みなさんこんにちは!法政大学経営学部広報委員の経営学部2年の伊藤輝羽、橘田若菜、3年の吉村果那子です。
今回、私たちは2021年に法政大学経営学部をご卒業された山下遥(やました はるか)さんにインタビューをさせていただきました。
山下さんは2021年に吉本興業株式会社へ入社され、現在はお笑い芸人をはじめとする同社に所属されるタレントのマネジメント業務をメインに担当されています。
インタビューでは、気になるマネージャーの業務内容から、学生時代のお話まで、様々なことをお聞きすることができました。ぜひご覧ください!!
現在は、マネジメント&プロデュース部という部署で、弊社に所属するタレント、お笑い芸人の仕事の全てを管理するという業務をさせていただいています。お仕事を頂いてからの一連のプロセス全てを管理しています。担当するお笑い芸人によって違うのですが、賞レースに向けたスケジュール調整、夏休み・正月休みなどの調整、さらに人間ドックなどの健康管理に至るまで、芸人さんの生活全てをマネジメントしているといっても過言ではないかもしれません。現在私が担当しているのは、博多華丸・大吉、マテンロウ、ビスケットブラザーズの3組です。
お笑い芸人のスケジュール管理としては、カレンダー形式のアプリを活用し、それぞれの予定を別個に作成・共有しているため、管理が煩雑になるというわけではありません。しかし、同時進行でそれぞれの動きがあるので、そこを漏らさず、今後の予定を一つ一つ丁寧に伝えていくことを意識しています。
他にも、単独ライブやイベントなど、公演の企画・運営も行っています。今年2月福岡で、博多華丸・大吉の「博多華丸・大吉 presents 華大どんたく」という、約3万5千人ものお客さんが来る、吉本興業として最大規模のイベントがありました。およそ1年前に運営チームが結成され、毎週定例会を開きつつ準備を進めていきました。会場のステージやレイアウトの設定から公演内容、キービジュアルやOP映像などのアイデア出し・発注、タイムスケジュールの検討、ゲストへのオファー、チケットの種類の設定、グッズの制作に至るまで、ほぼ全てに携わらせていただきました。
公演内容・演出については、「今までの劇場企画をどのように工夫すれば、3万5千人ものお客様が楽しめるか」を念頭におきました。この規模のイベントをするのは初めてで、吉本の常設劇場と全く同じように大喜利をやったとしても、ドーム会場ではすごく小さく見えてしまい、お客さん全員を楽しませることはできないからです。そのため、会場の真ん中で答えたり、動きがあるようなお題を考えたり、演者全員が映るようなカメラ割りや、モニターでそれぞれの問答やリアクション全体を映し出すような配置にするなど、細部まで話し合いました。
元々は、広告業界で仕事をしたいなとずっと思っていましたが、自分が何をしたいのか改めて問い直したとき、「自分で企画を作り、チームで物事に取り組めるような仕事に就きたい」という答えが出たので、コンテンツ会社への就職を考え始めました。そのときに吉本興業を見つけました。
企業分析を進めていく中で、吉本興業はマネジメントだけでなく、お笑い芸人という「商品」を使ってあらゆるコンテンツを生み出している会社であるという特徴に気づきました。吉本興業であれば、幅広く色々なものに挑戦することができるし、自分の手で新しい企画を作ることができると思いました。さらに、社内に色々な部署があるので、その協力によって、自分がやってみたいことを実現できる可能性も高いのではないかと感じ、吉本への入社を決めました。まさに、「華大どんたく」がその例ですね。
実際に入社してからも、「やりたい!」と手を挙げれば何でもやらせてもらえる会社だと実感しているので、入社して良かったなと思っています。
思い当たるエピソードとしては、人事異動があるタイミングで、「担当、変わらないで欲しいな」と言ってもらえたのは、とても嬉しかったです。他にも、「華大どんたく」のような大きなイベントが終わったタイミングで、華丸さん大吉さんに「ありがとう」と言われて、イベントの達成感も相まって嬉しかったです。
大変なことは、細かな問題が突発的に起こるので、それにどう対応するかです。例えば、朝7時に乗るはずだった新幹線の発車直前にも連絡がつかず、「今起きました」と連絡をもらうような場合です。その瞬間は相当焦りますが、切り替えて、まずは別の時間の電車を調べ、先方に連絡を入れるなど、臨機応変に対応して、突発的な事態を乗り越えています。その瞬間に、冷静になって、いかにちゃんと対応するかが大事だと思っています。
他にも大変なことはスケジュールを詰めすぎてしまったとき、担当するお笑い芸人から「休みが欲しいなあ」とぼやきを言われたりすることです(笑)。仕事が少なくても困るのでバランスが難しいですね。基本は芸人さんファーストですが、時には強い意志をもって、「あなたが2ヶ月前にOKしたスケジュールですよね」という攻防戦を繰り広げたりしています(笑)。
