研究活動

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研究プロジェクト

比較研シリーズプロジェクト

市場・社会における「標準化・規格」の意義と機能

ねらい

責任者:菅 富美枝(科学研究費補助金  基盤研究(C))

 本研究プロジェクトの目的は、公的な存在である市場を活性化するための基盤となることを期待した、「標準化・規格 (Standardisation and Standards)」の探求である。公正な市場の秩序を下支えする存在として、制定法(ハードロー)のみならず(あるいは、それよりむしろ)、自主基準(ソフトロー)の果たす役割に注目するところに特徴がある。競争法・独占禁止法、あるいは、一連の消費者保護法制などが持つ公正・保護・規範といった法学的視点に、自主性・誘因・効率性・衡平さなどを重視する経済学的視点を加味する点において、従来の研究とは一線を画している。

参加者
  • 菅 富美枝(法政大学比較経済研究所 教授)
  • 鈴木 豊(法政大学比較経済研究所 教授)
  • 廣川 みどり(法政大学経済学部 教授)
  • 小峯 敦(法政大学法学部 教授)
  • Olaf Meyer(Professor of Commercial Law and Contract law, Frankfurt University of Applied Sciences, Germany)
  • Maria Raquel Guimaraes(Associate Professor of Civil Law and Contract Law, Faculty of Law, University of Porto, Portugal)
  • タン・ミッシェル(元帝塚山大学・法政策学部・教授、元NPO 法人「消費者ネットジャパン」理事長、元大阪府生活協同組合連合会会長理事、現 アコム・社外取締役)

炭素会計の日欧比較

  • 責任者:田中 優希
ねらい

 企業の温室効果ガス排出量を把握する試みについて調査する。こうした試みは炭素会計(Carbon Accounting)と呼称され、伝統的な会計や情報開示の知見を援用しながら、欧州、特に日英仏蘭で、研究と実践が積み重ねられている。
 気候変動という世界的課題に対処するため、企業には脱炭素の取り組みが強く求められてきたが、2015年のTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、2022年のISSB(国際サステナビリティ基準)など、この動きは世界的な開示規制という形で加速している。他方で日本は基本的に自主開示という形で対応している。各社は、GHGプロトコルという温室効果ガス把握のガイダンスに基づいて、スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)、スコープ3(バリューチェーン全体の排出)というフレームワークを用いて排出データの測定と管理を進めている。 
 本研究は、日欧(特に、政治的に主導した英仏、慎重ながらも精緻な制度化を進める独、独自路線を行く蘭)の炭素会計の制度や計算方法、開示例を比較し、課題と示唆を示すことを目的とする。具体的な論点は以下の4点である。

① 日欧のスコープ1・2・3の測定実態を比較する。特にスコープ3における測定の手法や課題の相違点に着目する。文献調査のほか、両地域で活動する測定コンサル企業や専門機関へのヒアリングを実施する。
② 座礁資産(低炭素社会への移行により価値が毀損する可能性のある資産。化石燃料系設備など)への対応戦略を日欧で比較する。
③ 炭素会計情報の保証手法を詳細に調査し、日本の監査・保証基準や報告慣行の違いを検討する。
④ 情報の利用者として、日欧の機関投資家の低炭素型投資の取組状況を調査する。株価や財務情報と組み合わせた実証分析を行い、炭素会計情報が投資意思決定に与える影響を評価する。

参加者
  • 田中 優希(法政大学比較経済研究所 教授)
  • 北田 博嗣(法政大学経営学部 教授)
  • 髙橋 由香里(武蔵大学経済学部 准教授)
  • 岡田 華奈(大阪経済大学 准教授)
  • 野田 健太郎(立教大学経済学部 教授)

