おしらせ

【市ケ谷】岩手宮城被災地スタディツアーを行いました(3/12.13)

  • 2021年03月30日
おしらせ

2021年3月12日、13日の一泊二日で岩手宮城被災地スタディツアーを行いました。本企画はボランティアセンター所属のチーム・オレンジの学生スタッフが企画、当日の運営を行いました。東日本大震災から10年という節目の年に、現地に足を運ぶことにより風化防止や防災意識の向上を目的として実施しました。コロナ禍においてリモートで様々なことができるようになっている中で、実際に現地に行くことでしか得られないものがあると考え、感染症対策をきちんと行ったうえで本企画を実行することを決めました。

3月12日は令和元年9月に開館したばかりの東日本大震災津波伝承館に行き、東北の津波の歴史を学び、津波の被害を受けた消防車や橋の展示を見て津波の威力を改めて思い知ることができました。また避難をして生還した人々の当時の行動について学び、避難することの大切さ、大変さを知ることができました。松原を再生しようと松が植林されているのを見て、被災地が前進していることを感じました。その後、椿の里・大船渡ガイドの会さんに大船渡市内を案内していただき、大船渡市の現在を知ることができました。当時市民が避難した道をたどることで、避難していた人々へ想いを馳せることができました。

13日は岩手県山田町の視察を行いました。震災前、震災直後の写真と現在の街の様子を見比べることで復興が進んだ面とまだ復興途中の面があることを学びました。さらに牡蠣剥き体験やのしいか作り体験をし、山田町の魅力も知ることができました。その後、学ぶ防災ガイドの案内のもと田老地区の視察を行いました。実際に再建された14mの防潮堤を見たり、海が見えなくなったことを悲しむガイドのお話を聞いたりして海が見えなくなってしまうほどの防潮堤は果たして本当に必要なのか考えさせられました。また津波が襲ってくる映像を、撮影した場所であるたろう観光ホテルから見ることで襲ってきた津波の高さ、威力を体感できました。

10年経った被災地の今を知り、街の再建は進む一方、住民が戻っていなかったり、更地が多かったりと、以前の街の様子には到底及ばないことがわかりました。コロナ禍で様々な制約がある中でのスタディツアーでしたが、有意義な2日間を過ごすことができたと思います。また1日目の大船渡視察の様子をZoomにてオンライン配信を行いスタディツアーに参加できなかった学生に現地の様子を伝えることができました。今回の反省点を生かして、震災学習だけでなく東北の魅力も伝えられるようなスタディツアーを企画していきたいと考えています。(ボランティアセンター学生スタッフ  チーム・オレンジ 法学部法律学科2年 福田 桃子)

 

参加学生の感想

・東日本大震災から10年が経った東北の現状を自分の目で確かめることができて、多くを学ぶことが出来た。特に感じたことは復興はまだ終わっていないということである。建物や道路が元通りになっても人口が元通りになるわけでもなく、また住民の心の傷も癒えているわけでもない。ただ元の街並みに戻せば良いという訳ではなく、新たな生活様式に合わせた街づくりを行っていかなければならないと感じた。

 また、自分の身を自分で守るために、災害に対する決め事や準備をしなければならないと思った。関東大震災など、いつ自分の身に災害が襲ってくるか分からない。その中で備えを常にしていた人が結果的に生き残ることが出来る。今回のスタディツアーで感化された防災意識を普段の生活の中でも活かしていきたい。                             

 ・スタディツアーを通し震災について、深く考えさせられました。多くのことを感じ、考えたのですが、この気持ちをうまく言葉にすることができないのが正直なところです。震災を経験していない自分は被災者の気持ちを完全に理解することはできません。どれだけ自分事として考えようとしてもどこか他人事として考えてしまうような気がします。その人の悲しみや苦しみは、その人だけのものであり、自分が土足で足を踏み入れてはいけないような気がします。しかし、だからといって何もしないでただ見ているのも何か違う気がします。

そもそも復興とは何か?災害前の状態にもどることが復興なのか。それとも災害が起こる前よりもより良くするのが復興なのか難しい問題だと思います。今回訪れたところは、どこも震災前とは大きく姿を変えてしまっていました。ただ、それが街をよりよくするための復興の結果だとは自分には思えませんでした。津波の被害から街を守るための大きな防波堤や、高台へと移動させた居住地。これらは街を津波から守れても景観の悪化や立地の利便性などの面から街としての魅力を損なわせてしまっているように思います。

街に震災遺構を残すこと。これにも様々な考えがあると思います。教訓として後世に残す必要があることは十分分かっていても、被災者の中には忘れたいものを思い出させるものだと捉えている人もいるのではないかと思います。10年が経った今でも、誰もが前向きな気持ちを持って復興に臨めるわけではない。復興の背中を押すのではなく、横に寄り添える支援の仕方を模索するべきなのではないかと感じました。時には立ち止まって時には後退しながらも、その人に合ったペースでゆっくりゆっくり前に進むことがこれから求められる復興のあり方なんじゃないかなと思いました。このような考えに至ったのも、実際に現地に行き、現地の空気を感じ、状況を自分の目で見て、現地の方の声を聞けたおかげだと思います。また、改めて災害の恐ろしさを感じ、自分自身の防災意識を向上させることができました。今回のツアーに参加して本当に良かったと思います。貴重な経験をありがとうございました。

 

  • 現地ガイドの方の説明を聞く

  • 復興について意見交換をする様子

  • のし烏賊づくり体験

  • 奇跡の一本松の前で集合写真