お知らせ

【広報委員会セミナー】(株)花王 DX戦略部門 廣澤祐氏 ご講演

  • 2024年02月15日
お知らせ

【広報委員会セミナー】
廣澤祐氏(花王株式会社)講演会

こんにちは!経営学部広報委員の近藤、西原、伊藤です。
私たち経営学部広報委員会は、花王株式会社DX戦略部門の廣澤祐(ひろさわ・ゆう)さんをお招きし、「就活やゼミにも使えるマーケティング講座(基礎から応用・SNS編)」と題した講演会を行いました。
廣澤さんは2015年に花王に入社され、2018年から「キュレル」のブランドマネジメント業務に従事、そして現在は、「DX戦略部門 事業DX推進センター 事業DXサポート部 データドリブンマーケティング推進室」という部署にて、社内外のデジタル活用を推進しておられます。また、お仕事と並行して、一橋大学大学院の博士後期課程で経営学(イノベーション・マネジメント)の研究室に所属されており、社会人大学院生としての顔も持っておられます。
今回の講演会では、「マーケティング活動とは何なのか」という基本の部分に始まり、「SNSをマーケティングに活用するには」という応用の部分に至るまで、わかりやすくお話しをしていただきました。そこで、この講演会の内容についてご紹介いたします。
 

1.マーケティングとは


皆さんは「マーケティング」といえば何を思い浮かべるでしょうか?「プロモーションをする」「商品を作る」など、様々なイメージがあると思います。
廣澤さんは、まずマーケティングを「買われる仕組みを作り、運用し、継続していくこと」とし、その仕組みを解き明かすために、マーケティングの一連のプロセス(下記①~⑥)を確認することから講演を始められました。

①探索:消費者の観察や調査から、実態やニーズを把握し、消費者に求められているものは何かを探索する。
②企画:調査や観察の結果をもとにコンセプトやテーマなどの商品設計を定め、商品戦略を決める。
③開発:商品コンセプトを具現化し、機能や性能、便益を定め、消費者の受け入れ性を確認していく。
④生産:商品の販売戦略や広告戦略などを定め、生産体制を調整する。
⑤販売:実際の店頭へ商品を展開し、広告活動を行うことで、消費者が商品を手に取りやすい状況をつくる。
⑥分析:発売後の顧客の反応を分析し、商品性能やデザインの改良、広告や店頭のコミュニケーションの調整など、発売後のメンテナンスを行う。

これら一連の活動が実務としての「マーケティング」であり、まさに「買われる仕組みを作り、運用し、継続していく」ということです。 こうした一連のプロセスに則って新商品を開発する際には、約2年の時間を要するそうです。

このプロセスには、各企業内のマーケターを中心に、さまざまな専門組織やパートナーが関わります。例えば花王では、マトリクス運営組織という方法を用いているそうで、この方法は、商品開発段階には商品開発部門、広告を打ち出す段階にはメディア企画部門、というように、マーケティングの段階ごとに専門的な部署とタッグを組んで活動を推進するものです。廣澤さんによれば「マーケティングの実務は地味な仕事も多く、8割は面白みの少ない作業だが、商品やメッセージがお客様に届いた瞬間の喜びや、商品が売れた喜びを感じられるのが仕事の醍醐味」とのことです。
では、マーケティングを行う仕事「マーケター」になるにはどのような能力が必要なのでしょうか。マーケターは「買い手への付加価値の提案」を行います。そのために必要な能力としては、思考力と内発的な動機付けが挙げられ、特に内発的動機づけ、つまり熱意や好奇心は、マーケターにとって何よりも重要な能力だとのことです。なぜならば、思考力は人に教わることも訓練することもできるが、内発的動機づけは自己の意識に依存するためです。「この商品を作れば面白いのでは」「このメッセージならお客さんに届くのでは」という熱意・好奇心が根底に無いと、マーケティングは遂行できないと強調されていました。マーケターという仕事に対して興味や熱意を持っている方は、まず、マーケティングについて自ら調べてみるなど、何かしら行動に移してみてはいかがでしょうか。
 

SNSマーケティング


皆さんは、マーケティングでどのようにSNS が活用されていると思いますか?多くの人は、商品紹介のために活用されていると考えるのではないでしょうか。しかし、廣澤さんによれば、SNSマーケティングは商品紹介・宣伝以外にも多岐にわたっており、大別すれば、①ニーズの調査、②商品の広告・宣伝、③商品の購買の場、④顧客とのコミュニケーション、の4つの側面があります。
まず①ニーズの調査は、ブランドや商品に対するイメージの把握や、消費者の生活上の課題などについて、SNS上の投稿やレビューを基に分析することができます。②商品の広告宣伝は、商品を多くの人に知ってもらいたいとき、キャンペーン情報を拡散したいときに活用し、広告や商品情報を発信する公式アカウントなどが挙げられます。③商品の購買は、SNS上で気になる商品を見つけたとき、すぐに購入できるようにする仕組みづくりで、商品紹介サイトのURL を広告に添付するなど、一連の消費行動がスムーズに進む工夫です。最後に、④顧客とのコミュニケーションについては、ブランドを強く印象付けたり、親しみを感じてもらうための活動です。SNS上で積極的に消費者と交流したり、「お役立ち情報」を発信したり、ユーモア溢れるリプライをするなど、魅力的なアカウントも多く見られます。

3.まとめ


上記のほか、マーケティング活動の歴史や、マーケティング学の最前線などについて、若手研究者の観点からお話しいただくなど、盛りだくさんの内容となりました。
今回の講演会では、マーケティング活動の第一線で活躍されている実務家の目線を通して、マーケティングとSNSの活用方法を基礎から学ぶことができました。特に、マーケターに必要なスキルとして、熱意や好奇心を挙げておられたのは印象的で、筆者もこれからの大学生活で、自分が気になったことに果敢に取り組んでいこうと思いました。
また、SNSマーケティングの方法については、発信情報をもとにニーズを拾ったり、自社のブランドイメージ確立に活用したりと、我々が知らない場所での活用方法がたくさんあり、驚きました。皆さんもSNSで企業のアカウントや投稿を見つけた際には、どのような意図で投稿しているかを考えてみると、新たな発見があるかもしれませんね。
この記事を読んでくださっている学生の皆さんも、熱意や好奇心を大切にして、自分のやりたいことに向かって前進してほしいと思います。廣澤さん、この度はお忙しいなかご講演いただき、ありがとうございました。

(文責:経営学部1年 近藤汐莉・西原遼聖・伊藤輝羽)