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第47回法政大学大学院まちづくり都市政策セミナー 開催報告(12/17)

  • 2023年03月27日
  • イベント・行事
お知らせ

第47回法政大学大学院まちづくり都市政策セミナーが開催されました

2022年12月17日に、第47回法政大学院まちづくり都市政策セミナーが、前年に続いて市ヶ谷キャンパスで開催されました。当日はあいにくの雨で寒い一日でしたが、午前中の基調講演から多くの方々にご参加いただき、主催者として心から感謝しております。

第47回は、前年の基調講演(陣内秀信法政大学特任教授「今、真の都市再生とは?―自然・歴史・コモンズの視点から」)で提唱された「新たな地域主義」という言葉を探究するために、「新たな地域主義の構想に向けて」を共通テーマとして、田中優子法政大学名誉教授(前総長)の基調講演に続いて、現代総有と食のアプローチから2つの分科会で議論しました。

以下、基調講演、2つの分科会、大学院生や学部生がそれぞれの研究や地域実践について説明したポスターセッションについて紹介します。また基調講演の講演録も提供しますので、当日、参加されなかったみなさまにもご一読いただければ幸いです。

第47回法政大学大学院まちづくり都市政策セミナー運営委員会

 基調講演「石牟礼道子の世界と地域の未来 ~生命たちの賑わいを感じ取れるか? ~」(田中優子(法政大学名誉教授))

基調講演は、石牟礼道子の水俣文学をテキストとして、「新たな地域主義」の基底的な価値ともいえる「生命たちの賑わい」について考える機会になりました。
前半では、石牟礼道子の原風景を描いた『椿の海の記』を中心としながら、「万物が呼吸し合っている世界」という共同体観が、その後の水俣病患者への共感・共苦と共闘、そして天草の乱と重ねた『春の城』へとつながっていったという思想形成についての読み解きが行われました。
さらに後半では、田中正造の「真の文明ハ山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」という言葉や谷中学へと話は展開し、田中先生自身がゼミ合宿で訪れた佐渡や白神山地にも言及しながら、これまでの近代化とは異なる地域のあり方と再生を模索するためにも、地域で生きてきた人々の存在を知ることが大切であると述べ、「新たな地域主義の構想」への手がかりを提示しました。

 

 ポスターセッション

基調講演のあと、昼休みの時間に外濠校舎3階ギャラリーにて、開催しました。
会場のパネルには、学部生と大学院生合わせて、8つのポスターが掲示され、まずはパネルの順番に発表をしました。会場に集まった40人近い参加者は、ポスターの前を移動して、発表を聴きました。発表が終了後、発表者は各ポスターの前に待機し、興味を持った人たちと意見交換を行いました。今年の発表は、学部生・大学院生ともにゼミ活動や演習のフィールドワークなどの成果が中心でした。

 

 分科会1「共同性の再構築~現代総有の提唱と実践」

本分科会では、人口オーナス社会への突入により、土地・空間の私的所有権が強い日本で土地・空間が放置・放棄されてしまう問題にたいして、現代総有の幾つかの取組みを紹介しながら、「共同性の再構築」の可能性と展望について議論しました。まず日置雅晴さんから、オンラインで、門前町城端(富山県南砺市城端)における現代総有の試みと課題について報告をいただきました。また宮崎一徳さんと風間一毅さんからは、各地で本を中心とした共同性の再構築がなされていることが紹介されました。「現代総有」の命名者でもあるコメンテーターの五十嵐敬喜さんには、入会などの古いタイプの共同的取組みである「コモンズ」とは区別した新たな共同性を構築しようとする取組みとしての「現代総有」という観点から、人々と空間の共同性を再構築する「市民事業」の可能性ついて議論が展開されました。

 

 分科会2「食が紡ぐ地域の可能性」

本分科会では、清水まゆみさんから、川崎の伝統野菜「のらぼう菜」を伝え・届けるプロジェクトでの食文化の広がりと、川崎の農産物を使った「かわさきC級グルメコンテスト」を通じた子どもたちとの交流について報告をいただきました。久保健治さんには、江戸期から佐原の発展を支えてきた発酵文化の伝統と革新を融合させながら、近年取り組みを進めている食の商品開発や「発酵ツーリズム」についての報告をいただきました。コメンテーターの木村純子さんからは、これらの取り組みとイタリアにおける「テリトーリオ戦略」に共通して見出される「豊かな社会」へのキーワードが提起され、地域の可能性についてグローカルな議論が展開されました。

 

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