対反乱政策の包括的分析―データセットの構築・影響評価―

  • 責任者:冨永 靖敬(科学研究費補助金  基盤研究(C))
ねらい

 本研究は,反政府武装組織に対する諸政策が,組織の活動(攻撃頻度・攻撃形態・地理的分布・生存確率)に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目的とする。反政府武装組織の指導者に対する標的攻撃,「テロ指定リスト」による組織の違法化など,様々な対反乱政策について,過去10年間にわたって多くの研究結果が蓄積されてきた。一方で,既存研究における影響評価の分析は,それぞれ対象範囲・時期が異なるのに加え,特定の政策のみに焦点が当てられ,同時並行的に実施される他の対反乱政策の影響は十分に考慮されていない。本研究では,対反乱政策を政治的,法的,軍事的アプローチに分類した上で個々の政策についてデータ化し,各国・国際機関が実施する諸政策を網羅的に把握することで,従来よりも厳密な政策効果の検証を試みる。分析を通して,将来的な対反乱政策の選択・実行に対して有益な科学的エビデンスを提供することを目的とする。

参加者
  • 冨永 靖敬(法政大学経済学部 教授)
  • 倪 彬(法政大学経済学部 教授)
  • Chia-yi Lee(国立政治大学(台湾)外交学部 教授)
  • Nazli Avdan(カンザス大学(米国)政治学部 助教)
  • Brian Phillip(エセックス大学(英国)政治学部 准教授)
  • 野 塁(西南学院大学 講師)

交易品のサンギュラリティ獲得をめぐる歴史―工芸品とテロワール産品に着目して

  • 責任者:杉浦 未樹(科学研究費補助金  挑戦的研究(萌芽))
ねらい

 19世紀後半から20世紀前半にかけて、工芸品とテロワール産品が輸出品におけるジャンルとして成立した。その際、各地の産品がとらえなおされ、世界市場にむけて汎用性をもちながらも、「それにしかない個性(サンギュラリテ)」をもつものとして提示されていった。この過程は、工業化が進んでいた地域も、新たに進めようとする地域も、また植民地化されていく地域も巻き込んで、同時多発的に、かつ、互いが交流しあいながら進行した。19世紀後半は、国際貿易が拡大したことでグローバルな商品連鎖が成立し、一次産品(原料)と二次産品(製造品)の供給地域が特定されていく時期として位置づけられてきた。これに対して、「工芸品」というジャンルの形成は、多彩な地域の思惑が交錯して、グローバルとリージョナルとローカルなどの様々なレベルで、場の再編成と文脈づけが行われた。

 輸出工芸品の場と文脈の成立には、工業と芸術とクラフト(技芸)をどう区分していくか、農業と工業など各産業間をどう橋渡しするのか、ローカルな伝統的な技術を新市場に適応させどのように編集していくのかという、経済にとどまらない、思想、技術、文化全般にわたる問題が絡む。本研究では、経済学・美術史・思想史・文化史・文化人類学との学際的な分析を行い、広い視点から輸出工芸品を読み解く。それを通じて、このプロジェクトでは、1850~1930年代までの工芸品をめぐる場と文脈の形成をとらえ、経済・文化・思想を横断してとらえる「工芸品史」を提案し、モノ(製品・商品)視点の世界経済史という新たな視角を提示する。​​​​​

参加者
  • 杉浦 未樹(法政大学経済学部 教授)
  • 後藤 浩子(法政大学経済学部 教授)
  • 山本 真鳥(法政大学経済学部 名誉教授)
  • 赤松 和寿江(国学院大学文学部史学科 准教授)
  • 井戸 美里(京都工芸繊維大学デザイン学専攻 准教授)
  • 鈴木 桂子(立命館大学文学部 講義担当講師)
  • 見浪 知信(桃山学院大学経済学部 准教授)
  • 三宅 拓也(京都工芸繊維大学デザイン学専攻 講師)
  • 飯島 真里子(上智大学英語学部 教授)
  • 早坂 由美子(一橋大学​​​​​​ 非常勤講師
  • Giovanni Faveroカフォスカリ大学経営学部​​​​​​​​​​​​​​ 教授)
  • Ilja van Dammeアントワープ大学​​​​​​​​​​​​​​史学科​​​​​​​ 教授

