こんにちは!経営学部広報委員会の橘田若奈(3年)、筒井菜々香(1年)、原千夏(1年)です。今回は、この2025年4月から経営学部に着任し、国際金融論や入門外国語経営学といった授業を担当されている、羅鵬飛(ラ ホウヒ)先生にインタビューをさせていただきました。
中国出身で、2009年に日本に来ました。日本語学校を経て、一橋大学の大学院を修了し、博士(商学)を取得しました。一橋大学商学部、摂南大学経済学部で講師を務め、今年の4月より法政大学に着任しました。
専門は国際金融です。経済学の理論と時系列データ分析の手法を用い、国際資金フローと為替レートの変動について研究をしています。特に、コロナ以降、中央銀行の役割について近年注目が集まっていますが、私は日本銀行の金融政策はどのように円安に結びついているか、日本の隣国にどのような変化があるか、の2点について主に研究を行っています。また、自分の研究に加えて、外部機関との共同研究も取り込んでいます。
母国の大学を卒業した後は、日本での就職を目指しましたが、当時は欧州ソブリン危機の影響もあり、日本の金融業界の採用状況が厳しい時期でした。そのため、当時就職の機会があった北京の金融機関で働くことになりました。そこでの経験を通じて、次第に自分は実務よりも研究の方に強い関心があると感じ、日本で博士課程に進学し、大学教員の道を志すようになりました。
伝統的な経済学の教え方といえば、数式やモデリングを説明する授業ですが、学生にとっては理解しにくいと思います。その代わりに、学生にもある程度の理解できる為替の話題から説明することもあります。
ただ、理論を理解するためには、最後にはモデルを使わないと難しいです。金融にしても、マーケティングにしても、理論は学生の生活とは直接結び付きにくい部分もあるので、
実際のデータを用いて計算をしたり、判断してみたり、実践することを重視しています。また、長い授業時間ですべてのことを理解することは難しいと思うので、授業には練習問題を解いたり、質問をする時間にしたり、学生とコミュニケーションがとれるように心がけています。
海外の授業では、学生とのコミュニケーションを重視した双方向型のスタイルが多く、先生が一方的に話し続けるよりも、学生の理解を確認しながら進める工夫がされています。私自身も、講義を通して「話し手が一方的に話すだけでは、学生が集中力を保つのが難しい場面もある」と感じるようになり、それ以来、授業内で学生と意見を交換したり、練習問題を解いたりする時間を取り入れるようにしています。学生の理解を深めるために適切なバランスを心がけています。
また、「日本の学生は文章を書く力が海外の学生と比べて弱い」という不安の声を学生から聞いたことがあります。これに関しては、私は、能力の問題ではなく、経験の差と考えています。日本の大学では、卒業論文を書くまでの間、成績の評価はレポートよりもテストの方が多く、学問的な文章を書くという機会が限られていることが一因かもしれません。近年ではAIツールを活用する学生も増えてきましたが、それでも文章表現に戸惑う学生は少なくないようです。しかしこれは、練習を重ねることで十分に克服できるものです。経験を積む中で、必ず自分の意見を的確に表現する力は身についていきますので、あまり心配しすぎず、前向きに取り組んでほしいと思います。
アドバイスとしてお伝えしたいのは、「学び続ける姿勢を大切にしてほしい」ということです。経済的に不確実性がある今の時代においても、活躍の場や挑戦する機会はたくさんあります。また、世界が急速に変化する中で、大学で学んだ理論がすぐに通用しなくなる可能性もあります。だからこそ、卒業後も学びを止めず、新しい環境に柔軟に適応しながら、前向きに努力を重ねていってほしいと思っています。
羅先生のインタビューは以上になります。以下、担当記者の感想です。
〇橘田
羅先生へのインタビューで特に印象的だったのは、「学び続ける姿勢」の大切さを繰り返し仰っていた点です。先生は出身が中国でありながら、日本で金融という専門的かつ高度な分野を教えておられます。その姿は、言語の壁を乗り越え、学び続けることの大切さを体現されているように感じました。私自身も、先生のように変化を前向きに受け入れ、学びを止めずに実践的な知識を積み重ねていくことで、自分の世界をさらに広げていきたいと思います。今回のインタビューは、学びへの姿勢を見つめ直す貴重な機会となりました。
〇筒井
これまで日本の教育しか受けてきていないので、海外の授業では講義形式だけでなく、学生とのやり取りを重視しているというお話がとても新鮮でした。海外の授業では、コミュニケーションを積極的にとるそうです。海外に比べて日本は、自分の意見を発信することに慣れていない学生が多いと言われますが、それは機会が少なかったからかもしれません。羅先生は、書く力や表現力は経験を通じて伸ばしていけるものとおっしゃっていたので、練習する機会を増やして、自分が考えていることが正しく相手に伝わるような力をつけていきたいと思いました。
〇原
先生がさまざまな経験を経て現在の職業に就いたということをお聞きして、日本以外の国の就職状況に興味を持ちました。それぞれの国に特有の風土や経済状況があるとわかりました。これからそのようなことについて知見を深め、どのようなことが課題となっているか、また日本の状況を改善できるヒントはないかを考えてみたいです。
さらに、行う研究が時代に沿うものでなければならないということを学びました。羅先生の研究についてのお話を伺って、経済や経営に関わる研究は、現状で問題となっている点について分析をし、実務で働く人々をサポートしたりリードしたりする役割があるのではないかと考えさせられました。
羅先生、ご着任直後の大変お忙しいところ、インタビューに快くお答えいただきありがとうございました!
取材・文責:橘田若奈(経営学部3年)、筒井菜々香(同1年)、原千夏(同1年)