経営学部の西川英彦ゼミの活動で「Sカレ」という商品企画の大会に出場し、実際に商品化を達成したことです。「社会課題を解決する印刷製品」がテーマで、社会課題と紙製品の双方からアイデアを広げていきました。自分たちの日常からかけ離れた社会課題というよりは、もっと身近なものから着想したいと考えて、チームのメンバーそれぞれの「気になるもの」「変えたいこと」やその想いに注目しながら、調査を繰り返し、先生やゼミ生と議論を重ねていきました。
そのなかで、メンバーの1人の身内に認知症の方がいたことをきっかけに、認知症を改善させる医療プロセスのことを知りました。認知症、高齢化社会というのは困難な社会課題です。それぞれが対応策を考え、出し合いながら、それに適する印刷物の選択肢を組み合わせて、アイデアを絞り込み、最終的にカードゲームとして完成させました。プレゼンテーションでは、専門家の先生の意見や利用者の方々の声も盛り込みながら、短期記憶と長期記憶のどちらにもアプローチできる機能や、どんな人でも識別しやすいような配色など、いろいろなこだわりを詰め込んで商品化を実現しました。社会課題という大きなキーワードから、認知症という身近な問題にしっかり落とし込めたことがよかったと感じています。
多くの人々に影響を与えられるようなプロジェクトに挑戦し、自分が創り上げたコンテンツに誇りを持てるようになりたいと思っています。大学時代のように、仕事でも「やるべきこと」から「やりたいこと」にシフトしていきたいです。
そのためには、自分の業務を効率化し、空いた時間を使って新しいプロジェクトを立ち上げていきたいです。学生の頃から、自分が創り出すオリジナルのコンテンツを世に送り出したいという思いを強く持っています。自分のアイデアが形になる瞬間を実感することが、次のステップへの大きなモチベーションになっています。
例えば、作成したイベントグッズに、多くのお客様の行列ができたのは、とても嬉しかったです。「センス良くて可愛い」「めっちゃ使えそう」といった声も耳にして、次も頑張ろうと思えました。自分が手がけたプロジェクトやイベントでの率直な反響やフィードバックを励みにしながら、今後もいろいろな事業に携わっていきたいです。
日々の生活を楽しんでください。自分が楽しいと思えることをたくさん見つけてください。ただお金を貯めるだけにやっているアルバイトや、自分の中で楽しさを見出せないものは、思い切って早く辞めるのがいいのではないかと思います。大学生としての時間は意外に短いものです。継続に意味があることもあれば、意味がないこともあります。
法政大学の良いところは、学生ひとりひとりを尊重してくれるところだと思います。「自由を生き抜く実践知」というスローガンの通り、形式よりも中身を重視し、人を上下に見ないという校風があります。そのおかげで私も色々なことにチャレンジし、のびのびした学生生活を送ることができました。教室で座って学習するだけでなく、実際に外に出て実践しつつ学習する機会を通じて、さまざまな考え方に触れることができました。
そのため、学生の皆さんも、友達と映画館やイベントに出かけたり、今のうちに海外へ行ったり、なるべく経験優先で生活して欲しいと思います。大学生活はあっという間なので、今しかできないことをやって欲しいです。
学生時代のエピソードなども含めて、人を喜ばせることの大切さを知ることができました。自分が関わる仕事が少しでも世の中の誰かのためになれるのか、その上で自分が責任を持ちながらも楽しめるかどうか、というのを就活の軸としていきたいなと思いました(伊藤輝羽)。
私は現在就職活動中で、社会人になってやりたいことを日々模索しています。そんな中、小さな成功体験や嬉しさを糧に、より良いものを生み出していこうとする山下さんの姿をみて、こんな社会人になりたいと憧れました。また、学生へのメッセージの中で、「ただお金を貯めるだけにやっているアルバイトや、自分の中で楽しさを見出せないものは、思い切って早く辞めるのもいい」という言葉がとても響きました(吉村果那子)。
マネージャーの仕事は、私が想像する以上にマルチタスクが必要な業務でした。私はアルバイトでマネジメント業務をしており、インタビュー内にてタスクをこなすためのコツや、トラブルが起きた時の対策を学ぶことができ、有意義でした(橘田若菜)。
山下遥さん、ご多忙のところ長時間にわたり貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました(一同)。
取材:伊藤輝羽(経営学部2年)、橘田若菜(同2年)、吉村果那子(同3年)
文責:伊藤輝羽(経営学部2年)、渡辺真弓(同3年)、吉村果那子(同3年)、橘田若菜(同2年)