雇用のセーフティネットとしての教育施策・訓練施策に関する研究

  • 責任者:酒井 正
ねらい

 職業訓練を通じた就労支援等,就業への橋渡しとなる教育施策が,雇用のセーフティネットの一つとして期待される場面が多くなっている.しかしながら,そのような期待とは裏腹に,職業につながる教育を巡っては,十分に研究がされていない側面もいまだに多く残されている.そこで本研究は,セーフティネットという観点から,教育制度においてこれまで見過ごされがちだった領域に焦点を当て,実証的な分析をおこなうことを目的とする.具体的には,公共の職業訓練や短期大学が果たして来た役割等を取り上げて,諸外国との比較もおこないながら分析する.また一方で,格差を拡大(あるいは固定化)させる要因として,中等教育レベルや高等教育レベルで生じている変化等についても言及する.

参加者
  • 酒井 正(法政大学経済学部 教授)
  • 池上 宗信(法政大学経済学部 教授)
  • 荒木 宏子(株式会社パパラカ研究所 取締役副社長)
  • 小林 徹(高崎経済大学経済学部 教授)
  • 中井 雅之(厚生労働省 公文書監理官)
  • 長谷部 拓也(上智大学国際教養学部 准教授)
  • 三好 向洋(愛知学院大学経済学部 講師)

研究プロジェクト

「ガバナンスの比較セクター分析:ゲーム理論・契約理論アプローチ」研究の発展と深化

  • 責任者:鈴木 豊
ねらい

 2010年に、『ガバナンスの比較セクター分析:ゲーム理論・契約理論を用いた学際的アプローチ』というタイトルで比較研の研究叢書を出版した。概要は、「ガバナンス」という概念を、(企業内、企業間の)経済主体間、民間・政府セクター間、中央・地方政府間、主権国家間などに存在する様々な「外部性(externality)」を内部化(internalization)し、解決する仕組み・やり方の総称だと経済学的に捉え、「ゲーム理論」「契約理論」という共通の分析ツールを用いて、上記セクター間の「ガバナンス・メカニズム」の比較分析を行うことを目的とした共同研究であった。十分な成果を出し、また評価を得ることができたとも考えているが、テーマが大きく包括的なだけに、能力上の制約もあり、完全には網羅しきれず、完成しきれなかった箇所も、正直なところ、残っていた。本研究では、前回の研究叢書以後、約15年での経済理論の進展と現実の諸問題の変遷も踏まえつつ、各セクターに関する研究の進展を振り返り、継続・発展させるとともに、最後は全体を俯瞰して、「ガバナンス論」として、より精緻にまとめたいと考えている。

参加者
  • 鈴木 豊(法政大学比較経済研究所 教授)
  • 廣川 みどり(法政大学経済学部 教授)
  • 小林 克也(法政大学経済学部 教授)
  • 武田 浩一(法政大学経済学部 教授)
  • 貫 芳祐(法政大学 名誉教授)
  • 李 江南(法政大学大学院 研究生)

新規医療技術の採用と普及状況の特徴把握にかかる実証研究-わが国と他国の状況比較-

  • 責任者:菅原 琢磨
ねらい

本研究の目的は、医療費増加の主要因の一つとされる高度医療技術について、それらがどのようなプロセスを経て社会に受容され、普及・拡散していくのか、その特徴および影響要因を実証的に明らかにすることである。近年、高額薬剤や高度な医療機器・医療技術が相次いで市場に導入され、患者便益の向上など大きな社会的価値をもたらしている一方で、それらに伴う医療費の増大や、医療保険財政の持続可能性に対する懸念も高まっている。しかし、新規医療技術が市場導入後、どのような速度や経路で普及し、その過程において経済的インセンティブ、制度的要因、医療提供体制といった諸要因がどのように作用しているのかについては、体系的な実証研究は必ずしも十分とは言えない。
とりわけ、わが国を対象として、複数の高度医療技術を横断的に比較し、その普及プロセスや影響要因を定量的に検証した研究は極めて限られている。本研究は、こうした研究上の空白を踏まえ、新規医療技術の普及プロセスを数量的に把握し、その特徴と規定要因を明らかにすることを主たる目的とする。

