モノの動きや関係性を担うメカニズムに注目し、日用品から宇宙関連技術まで手掛ける山田泰之准教授研究室。実践を重視した学びで、デジタルファブリケーション機器※1を駆使したさまざまな課題に挑戦し、モノづくりの技術を磨いています。「今の時代のモノづくりにデジファブは欠かせません。いろいろな機械を使いこなしていくことが大切なので、課題を通じて触れる機会を増やしています」と語る山田准教授。例えば研究室に入って間もない頃の課題は「1枚の合板から作る立体的な生物模型づくり」。レーザーカッターを駆使しながら知恵を絞って完成させたパズルのような模型は、初作品として研究室に飾られています。
4年次では、個別に卒業研究に取り組みます。藤井さんが着手したのは着ぐるみの機構開発です。「着ぐるみの動きはジェスチャーや手足を動かすだけのものが多いですが、もっと表現力を高める仕掛けづくりを目指しています。最終的には『えこぴょん』の耳を動かしてみたいですね。山田研究室ではテクノロジーとクリエーションを融合した研究ができるので、やりがいがあります」と笑顔を見せます。
研究生たちは学外コンペへの参加も積極的で、3年次は全員が「学生照明展」に出品。さらに、有志が自主的に参加した「GUGEN」※2でも、入賞などの成果を残しています。
研究室に入る前から、個人的に3Dプリンターを購入するなどオリジナリティーのあるモノづくりに意欲的だったのは山田さん。手掛けた作品が次々と受賞するなど、着実に力を伸ばしています。「もっと本格的にモノづくりを究めたいので、大学院への進学を決めました。将来は、子どもたちがワクワクしながらモノづくりを楽しめるように、図工を教える教室を開きたいと考えています」と夢を膨らませています。
「山田准教授には、モノづくりの技術はもちろんですが、社会人としての心構えも教えていただきました。その教えにはとても感謝しています」と語るのは引間さん。「今後はデザイナー職として働く予定なので、研究室での学びを生かしながら、モノをデザインする上でどうすれば使いやすくなるのかを考えていきたい」と、将来の自分を見据えます。
春を迎える山田研究室では、学びの集大成として、卒業研究で取り組んだ作品をプロモーションムービーと合わせて展示する「卒業展示会」を計画中。学生たちは、作品の魅力が伝わるアピール方法などを考えながら、準備を進めています。
※1 デジタルファブリケーション:3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機器を活用してモノづくりをする技術のこと。通称デジファブ。
※2 GUGEN:社会の課題解決を目指し、実用性・商品性の高いオリジナルハードウェアを募集するコンテスト。
(初出:広報誌『法政』2023年3月号)