お知らせ

【広報委員会】赤坂優さんインタビュー 後編「アイディア発想編」

  • 2024年06月27日
お知らせ

こんにちは!経営学部広報委員2年の伊藤です。

今回、私たち経営学部広報委員会は、2006年に法政大学経営学部をご卒業された赤坂優(あかさか ゆう)さんにインタビューをさせていただきました。

赤坂さんは、本学卒業後、2006年に株式会社イマージュ・ネットへ入社、その後2008年に株式会社エウレカを設立し、マッチングアプリ「ペアーズ」を開発。アメリカ企業への同社売却(M&A)後、2017年に同社代表取締役を退任され、2018年にfranky株式会社を設立し、現在は同社CEOとして活動されています。また、本学経営学部に対して、学生の起業を支援する「赤坂優奨学金」のご寄付をいただいています。

前編の「経歴編」に引き続き、今回は後編として「アイディア発想編」をお届けします。赤坂さんが日々の生活の中からどのようにアイディアを見つけておられるのか、実体験を交えてご紹介します。

1.日々の暮らしから消費者のニーズを見つけるコツはありますか?

私たちは、生活の大半を「お客さん」として過ごしています。コンビニ、ラーメン屋、クリーニング屋に行っても、あるいは電車に乗っていても、全部「お客さん」としてサービスを享受しています。

このようなシーンが生活時間の大半を占めているのであれば、「自分がサービスの提供者だったらどうするか」という目線を持つことは大切ですね。私は大学生時代から、意識的にこの目線を持つよう心がけています。例えばラーメン屋に行ったとき、「ここを変えればお客さんをもっと呼べそうだ」「こういうサービスがあったらこの値段でもさらにお客さんが来るんじゃないかな」とか、こういうことを意識的に考えてみるようにしています。このような意識から、自ずといいアイディアが出てくるのかなと思います。

2.昔に比べて大きな変化がない今変化やトレンドをどう汲み取るべきなのでしょうか

私が起業した時代は、インターネットが多くの人に普及していくタイミングでした。「ゲームチェンジ」が起きやすかった時代だったと、今になって思います。そういった意味で、新たなプラットフォームは誕生するべくして生まれましたし、その枝葉の先に乗るようなビジネスを行っていくのが正しかったと思います。もう少し分かりやすく言えば、元々から存在していたサービスでも、iPhone上で使えるアプリとしてそのサービスを提供できれば、トップを取れる時代でした。

しかし、昔ほど大きなゲームチェンジは起こっていないかもしれませんが、現在でも新しい変化は常に起きていると思います。例えば今は、大企業向けの情報系サービス、主にSaaS系のサービスが普及しつつあるタイミングですね。今までは一企業に向けたカスタマイズ形式のサービスが提供されていましたが、これからは一つの提供者が提供したサービスを、複数の企業が一部利用するというビジネスモデルになってきたように思います。

このような変化は20年前には起きていませんでした。その時代、その時代で、変化は必ず起きています。「今、自分はどの変化の中にいるか」ということを客観的に感じられるかどうかが大切だと思います。毎日生きている中で提供されるサービスを当たり前と思ったままでは、世の中のトレンドは汲み取れないのではないでしょうか。

3.世の中のトレンドを汲み取った後、それにマッチするアイディアを考えるためには?

トレンドが生まれた背景を知ることだと思います。いま説明した大企業向けのビジネスに関しても、学生だからといって受け身にならず、わかることを見つけて深掘りすることが大事です。例えば、企業のお金の使い方を調査してみると、年収1000万円の社員を1人採用するため、一般的には300万~500万円の必要経費を払っているんです。それって、かなり高いという印象ですよね。このように、企業が何にお金を使っているのかを知ることができると、「このビジネスならこの支出をスリム化することができる」という視点で、発想が生まれてくると思います。

もう少し身近な話をすると、例えばNetflixは、お客さんから2000円をもらっていますね。その人は、テレビやYouTubeを見るのにはお金を払わないのに、なぜNetflixのコンテンツにはお金を払っているのでしょうか?それを知るためには、その人が余暇の時間を何に使っているか、例えば映画を週にどれくらい見ているのか、そういう個人レベルの調査になってきます。

いずれにしても、お金を出している側、払っている側の意図や、その背景を知ることが、アイディアを出す上で大切だと思います。

4.最後に、「赤坂優奨学金」への思いと、学生に伝えたいことを教えてください。

法政大学での学びは、社会人になってからとても大事だったと思ったからこそ、大学への恩返しがしたいという思いがありました。また、学生の皆さんに対して、何か自分がきっかけになれることがあればやってみたいとずっと考えていたので、お話をいただいたとき「ぜひ」という思いで奨学金を提供させていただきました。

学生の皆さんに伝えたいことは、やはり自分が好きなことをやってほしいと思っています。今の「当たり前」のような考え方は、いずれ淘汰されると感じています。昔は会社に出勤するのが当たり前でしたが、今ではオフィスがなくて、リモートワークの会社もたくさんありますよね。今から10年後、20年後には、今とは全く違う世の中になっているはずです。そういう意味では、過去の人たちが作ってきたものにこだわるよりも、今の自分を生きたほうがいいし、それが若者の強みだと思います。「上の世代が作ってきた常識は、俺らの常識じゃない」くらい思ったほうが、若者にとってはチャンスですし、大人はそんな若者を脅威に感じると思います。

未来は、誰かに求められることをやるよりも、自分たちが信じていること、自分たちが良いと考えることを、突き詰めていくのが大事だと思います。それが大人世代との差別化にもなりますし、未来の「お客さん」を連れてくる武器になるはずです。アイディア力、企画力、自分の感じたことや経験も、全部武器になります。だからこそ、自分の好きなことに没頭し、それを仕事にしていくことが、社会で成功する近道になるように思いますね。

以上、赤坂優さんのインタビュー後編「アイディア発送編」をお届けしました。ニーズを見つけるところから、「刺さる」アイディアの考え方まで、たくさんのお話を伺いました。

特に私は、「上の世代が作ってきた常識は、俺らの常識じゃない」という言葉が印象に残りました。若いからこそできること、理解できることもたくさんあると思うので、今の感性を大切にしながら生きていきたいです。

2回にわたる赤坂さんのインタビュー、いかがでしたか?赤坂さん、お忙しいところ長時間にわたりお話しいただき、ありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしております。

取材・執筆:伊藤輝羽(経営学部2年)