参加者
  • 菅原 琢磨(法政大学経済学部 教授)
  • 河村 真(法政大学経済学部 教授)
  • 塚原 高広(名寄市立大学保健福祉学部 教授)
  • 桂 慶二(オリンパスマーケティング株式会社経営戦略本部 Senior Director)
  • 田村 誠(米国医療機器・IVD工業会 医療技術政策研究所 所長)
  • Vinod Kumar Mishra(Senior advisor CEO Office at The Oslo University Hospital)

 

 

Uncertainty, FDI and Firm Adjustment

  • 責任者:倪 彬
ねらい

 The impact of uncertainty on firms’ investment has been discussed for quite a long time. However, most of the existing studies focus on firms’ investment in the domestic market, and there is still insufficient evidence on how uncertainty affects multinational firms’ behavior or foreign direct investment (FDI hereafter), let alone the within-firm adjustment mechanism after the uncertainty shock, mainly due to data constraint.
 Under such circumstance, it is natural to ask the following research questions: how is FDI affected by the macroeconomic uncertainty in the destination market, and through what kind of channels do multinational enterprises make subsequent adjustments?
 Accordingly, the main objective of this study is to make clear the mechanism of how Japanese multinational firms respond to heterogeneous types of uncertainty in the destination market. I will investigate how the interactions between parent firms and their oversea affiliates evolve in response to the uncertainty shock, and potential channels of adjustment will be differentiated

参加者
  • 倪 彬(法政大学経済学部 教授)
  • ブー・トウン・カイ(法政大学経済学部 教授)
  • 小橋 文子(慶應大学経済学部 教授)
  • 李 綱(東洋大学経済学部 准教授)
  • 森田 裕史(東京工業大学・工学院工学経営系 准教授)

 

国際相互依存下のアジア各国国内制度の特殊性・普遍性と市場構造

  • 責任者:武智 一貴(科学研究費補助金  基盤研究(C))
ねらい

多角的貿易体制の重要性は、安全保障の問題や地球環境問題の対策の観点からも高まっている。また、自由貿易協定の増加に伴う貿易コストの低下は、国境を越えた経済活動の進展を促し、財・サービスの供給パターンの多様化をもたらしている。アジア地域におけるグローバルバリューチェーンの展開からの国際経済を通じた成長は、新しい国際問題に対処する必要性を明らかにしている。今日多くの国が地域経済協定を締結し、国際的な知的財産権の取引や提携(アライアンス)、直接投資や国際M&Aといった経済活動に影響をもたらしている。イノベーションの促進や経営資源の効率的な移転を通じ、企業の成長に直接的に影響を与えると考えられるため、国際取引による結びつきはアジアにおいては重要である。従って、多様な供給パターンの原因を把握し、適切な知的財産取引、金融、コーポレートガバナンスや市場構造に関する国内制度(知的財産権法、会社法、独占禁止法等)を構築する事は、円滑な市場取引の構築という効率性の達成のみならず、高付加価値産業の育成というアジア地域の経済発展に主要な役割を果たす。本研究では、市場環境が国内制度の変化に対応し変容するとの認識の下、多角的貿易制度の下で、国内制度と国際協力の相互依存状態での市場構造を分析する。国内制度の特殊性、普遍性を明らかにし、国際制度設計に対してのインプリケーションを導き出す。

参加者
  • 武智 一貴 (法政大学経済学部 教授)
  • 田村 晶子 (法政大学経済学部 教授)
  • 胥 鵬 (法政大学経済学部 教授)
  • 宮﨑 憲治 (法政大学経済学部 教授)
  • 竹口 圭輔 (法政大学経済学部 教授)
  • 近藤 章夫 (法政大学経済学部 教授)
  • 東田 啓作 (関西学院大学経済学部 教授)
  • 黒田 知宏 (名古屋学院大学経済学部 准教授)

