お知らせ

国土交通省協力講座「日本の水資源と健全な水循環」開催(2024年5月22日(水)15:00~16:00)

  • 2024年05月28日
  • イベント・行事
お知らせ

  2024年5月22日(水)、法政大学環境センターは、国土交通省にご協力いただき、「持続可能な地球社会」の実現に向けた「日本の水資源と健全な水循環」をテーマに講演会を開催しました。

 我々が暮らす「かけがえのない地球」には約14億k㎥もの量の水が存在します。しかしながら、その内の約97.5%は海水等が占めており、淡水はわずか約2.5%に過ぎません。更には、淡水の大部分は、南・北極地域などの氷や氷河として存在し、地下水や河川、湖沼などの水として存在する淡水の量は、地球上の水の約0.8%、この約0.8%の水の大部分が地下水として存在し、河川や湖沼等の水として存在する淡水の量は、地球上に存在する水の量のわずか約0.01%、約0.001億k㎥に過ぎないとされています。

 また、日本においては、年平均降水量は世界平均の約1.5倍にも関わらず、一人当たりの水資源賦存量は世界平均の四分の一程度、とりわけ、首都圏の一人当たりの水資源賦存量は、北アフリカや中東諸国と同程度に過ぎないと言われています。日本の水資源は、森林の荒廃や水田の減少による保水・遊水機能の低下、生態系の劣化、汚濁負荷の増加による水質の悪化、地下水の過剰くみ上げによる地盤沈下、湧水の枯渇、平常時の河川流量の減少、都市型水害の発生、気候変動の影響を始めとした様々な問題が発生し、水を利用する人間活動に起因する問題の要因が複雑であることから各々の課題に応じた対策が必要です。

 講演会においては、安元講師より日本の水資源を巡る現状、水資源の賦存状況、都市用水・農業用水の利用状況等のデータ、近年の渇水の状況や再生水や雨水などの活用を始めとした渇水時の対応、水の適正利用や水資源に関する連携・理解促進等の取組状況、水資源政策の方向性を始めとした水資源に関連した国土交通省の取組状況や課題を中心にご講演いただきました。
 とりわけ、安元講師からは、1964年に開催された東京オリンピック時の東京都における渇水対策や能登半島地震における災害時の対応を例に、原水(海水を含む)を飲料水に浄水させる可搬式上水装置を活用した緊急時における用水の確保の取り組みについてご紹介いただき、不測の大規模災害・事故時においても最低限の水が確保できるように平時から水供給リスクに備えて対策を検討する必要についてお話いただきました。

 法政大学環境センターは、水の恵みを将来にわたって享受することを目指した国土交通省の水資源政策をテーマに国土交通省協力講座を開催し、一つ一つの「行動」と「自然」とのつながりを意識して、我々の暮らす「かけがえのない地球」の未来について考えるきっかけとなりました。

「日本の水資源と健全な水循環」をテーマにした国土交通省協力講座には、水管理・国土保全局 水資源部水資源計画課 総合水資源管理戦略室より安元 誠主査を講師としてお招きしました。

  • 我々の暮らす「かけがえのない地球」に存在する水資源の約七割が食料の生産に使われているといわれています。国土交通省協力講座「日本の水資源と健全な水循環」は、我々の暮らしと切り離すことができない水資源をテーマに取り上げ、20名をこえる本学学生、教職員に加えて、一般の方に参加いただきました。

  • 冒頭に、国土交通省協力講座を企画立案した法政大学環境センター榎本 直子より気候変動の影響から能登半島地震にいたるまであらゆるリスクに備える必要性や「日本の水資源と健全な水循環」の企画の概要について説明しました。

  • 1964年に開催された東京オリンピック時には、東京都は「東京砂漠」と呼ばれるほどの深刻な水不足に直面し、家庭でパン主体の食事に入浴や洗濯の制限、魚の食中毒の続出、プール禁止、消防活動や医療活動への影響、給水車からの水運び、時間給水への拘束が給水制限の影響として挙げられました。

  • 講演会終了後は、水道管の劣化を始めとした様々な課題や水供給リスクに備えた対策等、会場からも熱心に質疑応答が行われました。