こんにちは!経営学部広報委員2年の伊藤輝羽(いとうこう)です。
今回、私たち経営学部広報委員会は2006年に法政大学経営学部をご卒業された赤坂優(あかさかゆう)さんにインタビューをさせていただきました。
赤坂さんは2006年に株式会社イマージュ・ネットへ入社。2008年に株式会社エウレカを設立し、マッチングアプリ「ペアーズ」を開発。2015年にアメリカの上場企業にM&A(企業が合併買収)され、2017年に株式会社エウレカの代表取締役を退任。2018年からはfranky株式会社を設立し、現在もCEOとして活動されています。また現在では、経営学部の学生に対して赤坂優奨学金のご寄付を頂いています。
今回の記事は前編の赤坂さん経歴編と後編のアイデア発想編でお届けいたします。前編である今回は、赤坂さんの経歴についてまとめていきます。実業家である赤坂さんがこれまでどのようなことを感じて生きてこられたかがよくわかる記事になっていますので、ぜひご覧ください。
僕は元々法政二中出身なので法政二高、そして法政大学へと進学しました。大学3年生の時には経営学部でマーケティングのゼミを開かれていた竹内淑恵(たけうちとしえ)先生のゼミに入らせていただきました。ここで初めて、学問としてのマーケティングに興味を持つことができました。僕はそれまで勉強がそんなに好きではなくて、自分が興味を持って能動的に勉強できるものがありませんでした。けれど、マーケティングの授業を通して物が売れていく仕組みを論理的に理解することはとても楽しかったのを今も覚えています。学生時代にマーケティングを勉強できてよかったなと思いますし、今会社経営をしていてもマーケティングの基礎的な理解が自分のフレームワークづけに生きていると思います。また、竹内ゼミでの経験の一つとして、当時の博報堂の子会社に1ヶ月弱インターンに行かせていただきました。僕のインターン先は広告代理店というよりかは制作会社の様な感じで、主にラジオやCMを作っていました。僕はここで広告の制作現場にアシスタントとして行かせていただいたり、課題としてキャッチコピーやコピーライティングを書かせていただいたりしました。感じたこととしては、すごい激務だったなぁという印象でしたが、ここでの経験は今でも生きていると思います。
大学時代には「せどり」という服を買って服を転売するビジネスをやっていました。始めた理由は「服が好きだったから」というシンプルな物だったのですが、学生時代はバイトをせずにせどりで稼いだお金で生活していました。またそういった経験もあって、服飾系のメーカーに就職したいなとずっと考えていました。そしてイッセイミヤケの子会社である、エイネットという会社に新卒で内定いただいて、就職することを決めていました。しかし、当時はインターネット業界が伸びていて、サイバーエージェントやDeNAなどのベンチャー企業が出てきた頃でした。そんな新興企業の成長を素敵だなって思い、心のどこかで起業を意識するようになりました。
そしてそんな新興企業の経営者の本を読んでいた時に、自分は本当に服飾系に進みたいのかという問いが生まれました。それよりも服が流通していく仕組みをネットを使って変えていくことで自分の好きな服をもっと全国に流通させることができるんじゃないかなと思うようになり、当時ネットに強かったイマージュネットへ就職して、起業するための知識や勉強をしていこうと考えました。
イマージュネットではインターネットのメディアの広告営業をやっていました。主に女性向けの化粧品を扱っている会社を相手に、自社の広告媒体を販売する営業を約2年半やっていました。その傍ら「どうやって起業するか」「いつやるかな」ということをずっと考えていました。そして、3年目になった頃に上司だった西川順さんという方と仲良くなり、起業のアイデアなどを話すことが多くなりました。そこから西川さんとエウレカを立ち上げるに至りました。
始めの頃は、自己資金と副業で稼いだ100万円を元手にした上で、支出を出さずに収入を得るためにコストのかからない仕事でお金を稼いでいました。追加で1年目に2〜300万円を金融機関から運転資金として借入しました。会社が安定してきた頃に、スマートフォン向けのアプリの開発をメイン事業として行い始めました。そして2012年にペアーズという婚活のマッチングアプリをリリースしました。ペアーズは現在国内で2000万会員くらいまで伸びています。そして、エウレカは2015年にアメリカの上場会社のIACグループのマッチグループという会社にM&Aしました。2017年10月の末でエウレカの代表取締役及び取締役を退任して、2018年から再出発という形でfrankyを設立しました。主にインターネットサービスではなくファッションやインテリアのようなリアルプロダクトを取り扱っています。最近の新規事業としてインターネットを活用したショッピングのプラットフォームも作っています。また、現在はお休みさせていただいているのですが、新興企業の起業を助けるエンジェル投資というものをやっていた時期もありました。2015年に会社売却してそこでまとまった資金を得ることができたので「後続の起業家の方々にお金を出させていただき、一緒にその夢を見させてもらう」という理由でエンジェル投資家としての活動をさせていただいていました。
一言でいうと「勝てる自信がなかった」という感じですかね。今もあまり自信はないんですけど当時はもっとなくて、自分の好きな市場で勝負して勝てる自信は全くありませんでした。なので業界が伸びていって、成長しているところで勝負する方が勝てる確率が純粋に高いと思って、インターネットを活用したビジネスをしていました。
僕が読んでた本でいい表現されてるなって思ったのは、当時読んでいたサイバーエージェントの藤田晋社長の「渋谷で働く社長の告白」です。
例えば自動車工場や自動車部品のメーカーとは、企業の歴史も長く競合もたくさんいて、業界には職人さんとか玄人さん達がたくさん存在するわけじゃないですか。そんな市場で素人が勝負したって当然勝てるはずもない。一方で素人だらけの業界や玄人が存在しない業界、競合が少ないところで戦った方が勝てる。これを見た時、初めて自分が好きなことではなく、業界の歴史が浅くて競合の少ないマーケットを選ぼうと思えたし、若い人でも素人でもチャンスがあることっていうことが当時の自分にとって衝撃でした。今はスモールマーケットで旨みのない市場でも、それにトレンドがかけ合わさって大きく成長していくと後にビックマーケットになっていく可能性もあります。当時はアイフォンもアンドロイドも出たばっかりでスマホが普及していくタイミングでした。インターネットをスマートフォン上でできるっていう時代の始まりなので、そこにハマってくるようなサービスやアプリを作るということは意識していました。それこそ、スモールマーケットにトレンドが組み合わさり、今のスマホ市場というビックマーケットが形成されていったのだと思います。
他の理由でいうと、昔から新しいものが好きだったっていうことも大きいと思います。ミーハーだったので、アイフォンが出るっていう噂の時からほしいなと思っていました。そういう意味では誰よりも早くそういうのに食いついて、みんなの当たり前になるものを最初にいじることができたのはデカかった気がします。
以上が赤坂さんインタビュー前編〜赤坂さん経歴編〜になります。赤坂さんの学生時代から社会人時代まで、何を考えてどういう意図を持って行動してきたのかを詳しく知ることができましたね。私は「勝てる自信がなかった」という言葉が一番衝撃的でした。しかし、この自信の無さこそがエウレカ創業時のローコストでハイリターンな結果を得るという決断に結びつくのだと思いました。石橋を叩いて渡る慎重さを兼ね備え、先見の明も持っていた赤坂さんだからこそ今の成功があるのだと感じることができました。また、インタビューの際に出てきた藤田晋社長の本のURLを載せておきますので気になった方はぜひご覧ください。
次回は赤坂さんインタビュー後編〜アイデア発想編〜になります。起業してみたい方や、世の中の潮流をうまく掴みたい方は必見の内容になっていると思いますので、是非ご覧ください。