水野 和夫ゼミ(テーマ:グローバル資本主義および株式会社制度の課題とその解決策)

2016年04月01日

水野 和夫ゼミ概要

近代になるとあらゆるものを貨幣で評価し、とくに19世紀後半以降、多くの人はあらゆる問題を成長で解決できると信じるようになりました。ところが、21世紀になると、デフレが長期化し、マイナス成長が定着するようになりました。金利もマイナスとなり、貨幣(あるいは資本)が目減りするようになって、これまでの前提が崩れつつあります。今の日本が抱える構造的な問題がどこにあるかを研究し、その上でどうすればよい方向に向うことができるかについて、自ら考える力を身に着けることをゼミの目的とします。
日本の「失われた20年」に象徴されるこうした問題は日本特有のものではなく、先進国が共通に抱える問題です。ちょうど、「失われた20年」はグローバリゼーションが世界を席巻していった時期と重なるため、グローゼーションが日本の長期停滞とどうかかわっているかという点についても考えていきます。
まず、21世紀の日本が抱える問題の根本はどこにあるのか、その原因を探求します。その際、原因は資本主義が本来もつ固有のメカニズムにあるのか、あるいは政策の不手際にあるのかを考えます。前者であれば、資本主義システムをいかに変えていくかを研究し、後者であれば、政策でいかに解決していくかを考察します。
とりわけ、現在の先進国が抱える問題の多くは資本主義固有の性質に起因する点があると思われ、資本主義社会の主役は利潤の極大化を追求する株式会社です。株式会社の誕生の経緯に遡って、株式会社制度の問題点を考察していきます。

ゼミの年間計画

春学期は、日本の抱える問題を、企業行動(利潤や賃金の決まり方など)、財政(1000兆円を超える国の借金など)、税制(パナマ文書にみられる租税回避の問題など)のどこに問題があるのかを考えていきます。
夏休みは富山県利賀村で毎年8月末に開催される世界演劇祭(SCOT SUMMER SEAZON、鈴木忠志演出)で3泊4日程度のゼミ合宿をします。そこで、シェイクスピアやベケットの戯曲を観劇して、「古典」が現在の問題とどう関連しているかを考えます。
秋学期は株式会社制度が21世紀の現在にふさわしい制度かどうかを考察し、是正する点があるかどうかを研究します。また、複数の会社見学を実施して、実際の企業経営者から株式会社の課題などについて話しを聞き、現実の社会で何が起きているのかを学びます。

水野 和夫ゼミ 希望者へのメッセージ

経済学に関する基礎知識の有無は問いません。政治に加えて経済にも関心をもっていれば十分です。
21世紀は20世紀の延長線上にはないと思います。「過去の経験」が通用しない時代となると、「歴史の教訓」をいかに学ぶかが大切になります。自分の経験で将来を判断するのが「過去」であり、古典を通じて現在の課題がどこにあるのかを考えようとするのが「歴史」です。
ぜひ、時間に比較的余裕のある学生時代に歴史に興味をもってたくさんの古典を読んでほしいと思います。

成績評価方法

ゼミでの発表や質問内容、およびゼミ合宿の参加状況などで総合的に評価します。