公共財のただ乗り問題における自発的交渉の有効性:理論分析と応用

  • 責任者:篠原 隆介(科学研究費補助金  基盤研究(C))
ねらい

 本研究では、公共財のただ乗り問題が生じる状況において、経済主体間の自発的な交渉が果たす役割について考察する。そのため、非協力ゲーム理論、協力ゲーム理論、戦略的協力ゲーム理論等、ゲーム理論の手法を幅広く応用して、理論的な分析モデルを構築するとともに、国際環境問題の解決といった応用問題において、交渉が果たす役割を明らかにする。古くから、公共財供給においては、資源配分のパレート非効率性が問題となることが知られているため、本研究では、「この問題が自発的な交渉によって、どの程度解消可能であるのか」を検証し、資源配分の効率性の観点から、より望ましい交渉メカニズムを設計することも視野に入れる。

参加者
  • 篠原 隆介 (法政大学経済学部 教授)
  • 松島 法明 (大阪大学大学院国際公共政策研究科 教授)
  • 平井 俊行 (法政大学経済学部 教授)
  • 新井 泰弘 (高知大学人文社会学部 准教授)
  • 西村 健  (法政大学経済学部 教授)
  • 山田 麻以 (日本大学経済学部 准教授)
  • 津川 修一 (龍谷大学経済学部 講師)

ポスト・デフレ期の日本経済の政策評価:賃金硬直性付きHANKモデルの応用

  • 責任者:宮崎 憲治(科学研究費補助金 基盤研究(C))
ねらい

本研究は、異質的家計ニューケインジアン(HANK)モデルを用いて、日本経済における金融政策と財政政策の相互作用を、分配面を含めて総合的に解明することを目的とする。2022年以降の物価上昇が実質賃金の持続的低下を招き、家計の消費・貯蓄・労働供給に歪みを生んだ背景を、所得・資産・雇用形態が異なる多様な家計を明示した枠組みで分析する。春闘の集団交渉と、インフレ期の上方調整遅れ(非対称的賃金硬直性)を組み込み、政策ショックの波及経路を定量評価し、最適な政策協調(ポリシーミックス)を提示する。

参加者
  • 宮崎 憲治 (法政大学経済学部)
  • 北浦 康嗣(法政大学社会学部)
  • 郡司 大志(大東文化大学経済学部)
  • 平賀 一希 (東海大学政治経済学部)
  • 松村 隆 (東京電機大学未来科学部)
  • 三浦 一輝 (愛知学院大学総合政策学部)
  • 墨 昌芳 (宮崎産業経営大学経営学部)

高齢化社会における世代間資産移転と家族関係に関する実証研究

  • 責任者:濱秋 純哉(科学研究費補助金 基盤研究(C))
ねらい

 本研究では,人々が家族内で生前贈与や遺産等の世代間資産移転を行う動機(遺産動機)と,贈与・相続税制が資産移転や消費・貯蓄行動及び労働供給に与える影響を明らかにすることに取り組む。近年,高齢者に遍在する資産の移転を促すために,相続税の基礎控除額の引き下げや,祖父母や両親から子や孫への教育資金の贈与に対する非課税措置等がとられている。これらの政策には消費を刺激する効果もあるかもしれないが,より裕福な世帯で資産移転が起こることによる教育格差の拡大や,一世代を飛び越した(祖父母から孫への)贈与を認めることによる租税回避の増加等の問題点も指摘されている。このような問題意識に基づき,世代間資産移転に対する政策の効果を,効率性と公平性(格差)の観点から世帯や個人レベルの個票データを用いて明らかにすることが本研究の目的である。

