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【OB・OGインタビュー】デロイトトーマツ コンサルティング 海野浩三さんインタビュー

  • 2024年09月04日
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こんにちは! 経営学部広報委員会の経営学部3年の渡辺真弓、同じく2年の伊藤輝羽、橘田若奈、西原遼聖です! みなさんは「コンサル」というお仕事にどんなイメージをお持ちですか? 名前はよく聞くけれど、実際どんなことをしているかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回はデロイトトーマツグループに在籍されており、法政大学大学院経営学研究科のOBでもある海野浩三(うんのこうぞう)さんに、お話を伺いました。学校で学んだことがどのように実務に生かせるかなど、興味深いお話がありますので、ぜひご一読ください。

1.デロイトトーマツコンサルティングとは、どのような企業なのでしょうか。

 デロイトトーマツ グループは、公認会計士監査、税理士/弁護士業務などに加えて、企業経営へのコンサルティングを行っています。私はコンサルティングを行う会社におり、企業経営者の皆様のお悩み相談、解決策の提言を行っています。例えば、新しい規制への対応、商品・販売チャネル戦略、新規事業案の立案などです。

2.これまでの経歴と、働きながら法政大学の大学院に行こうと思われたきっかけを教えてください。

 経歴としては、最初は総合商社にいて、米国を中心とする海外の最先端ITソリューションを日本に輸入・導入する事業をしていました。その経験からITを使って経営に何ができるかということに興味が湧いて、コンサルティング会社へ転職しました。

 クライアントにコンサルティングを行うなかで、知識不足を感じる場面もあり、体系的な知識を得て、それを仕事にも活かしたいと思い、働きながら通える社会人大学院を行くことを決めました。経営学を学ぶ同僚も多かったのですが、私は企業成長に貢献したいと思い、経営学でもマーケティングを専攻したいと考えました。

数ある大学院の中で法政大学大学院 経営学研究科を選択したのは、① 働きながら通える(全日制ではない)、② 修士論文の執筆が必須でありマーケティングが深く学べる、③ 職場やクライアント先に近い(丸の内と新宿の間)、④ 学費が高すぎない等の条件に合致したからです。都内の大学院のMBAセミナーにも参加し、そのように確信して入学を決めました。複数大学合同のMBAセミナー会場が法政大学だったのも大きいかもしれません(笑。

学んだ事を、翌日にはコンサルティング現場で試す事ができるのは、学生にはできない社会人大学院生の特権だと思います。マーケティングを学ぶ事で、私の主要クライアントである金融機関に対して、金融知識ではないアカデミックな専門性を提供できる価値を見出せたのも大学院に通った成果だと思います。

3. 金融機関に対して、金融以外の専門性を提供できる価値とは、どういうことですか。

 例えば、マーケティングの知見・分析手法(クラスタ分析)を活かし、将来の顧客像を明らかにした上で、その顧客が抱える新しいニーズやペイン(課題)を具体化しました。それをもとに、新しい商品・サービスの企画を支援したり、考えた商品に対する顧客の反応・価格受容性を調査するコンサルティングもしています。市場・顧客調査は、非常に重要だと思いますが、従来、金融機関ではあまり実施されてこなかったので、我々のような会社が専門性を活かして、サービスを提供しています。大学院で学んだ事を、金融業界というコンテクストに活かしながら、上手く活用できた一例かと思います。

4. 話は少し変わりますが、デロイトでは空飛ぶクルマ事業を担当されていると伺いました。なぜ、金融が専門の海野さんが空飛ぶクルマを担当されているのですか。

 良い質問ですね(笑。 私は、コンサルタントとして、個別企業の課題を解決する助言を行うのが業務の基本ですが、それだけではなく広く社会課題の解決や、新しい産業を作る仕事もしたいと思っています。空飛ぶクルマは、次世代モビリティで、道路がない場所でも移動ができ、来年の大阪万博での商用利用を目指しています。住民が少なくて道路インフラを維持できない過疎地や限界集落、渋滞の多い都市部など様々な地域の課題を解決できると期待しています。

 一方、空飛ぶクルマを社会実装するには、クルマだけでなく、離着陸場、充電設備、運航ルールなど様々なものが必要で領域横断によって様々な人を巻き込んだ議論が必要です。これらの座組づくりは、従来、商社や金融機関が得意としたところで、何をやるにもお金は必要で、そこに金融機関の新規事業としての金脈も眠っていると考えています。何よりもテーマ的に、ワクワクしますよね(笑。

5. 法政大学大学院を選んだ理由として、修士論文が必須であることを挙げられていましたが、論文の執筆は実務に役立つものですか。

 社会人になると、背景・目的を整理したうえで、様々な調査・分析を行って客観的な事実と、そこから導出される示唆を関係者に伝える場面が多く発生します。この過程は、実は論文を書くことと同じです。論文を書き上げることほど、この社会人として必須のスキルを磨く方法はないと考えています。

 教授や研究者でなければ、論文を執筆する機会はあまりないですが、論文を通じて得られるスキルは、実務にも役立つので、是非、頑張って、卒論を書いてください。

6. 海野さんの今後の目標を教えてください。

 デロイトグループは、コンサル以外に会計、税理士・法務や企業買収の支援を行っているグループ企業です。このグループが持つ力を終結して、クライアントの重要課題を解決して、国際的なポジションが下がっている日本企業が、また、世界を驚かすような成長を遂げるお手伝いをする、その中心に自分がいたいと思っています。その活動を日本だけでなく、グローバルレベルで行うのが目標です。

7.最後に、学生へのメッセージをお願いいたします。

 今ある時間を大切に使ってください。バイトや飲み会、色々と忙しいと思いますが、お金は社会人になってから幾らでも稼げますが、まとまった時間の勉強や論文を書く事は今しかできないと思います。自分の専攻以外にも興味を広げて挑戦してみると、意外と自分の特性ややりたい事が見つかって、一生をかけてやりたい事が見つかるかもしれません。

以上で海野浩三さんのインタビューになります。現在のやられているお仕事のことから、大学院で学んだことや日々の授業で使える考え方など様々な興味深いお話を聞くことができました。ありがとうございました。

文責:西原遼聖(経営学部2年)