比較研プロジェクト共催研究会『In Another’s Empire. Japan in British East Africa 1919-39’』開催報告
比較経済研究所では、以下の研究会を開催致しました。
開催概要 |
日時:2023年6月3日(土)13:30~17:30
会場:早稲田キャンパス3号館606教室およびZoom
講演題目:『In Another’s Empire. Japan in British East Africa,1919-1939.』
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講演者 |
・杉浦未樹(法政大学)
・ロバート・フレッチャー Robert Fletcher (ミズーリ大学)
・島田竜登(東京大学)
・鈴木英明(国立民族学博物館)
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講演概要 |
このワークショップでは、戦間期における日本の英領東アフリカについての調査史料を分析する研究プロジェクトから4つの報告がなされた。
ロバート・フレッチャー氏による第一報告では、東アフリカへの政策について、近東をはじめとした他地域へのイギリス帝国の植民地政策との関連づけがなされたうえで、同時期の資料の文面を比較すると、日本とイギリスの東アフリカへの進出について、地勢把握、人種論、商業利益など様々な点において共有した視座があったことが論じられた。
島田竜登氏による第二報告では、1926年の大阪商船会社のモンバサへの航行開始が、大阪商船会社自体および日本郵船やオランダとイギリスの商船会社のグローバルな航路の発達のなかでどのように位置づけられ、その経営が日本の交易発展においてどのような意味をもったのかが、仲介商の排除という観点から、論じられた。
つづいて鈴木英明氏は、第三報告で、東アフリカをはじめとした1920年代の新市場で重要な輸出分類となった「雑貨」が、報告書において文明化と結びつけられて語られていることを指摘し、その点と日本が安価なものを供給したこととの関係性を、広い視点から位置付けた。
最後に杉浦未樹氏は、東アフリカに進出した日本の綿花商の間に、東アフリカからの綿花の輸入が日本綿製品や雑貨などの輸出をけん引したというロジックがあったことを述べ、日本製衣類が東アフリカの人々に受容されたことを、既存製品からの差別化と新しい消費の創出という観点から語った。
それぞれの報告と全体について、参加者とともに活発な議論がなされた。
このセミナーは学術振興会国際共同研究加速基金『循環を問い直す―物質・文化・環境を繋ぐグローバルヒストリー』 、法政大学比較経済研究所プロジェクト『工芸品史―1850~1930年代の輸出工芸品における場と文脈の形成』との共催で行われた。
(講演言語:英語)
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