参加者
  • 濱秋 純哉 (法政大学経済学部 准教授)
  • 岩本 光一郎 (愛知東邦大学経営学部 准教授)
  • 暮石 渉 (東京都立大学経済経営学部 教授)
  • 酒井 正 (法政大学経済学部 教授)
  • 坂本 和靖 (群馬大学社会情報学部 准教授)
  • 菅 史彦 (九州大学大学院経済学研究院 准教授)
  • 名方 佳寿子 (摂南大学経済学部 准教授)
  • 新関 剛史 (千葉大学社会科学研究院 教授)
  • 堀 雅博 (東京経済大学経済学部 教授)
  • 村田 啓子 (立正大学経済学部 教授)
  • 森脇 大輔 (株式会社タップル)
  • 若林 緑 (東北大学大学院経済学研究科 教授)

企業統治と資本コストと株価を意識した経営の実現

  • 責任者:胥 鵬
ねらい

 持続的な成長と中長期的な企業価値向上の一連の施策にもかかわらず、PBR(株価純資産倍率)は、プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社が1倍割れというプ現状から、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を開示するように東京証券取引所が要請した。PBR1倍割れは、今すぐ企業を解散して株主資本を株主に分配した方が価値があることを意味し、PBR1倍は経営者が実現すべき企業価値の最低ラインである。本研究の目的は、経営者の資本コストや株価に対する意識、市場評価の分析評価及び改善に向けた方針計画の開示がどのように成長投資、人的資本への投資、抜本的な事業ポートフォリオの見直し、自社株買い、活発なM&Aにつながるかを検証し、資本コストと株価を意識した経営を促す企業統治をどのように構築できるかについて分析を試みる。
 PBR1倍割れは、持続的な成長につながる知財・無形資産創出につながる研究開発投資、人的資本投資や設備投資の機会が乏しいと市場が評価している。効率的な経営資源配分は、PBR1倍割れ企業の過剰投資をなくして高PBRの成長投資を増やすことに尽きる。われわれは、高PBR企業の無形資産投資・研究開発・設備投資、PBR1倍割れのキャッシュリッチ企業の自社株買いに資本コストと株価に対する意識等の開示要請が加速させるような企業統治をどのように構築すべきかについて分析を行う。

参加者
  • 胥 鵬  (法政大学経済学部)
  • 高橋 秀朋  (法政大学経済学部)
  • 鈴木 誠 (文教大学経営学部)
  • 袁 媛  (フェリス女学院大学)
  • 塩見 直也 (クリエイター)

サイエンス・イノベーションの経済地理分析

  • 責任者:近藤 章夫(科学研究費補助金  挑戦的研究(萌芽))
ねらい

 サイエンス・イノベーションかつプロセス・イノベーションという,当該技術が既存産業にもたらす効果や経済成長への効果に関する考察を進めることで,研究開発投資がもたらす社会的果実についての総合的評価や,第四次産業革命,industry4.0,グリーンエネルギー革命など現代における新たな潮流に対する経済効果について地理や空間の視点より包括的な評価を行う。

参加者
  • 近藤 章夫 (法政大学経済学部 教授)
  • 外枦保 大介(九州大学大学院基幹教育院 准教授)
  • 武智 一貴 (法政大学経済学部 教授)
  • 朴 倧玄 (法政大学経済学部 教授)
  • 山本 大策(明治大学文学部 教授)
  • 山本 匡毅(高崎経済大学地域政策学部 教授)
  • 與倉 豊(九州大学大学院経済学研究院 教授)

