しい体制で見出した、優れた「成果」をいかに伸長させつつ、「問題点」についても真摯に受け止め、組織的に対応することが肝要であろう。本学では長年にわたる「ピア」評価を外部評価とともに実践しており、この点を活かした「段階的効果測定」についても「学生参画」を取り入れながら検討したいと考えている。
本年度も学内外の優れた取り組みを参考にしながら、本学での「内部質保証」向上による学生の「学修成果の向上」に向けて尽力する所存である。引き続き、学内外の皆様のサポートを心からお願いしたい。
2025年4月 大学評価室長 川上 忠重