みなさんこんにちは! 経営学部広報委員会の清板、筒井、櫻井です!
今回は、株式会社物語コーポレーションに在籍され、社内でDX(デジタルトランスフォーメーション)の企画を担当されている春山陽介(はるやま ようすけ)さんにお話を伺いました。物語コーポレーションは、「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」などの外食チェーンを全国で展開する会社として有名です。春山さんは現在、法政大学大学院経営学研究科の修士課程に在学されている大学院生でもあります。ChatGPTやGeminiなどAIを利用することが当たり前になったいま、とても参考になるお話ばかりなのでぜひご覧ください。
昨年度まではDXの戦略担当で、戦略を立案し、より利益を上げるために色々な仕組みを作るのが仕事でした。現在はそれを世の中に売っていく仕事、外食産業のDX領域を事業化するという仕事をしています。
例えば、現在私たちが力を入れているものの一つが、アンケートの改善です。お店で行われているアンケートをよく目にすることも多いと思いますが、私たちのアンケートは、結果からいま何をしたらいいかがわかる仕組みが裏に構築されています。ですから、アンケートを実施することで効率よく店舗の改善ができています。これはうちだけでなく、外食産業全体で改善できたら嬉しいので、現在はそのシステムを他社向けにも売り出す事業も始めるようになっています。
DXは、現場の主力である大学生や高校生のアルバイトに使ってもらえなければ、意味がなくなってしまいます。そのため、直感的に使えるようなものにすることが難しさの一つでした。また、本業で生み出されたものから新しい事業をつくるときには、私たちの会社の秘密を守りながらも、相手にとって価値があるものにしなければなりません。どの情報を提供し、どの情報を守るのか、このバランスをとることも難しいことでした。
さらに、私たちの事業は、社内でもスタートアップ的な事業です。「焼肉きんぐ」など、これまでの事業はB to Cの事業でしたが、いま私が取り組んでいる事業は法人営業であるため、B to Bの事業になります。上層部の方々を含め、会社として他社への営業の仕方や雰囲気がわからない状態でした。そのなかで、生え抜きでもない私が、法人営業をする時の雰囲気や文化を社内でつくるということは大変でした。ですから、いまの仕事は、大企業のサラリーマンと会社の社長の、二つの役割のバランスをとっているような感じです。
ただ、面白いこともあります。外食産業は、20年遅れている産業です。いまは店舗ごとで営業を頑張ることが主流です。そのため、店長さんが異動してしまうとそこで終わってしまう。これでは再現性がないですよね。各店舗で共通項を探し、現場に蓄積されたノウハウや技術をシステム化することができれば、時代の遅れを一気に巻き戻せますし、さらにシェアを取ることができたら、大きな変革を起こすことができます。このダイナミックさが、この仕事の面白さだと感じています。
失敗をしないということです。新卒とキャリアの大きな違いは、新卒は失敗が許容される存在なんです。その一方で、それを見守って育てていくキャリアという存在は、能力を認められて入社しているので、いわば「成功請負人」なんです。私はいまの会社で6社目なのですが、任されたプロジェクトは、たとえ失敗しかけていても必ず立て直し、うまくいくようにすることを心がけています。
現在、私たちの会社には3万5千人の従業員がいます。我々の会社で行っているアンケートは、パート、アルバイトさんのアクションを含め、行動変容を起こさせる目的で行っています。つまり、3万5千人の働き方を変えることがミッションだったわけです。現在、アンケートによる指標やレポートをもとに働いてもらっていますが、これの導入、立ち上げ、定着が、一番やりがいを感じる仕事でした。
皆さんに恐ろしい話をしますと、新卒が急激に要らなくなってきています。新人ができる仕事を全てAIが代替してしまうので、事前調査や予備調査といった機能は、全部AIに任せるようになってしまいました。生産性が上がっている代わりに、新人がチャレンジする許容範囲は急激に狭まっています。
ただし、AIは平面的で、二次情報の利用でしかないため、一次情報のインプットがないという欠点があります。そのために誤情報で動くことが増えてしまうのですが、これは大きなデメリットです。しかし、それを補って有り余るくらいの生産性向上というメリットもあるという感じです。
いま、企業からすると、「ガクチカ」があまり響かないんです。なぜなら、パターン化されてしまうからです。いまの若い世代の皆さんは、いわゆる「コロナ世代」といわれる世代に当たります。10代の多感な時期のどこかに、人としゃべらない3年間が埋め込まれているわけです。ですから、年上の人、同年代の人、年下の人とコミュニケーションがとれる環境で過ごすことは、なおさら大事だと思います。
例えば外食業界は、年上の人とも、年下の人とも関わりますし、体力的な負荷が高い業務である分、チームワークが必要になります。このように、コミュニケーションの経験を積んでいることは非常に重要ですし、会社側から見たときにも高く評価されます。
また、自分の中での「価値パターン」をつくっておくことが大事です。自分の意見を聞かれた時、とっさの判断は本人の能力次第になってしまいます。ChatGPTなどのAIは、補助的なツールに過ぎず、オフラインで使える能力をいかに持っておくか、大学生の頃から意識することが大事だと思います。「Z世代」や「アフターコロナ世代」というレッテルを貼られるなかで、一般的にこの世代に対して指摘されるような課題を、自分は認識し、解決していると、自信を持って言える経験を積んでおくことが大事だと思います。
取材を終えて
春山さんのお話を伺って、AIを利用することは生産性の向上や効率化といったメリットがある一方、その情報は平面的であり、人間が得た一次情報とくみあわせて上手く利用しなければならないのだと改めて感じました。私自身ChatGPTを日常的に利用しているので、そこから得た情報のみを信じるのではなく一次情報を得て、自身で判断していきたいなと思いました。春山さん、お忙しい中でインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。(櫻井)
春山さんからのアドバイスで、誰かに意見を求められた時に、自分の考えや価値を伝えられるようになる方法として、AIに自分の意見を批評してもらうという練習法を教えていただきました。AIは正解を得るためのツールではなく、相棒のように使うことで、様々な分野に関して理解を深められるツールです。また、ブルーオーシャンを見つけるために、新しい視点で物事をみる大切さも学ぶことができました。日頃感じる疑問や、不満を新しい視点で考えられるようになりたいと思います。春山さんのお話は新鮮で興味深く、貴重な時間になりました。ありがとうございました。(筒井)
「新卒は失敗が許されるが、キャリアは成功請負人である」というお話に、社会に出る厳しさとやりがいの両方を感じました。また、AI時代だからこそ、画面上の情報だけでなく、現場でのリアルなコミュニケーション経験が自分たちの武器になるのだと気付かされました。残りの学生生活で、どんなレッテルも跳ね返せるような「自信を持って言える経験」を積んでいきたいと思います。春山さん、この度は貴重なお話をありがとうございました。(清板)
取材・文責:清板大輔(経営学部3年)、筒井菜々香(同1年)、櫻井史華(同1年)