人口動態変化と財政・社会保障の制度設計に関する研究

  • 責任者:小黒 一正(科学研究費補助金  基盤研究(C))
ねらい

少子高齢化の進展に伴う社会保障費の膨張や恒常化する財政赤字により日本の公的債務残高(対GDP)は急増し、社会保障費の削減や増税を含め様々な改革が提案されているものの、財政・社会保障改革や世代間格差の是正は容易に進捗しない。この理由の一つとして、多数派の高齢者層などに配慮した政策を政治が優先的に選択するという「シルバー民主主義仮説」も深く関係する可能性が指摘されているが、様々な視点から、民主主義の根幹である選挙制度や財政統制のあり方を含め、人口動態変化に適合した財政・社会保障の仕組みを検討する必要がある。また、東アジアを含む諸外国においても急激な人口動態変化が予測される国々もあり、それが各国の経済財政や政治に大きな影響を及ぼす可能性も否定できない。そこで、本研究プロジェクトでは、人口動態変化と財政・社会保障の制度設計というテーマで、「シルバー民主主義仮説」の検証や、選挙制度や財政統制の改革の方向性を含め、実証経済学や理論経済学の両面から研究を行う。その際、日本のみでなく、諸外国の課題や動向も念頭に置き、研究を進める。

参加者
  • 小黒 一正 (法政大学経済学部 教授)
  • 石田 良 (財務総合政策研究所 客員研究員)
  • 木原 隆司 (財務総合政策研究所 上席客員研究員)
  • 田中 秀明 (明治大学公共政策大学院 教授)
  • 原 一樹 (格付投資情報センター チーフアナリスト)
  • 稲垣 誠一 (国際医療福祉大学大学院 教授)
  • 菅原 琢磨 (法政大学経済学部 教授)
  • 片山 健太郎 (財務省主税局 第二課長)
  • 服部 孝洋 (東京大学公共政策大学院 特任准教授)
  • 島澤 諭 (関東学院大学経済学部 教授)
  • 愛宕 伸康 (楽天証券経済研究所 所長兼チーフエコノミスト)

企業を戦略不全から脱却させる直接投資戦略

  • 責任者:田村 晶子(科学研究費補助金 基盤研究(C))
ねらい

 「日本経済の低迷の主要因は、日本企業の競争力の低下である。直接投資による海外進出の成功で競争力を高めていく企業がある一方、失敗して逆に競争力を落としてしまう企業もある。本研究の学術的な問いは、国際競争力を高めるための企業の投資戦略はどのようなものかを解明することである。本研究では、近年の貿易論で注目されている「企業の異質性」が海外進出パターンに与える影響・効果の分析に、企業の投資戦略タイプという視点を導入する。特に、戦略不全企業を適切な投資戦略によって戦略不全状態から脱却させることが、日本の国際競争力を高める上での重要なポイントとする。戦略不全企業は「ゾンビ企業」になっている可能性が高いため、組織内部・マネジメントの視点も入れ、「ゾンビ企業の復活」の研究も参考にする。適切な投資戦略に基づく直接投資が国際競争力を改善させる効果を測定し、企業が戦略不全状態を改善し競争力を回復するような海外進出パターンを解明する。

参加者
  • 田村 晶子 (法政大学経済学部 教授)
  • 武智 一貴 (法政大学経済学部 教授)
  • 胥 鵬 (法政大学経済学部 教授)
  • 清水 信匡 (早稲田大学商学学術院 教授)
  • 中岡 真紀 (三井物産アイ・ファッション株式会社)
  • 雨宮 健一郎(法政大学経済学研究科 博士後期課程)

東アジアの域内貿易・投資と経済相互依存

  • 責任者:ブー・トウン・カイ
ねらい

 東アジアにおいてここ数十年興味深い貿易構造が形成されている。とりわけその中において域内貿易が貿易全体の半数以上を占めており、その域内貿易において中間財が主要な部分を占めている。一方、域外との貿易では最終財がより大きな存在となっている。本研究の目的は、このような貿易構造が東アジア各国間において経済相互依存や地域経済全体のダイナミズムとどのように関係しているかを国際マクロ経済的視点から分析することである。

参加者
  • ブー・トウン・カイ(法政大学経済学部 教授)
  • 倪 彬(法政大学経済学部 教授)
  • 胥 鵬 (法政大学経済学部 教授)
  • 田口 博之(埼玉大学人文社会科学研究科 教授)
  • 井上 智夫(成蹊大学経済学部 教授)
  • 中田 勇人(明星大学経済学部 教授)
  • 顧 濤 (大東文化大学経済学部 教授)