日本は今や世界トップレベルの長寿国となりました。この長い人生をできる限り健康に、そして自立した状態で生きたいというのは、誰もが願うことです。そのためには取り組まなければいけない課題がたくさんあります。例えば、先進医療の研究開発を進めて病気を克服することや、介護・福祉制度を充実させることなどが挙げられます。また、健康は単なる個人の問題にとどまりません。医療費や社会保険料は増え続け、現役世代の負担も一層大きくなっています。病気や介護を予防して、一人一人の価値観に見合った健康を実現することは社会全体の課題です。
私たちスポーツ健康学部は、身体活動・運動・スポーツこそが病気を予防し、健康を支える最も重要な要素だと考えています。運動習慣がある人や体力のある人は死亡率が低く、心臓病や脳卒中、一部のがんにかかるリスクも低いことが立証されています。さらに、認知症や老化の進行を遅らせる効果も報告されています。しかし、やみくもに運動すればよいわけではありませんし、生涯にわたって運動習慣を維持することも容易ではありません。病気の予防、健康増進、若さの維持のためには、運動に関する正しい知識と、それを活かす知恵や創意工夫が欠かせません。私たちスポーツ健康学部は、身体活動・運動・スポーツ・健康を統合的な学問領域としてとらえ、医学、教育学、ビジネス、心理学など多分野の知見を融合し、身体を使った活動のあらゆる可能性を探求する教育・研究を推進しています。
今や長時間パソコンに向かい、スマホ画面を注視し、ネットのバーチャルな世界に浸るライフスタイルが当たり前になりつつあります。情報に囲まれ、身体を動かす機会が奪われがちな現代では、思考や判断すらAIに委ねてしまう場面も増えてきました。だからこそ、若い皆さんには、大学という人生で一度きりの4年間を、頭も体も等しく刺激し、バランスよく成長できる貴重な時間にしてほしいと願っています。私たちスポーツ健康学部は、人々の健康増進に多角的にアプローチし、医療・教育・産業・スポーツなど幅広い分野で活躍できる人材を育成することを使命としています。教職員一同、学生の皆さんが未来の社会に貢献できる存在へと成長していくための学びを全力で支えています。
スポーツ健康学部長 木下 訓光
スポーツ健康学部長 木下 訓光