こんにちは。経営学部広報委員会の1年生の島村みおり、石田瑞怜、井川柚菜です。
経営学部広報委員会主催による講演会「旅行情報誌の枠を超えた情報発信とは?『るるぶ』から学ぶ、コンテンツ企画と編集の力」が、12月17日に法政大学で開催されました。
講演者の名古 比加里(なこ ひかり)様は、2000年に株式会社JTBパブリッシングに入社後、旅行ガイドブック「るるぶ情報版」編集部にて企画・編集を担当されました。その後、EC出版戦略やSNSマーケティング部門でデジタル領域の推進に従事され、現在は法人向けソリューション営業を担い、自社コンテンツを活用した企業や自治体の事業支援などを行っています。コンテンツ戦略やマーケティングの知見を活かし、地域創生や観光プロモーションの現場で幅広く活動されています。
今回は、そんな名古様に「コンテンツ企画と編集の力」について、編集者としての経験に基づく具体的な事例を交えながら、ご講演いただきました。
司会・進行は、2年生の満尾明花里と1年生の松本陽介が担当しました。

写真左より、満尾、名古様、松本
皆さんは「るるぶ」の由来をご存知でしょうか?
講演の中では、まず「るるぶ」という名称が「見る」「食べる」「遊ぶ」という3つの動詞の語尾を繋いだものであることが紹介されました。また近年では、「知る」「つくる」「学ぶ」という新しいコンセプトを加え、事業を展開されています。
さらに、るるぶは世界一多く発行されている旅行ガイドブックシリーズとして、ギネス世界記録にも認定されているそうです。
① 情報の取捨選択
雑誌編集においては、限られたページ数の中で、読者や旅行者にとって本当に有用な情報を見極めてピックアップする必要があると説明されていました。
② 王道スポットと新規情報の割合
るるぶの主なターゲット層は、その土地に初めて訪れる人、もしくは数年ぶりに訪れるという人たちです。そのため、王道スポットは押さえつつ、新規エリアなど最新の情報も盛り込むことが欠かせません。この二つのバランスを決めることが、編集者にとって非常に重要な役割の一つだそうです。
③ 地域の価値を旅行者目線に置き換える
地域の特徴や魅力は、内部にいると意外と気づきにくいものです。そうした魅力を旅行者の視点に立って伝えることが、編集の工夫であることが強調されました。数ある情報の中から一番おすすめできるものを選び、メリハリをつけて紹介することが、旅行情報誌の魅力だといえます。

スマートフォンの普及や、コロナ禍の影響を経て、るるぶは現在、雑誌制作にとどまらず、ビジネスモデルを大きく変えながら、多様な価値創造に取り組んでいます。
例えば、児童書事業への進出では、日本全国の名所や名産、地理、歴史を豊富な写真や地図で楽しくわかりやすく紹介してきた強みを生かし、「都道府県大百科」など教育的価値の高いコンテンツを展開しています。
また、コラボレーション事業では、「エヴァンゲリオン」や「ワンピース」といった人気アニメやゲームとコラボし、聖地巡礼をテーマにしたムック本も出版されています。こうした事業を支えているのが、コラボレーション先との粘り強い交渉と、編集者一人ひとりの強い熱意です。編集者の「どうしてもやりたい!」という思いが分野を超えて多くの人を巻き込み、一つのチームとして作品を完成させています。また、通常の旅行ガイドブックとは異なるため、書店販売だけでなく、EC(電子商取引)を積極的に活用しています。
ソリューション事業では、堅苦しくなりがちなリクルート用の企業案内や自治体の移住・定住促進のパンフレットを制作受託しています。ワクワク感が伝わるよう「るるぶ」風に特別編集して制作することで、より手に取ってもらいやすくするなど、社会や企業の問題解決に寄り添った事業を展開しています。
さらに、るるぶに掲載されている情報はデジタルコンテンツ化され、乗換案内やカーナビ、電子辞書などで利用されるなど、日常生活に身近なサービスに広がっています。現在では、AIを用いた新たな取り組みにも挑戦されています。
情報過多な現代では、情報を取捨選択し、その情報を「誰に」「どのように」伝えるのかを、相手の目線に立って考えることが重要だと語られました。
また、るるぶの事業展開のように、自分の得意分野や強みを理解し、それを他分野と掛け算する(組み合わせる)ことで、希少価値の高い人材になれる可能性があると強調されていました。社会に出た後も、事業開発などさまざまな場面で、「掛け算の思考」をぜひ使ってほしいと、メッセージを送られました。
最後に、企画を実現するためには、戦略と同時に熱意が不可欠であり、成功の背景には必ず強い思いがあるという言葉で、講演は締めくくられました。

講演会の内容紹介は、以上です。質疑応答では、名古様や同社の星野織絵様に、参加者から多くの質問が寄せられ、会場は大いに盛り上がりました。お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。以下は、記者の感想です。
誰もが一度は目にしたことがある「るるぶ」ですが、旅行ガイドブックという枠を超え、これほど多様な事業に展開している事実に大変驚かされました。SNSやAIの技術が発展していく中で、情報の見極め方や情報発信の工夫の重要性を広報委員会の一員としてより一層意識して取り組みたいと感じました(島村)。
伝統ある「るるぶ」の編集やコンセプトを生かしながら、時代の流れに沿って内容や売り方を変えていく姿勢に圧倒されました。成功の一因となるのが、熱意を持って取り組むことだとお話を聞いて実感しました。私も、インタビューや記事作成に熱意を持って取り組むことで、広報委員の一員としてより良い記事を書いていきたいと思いました(井川)。
「るるぶ」の情報の取捨選択の仕方や、王道と新規のバランスは、どの分野の情報発信にも共通する重要な視点だと感じます。さらに、コラボや地方創生、企業支援といった取り組みから、コンテンツの力が社会課題の解決にもつながることに驚かされました。そして、紙の雑誌にとどまらない姿勢から時代の変化に柔軟に対応することの大切さも学びました。私たち広報委員会にも欠かせないコンテンツの持つ影響力と可能性を改めて考える貴重な機会になった講演でした(石田)。