公共政策研究科

修了生の出版物等紹介

公共政策研究科

社会保障制度における社会手当の成立・展開過程 中央地方関係の視点から/日本評論社
(2022年度公共政策学専攻博士後期課程修了生・原田 悠希)

中央地方関係に着目して、日本において初めて社会手当が創設された1960年代から現在までの約60年間の社会手当の成立・展開に関する政策決定過程の分析を行った書籍です。日本の社会保障制度においてこれまで社会手当が十分に発達してこなかった要因に、理論から乖離した形での中央地方関係の構築があることを論証しています。その上で、今後持続可能な形で日本の社会保障制度の機能を強化していくに当たって、社会手当が可能性を秘めた制度であることを論じています。

日本評論社書籍紹介ページ

「新しい公共」とは何だったのか──四半世紀の軌跡と新自由主義統治性/風行社
(2021年度公共政策学専攻博士後期課程修了生・宮川 裕二)

2009年に民主党政権が高々と掲げた《新しい公共》。しかし同類の言葉はその10年以上前の自民党政権以来ビジョンとして謳われていた。本書ではこれら全体を、フーコーに始まる《統治性》研究の手法によって分析する。

米国本土における基地環境問題―訓練規制と土地利用管理―/三和書籍
2019年度サステイナビリティ学専攻博士後期課程修了生・鈴木 滋)

在日米軍基地問題については、安全保障領域にとどまらず、環境上の政策課題としても関心が高まりつつある。その一方、我が国において、米国本土の基地問題をめぐる学術研究は未だ途上にあると言わなければならないだろう。本書は、基地周辺の土地利用管理というテーマに焦点を当て、その制度面と実態を解明することにより、米国本土における基地問題の特徴を、特に環境との関係に留意しつつ分析したものである。

住民論 統治の対象としての住民から自治の主体としての住民へ/公人の友社
(2019年度公共政策学専攻博士後期課程修了生・渡部 朋宏)

本書は、福島原発事故における避難住民の生活実態を踏まえ、住民概念について学際的なアプローチから考察を進め、自治の主体としてのあるべき住民像を示したものである。また、「第11回(2021年度)自治体学会研究論文賞」を受賞した。

 

序章  福島原発事故における避難住民の現状と住民概念
第1章 福島原発事故における避難経過と住民の意識〜楢葉町を事例に〜
第2章 住民概念の先行研究と原発避難者特例法の考察
第3章 地方自治制度における住民概念の考察
第4章 住民登録制度の歴史的考察
終章   自治の担い手としての住民概念へ

 

気候変動政策をメディア議題に 国際NGOによる広報の戦略/ミネルヴァ書房
(2017年度公共政策学専攻博士後期課程修了生・小西 雅子)

 

世界的に喫緊の課題である気候変動を巡る国連交渉や国内政策の策定プロセスをメディアが理解して記事を書くには、広範な分野の知識が必要となる。本書は国際 NGOのメンバーとして報道に必要な知識と情報をメディアに提供してきた当事者による参与観察に基づいた研究。パリ協定を巡る世界の議論の全体像が分かりやすい語り口で書かれており、さらに日本の主要メディアの特徴がまとまっているため、広報戦略の指南本としても有用。